情報の収集と分析
文字数 1,563文字
女子の部屋に着いてから、剛介はドアへ静かにノックをしてみたが何の応答もなかった。
「何の返事もないね」
陽二が小声で剛介に話しかけた。
“この状況で部屋の外から声をかける訳にはいかんし…”
剛介は鍵がかかっていないことを祈ってドアのノブを回した。すると、わけなくノブは回りドアは開いた。中をのぞきこんで見ると、白熱電球だけが灯ったうす暗い玄関で志織とエマがドアの近くに並んで座っていた。
「なんだ、カトリじゃないんだ…」
エマがいかにも残念そうな声を出した。
「エッ! カトリもいないのか?!」
エマの言葉を聞いて驚いた剛介は、そこら中に響くような大きな声をあげた。
「チョット、静かにしなさいよ、剛介!」
ドアを開けて廊下に出てあたりを見回した志織が剛介に小声で鋭く注意した。
「福本君もいるのね。二人とも早くお部屋の中に入りなさいよ」
「あのね、肝試しとキャンプファイヤーで疲れちゃったから、おしゃべりもソコソコに私たち3人は早く寝ちゃったのよ」
部屋の明かりをつけながらエマが消灯の時のことを説明した。
「しばらくしたらカトリが音をたてないように外に出て行ったみたいなの。また、おばさんからの電話だと思っていたけど、まだ戻ってこないのよ」
「こっちは、いつのまにか赤城がいなくなっていてさ」
腕組みをしながら陽二が男子部屋の状況を話した。
「それで女子の皆さんが何か知ってるんじゃないかと聞きに来たところなんだ」
「「エエッ!」」
エマと志織も思わず大声を出した。
「じゃあ、赤城も行方不明って訳なの?!」
エマの問いかけにくやしそうな顔をして剛介がうなずいた。
「ねえ、そっちの部屋ではいったい何があったっていうの?」
「俺がさっき目が覚めた時に赤城のフトンがカラッポだったんだ… 福本に聞いても赤城のことは知らないと言う… こっちにチャットアプリを使ったけど全然反応がなかったし… それで、ここに来れば何か分るかと思ってな…」
「「あーっ!」」
剛介が男子部屋での出来事を語り終わると、スマホをそれぞれ確認したエマと志織がハモって声をあげた。
「ゴメン、ゴメン! 寝るときにみんなで着信音を消して振動モードにしていたのよ!」
エマの言い訳を気にも留めず、剛介は次の瞬間には不審なことでも思い出したかのような顔をしていた。
「キャンプファイヤー中に赤城とカトリは真剣に何か話をしていたのを、俺は思い出したんだ…」
キャンプファイヤーで見た気になる出来事を剛介が話した。
「あ、そうそう、そうだったわよね!」
エマも目を輝かせて剛介に話を合わせ始めた。
「二人ともけっこう真剣な顔して話し込んでいたわよね! その二人が合宿最後の夜の同じ時間帯に姿を消したとなると…」
「消したとなると、どうなるって言うんだ?!」
剛介は今にもエマにつかみ掛かりそうな勢いだった。
「やっぱりアレでしょ」
エマはいやらしい微笑みを顔いっぱいにうかべて、剛介を焦らして面白がっていた。
「アレってなんだ、エマ?」
「不純な異性交遊 ♡」
「ふ、ふじゅんないせいこうゆう~?」
剛介は我を忘れ目をむいて大声をあげてしまった。
「静かにしなさいよ、剛介は! エマもからかうのはいい加減に止めなさい!」
志織が二人のジャージを引っ張りながら小声で注意した。
「そうだ、志織さんの言うとおりだ、二人とも静かにしろよ!」
“福本よ、志織本人がいる前では『さん』づけなのか?”
志織の意見に相乗りする陽二の顔を見ながら、剛介はオイオイと思った。
「落ち着いて考えてみましょうよ… 二人は一緒か、別々か… また、二人が行きそうな場所はどこだろうか…」
エマがひとり言とも思えるような口調で皆に問いかけた。
「俺は、カトリの行きそうな場所ならわかる」
「何の返事もないね」
陽二が小声で剛介に話しかけた。
“この状況で部屋の外から声をかける訳にはいかんし…”
剛介は鍵がかかっていないことを祈ってドアのノブを回した。すると、わけなくノブは回りドアは開いた。中をのぞきこんで見ると、白熱電球だけが灯ったうす暗い玄関で志織とエマがドアの近くに並んで座っていた。
「なんだ、カトリじゃないんだ…」
エマがいかにも残念そうな声を出した。
「エッ! カトリもいないのか?!」
エマの言葉を聞いて驚いた剛介は、そこら中に響くような大きな声をあげた。
「チョット、静かにしなさいよ、剛介!」
ドアを開けて廊下に出てあたりを見回した志織が剛介に小声で鋭く注意した。
「福本君もいるのね。二人とも早くお部屋の中に入りなさいよ」
「あのね、肝試しとキャンプファイヤーで疲れちゃったから、おしゃべりもソコソコに私たち3人は早く寝ちゃったのよ」
部屋の明かりをつけながらエマが消灯の時のことを説明した。
「しばらくしたらカトリが音をたてないように外に出て行ったみたいなの。また、おばさんからの電話だと思っていたけど、まだ戻ってこないのよ」
「こっちは、いつのまにか赤城がいなくなっていてさ」
腕組みをしながら陽二が男子部屋の状況を話した。
「それで女子の皆さんが何か知ってるんじゃないかと聞きに来たところなんだ」
「「エエッ!」」
エマと志織も思わず大声を出した。
「じゃあ、赤城も行方不明って訳なの?!」
エマの問いかけにくやしそうな顔をして剛介がうなずいた。
「ねえ、そっちの部屋ではいったい何があったっていうの?」
「俺がさっき目が覚めた時に赤城のフトンがカラッポだったんだ… 福本に聞いても赤城のことは知らないと言う… こっちにチャットアプリを使ったけど全然反応がなかったし… それで、ここに来れば何か分るかと思ってな…」
「「あーっ!」」
剛介が男子部屋での出来事を語り終わると、スマホをそれぞれ確認したエマと志織がハモって声をあげた。
「ゴメン、ゴメン! 寝るときにみんなで着信音を消して振動モードにしていたのよ!」
エマの言い訳を気にも留めず、剛介は次の瞬間には不審なことでも思い出したかのような顔をしていた。
「キャンプファイヤー中に赤城とカトリは真剣に何か話をしていたのを、俺は思い出したんだ…」
キャンプファイヤーで見た気になる出来事を剛介が話した。
「あ、そうそう、そうだったわよね!」
エマも目を輝かせて剛介に話を合わせ始めた。
「二人ともけっこう真剣な顔して話し込んでいたわよね! その二人が合宿最後の夜の同じ時間帯に姿を消したとなると…」
「消したとなると、どうなるって言うんだ?!」
剛介は今にもエマにつかみ掛かりそうな勢いだった。
「やっぱりアレでしょ」
エマはいやらしい微笑みを顔いっぱいにうかべて、剛介を焦らして面白がっていた。
「アレってなんだ、エマ?」
「不純な異性交遊 ♡」
「ふ、ふじゅんないせいこうゆう~?」
剛介は我を忘れ目をむいて大声をあげてしまった。
「静かにしなさいよ、剛介は! エマもからかうのはいい加減に止めなさい!」
志織が二人のジャージを引っ張りながら小声で注意した。
「そうだ、志織さんの言うとおりだ、二人とも静かにしろよ!」
“福本よ、志織本人がいる前では『さん』づけなのか?”
志織の意見に相乗りする陽二の顔を見ながら、剛介はオイオイと思った。
「落ち着いて考えてみましょうよ… 二人は一緒か、別々か… また、二人が行きそうな場所はどこだろうか…」
エマがひとり言とも思えるような口調で皆に問いかけた。
「俺は、カトリの行きそうな場所ならわかる」