12.  回想録。(N2)

文字数 2,501文字

何やら光の点のぴょうなものがっ、一つ、ふわっと飛んで、消えたような気がした。
操作盤上にそれが現れて、すぐに羽虫かなにかのようにして飛んでった……。

 「何じゃ今のは?」

その不思議な光の正体を見極める間も無く、同じようなものが、湧くかのように部屋中のあちこちに湧いてきている。見る間に、どんどんと増えてゆくーッ!。計器類の上にポーッと浮かんで、漂い、ふらつき、そして、いつの間にやら消えている…。次々に、部屋の到る所で、の現象が発生しているではないか!。

(3.02秒)

そして、輪郭たるものの、そのずべてが、朧になりだしていってることに気づく。このコントロール・ルーム内の、すべてのものがだ!。濡れて、鈍く光り輝くかのような様相になってきた!。光の雲霞に触れて、触れられて。背後に、沈んでうゆくかのような…。それと入れ替わるかのようにして、何かが、浮かんできてる………。

(2.00秒)

その変化を認めたその瞬間、『ズン』とくる地響きが地下に届いてきのだ。重く刺すかのような、強烈な一撃だった。まるで”それ”の到来を宣うたが如くして!。

代行者はことの状況を把握をすべく、目を閉じた。”中央”へとアクセスするために!。完全にして完璧なる認知がっ御大からやってくる!。正体不明の巨大な人形が、現在この島にいるではないか……。巨人が、不可解な電子音を放ちながら、島の東部、この地下施設の真上に立っている!。こいつが元凶となってか、何某かの作用が、この地に、この地下に、及んできてる。
今、この場所は、途轍もない攻撃に曝されているのだーーーっ!。

(0.002秒)

今、この場所は途轍もない攻撃に曝されている…。

 「こいつは一体何者なんだい?」
 「規格外の凄みってのがあるな…」
 「あ〜ん?………」(←理解の共有進行中)
 「まあ~なんとも…ま〜〜〜、
  どえらいもんのお出ましじゃないかーーー!!!」(絶叫)

急速に進行する

は、その場にいるすべての意識に影響を及ぼし出していた。
代行者の頭も朦朧としてきており、既に考えることはまともにできない。

これは以前、だいぶ昔に、いや大昔にだ!

経験したことがあるぞーっ!!


すぐさま、反射的に、緊急対処の覚えをもって、真言を、頭蓋の中で唱えだす。
「クドゥルフ~(uuumn)・ツガー・ツガー・フグダン・クトゥルフ(uuumn)~…」
これによって彼の薄れゆく意識は、僅かながらも賦活されて、現実に引き戻される。

そんな”ズル”が許されるなら、こちとらも”暗黙の協定”などもう糞食らえだ!

辛うじての正気を取り戻したはいいが、また改めて、今あるこの事態に抗うことは、絶対に
叶わないこと、このままでは意識は確実に滅尽してしまうこと、もう既にこのことは避け難い
こと、崩れゆくままにしかあらないありえないこと、消散消沈としての、そのご破産としての
結末に結実に至るにしかないこと、この流れに押し流れされてあるばかりとなる。
その事実に、圧殺されてあった!。

(1.00秒)

この圧倒的に絶望的なる状況において、彼が思ったことは……

これがいったいなんだっていうんだ?!」だった。

まともに動けないままに、その薄れゆく…バラバラの、断片としての意識にて、散りゆく、
その中で、その流れにおいてであってさえ、それでも彼はどうしたものかゲラゲラ笑っていたのだが!先程の真言を、今だ、無詠唱にて、頭蓋の奥にては、唱え続けていた。

     そして、それと並行して、また二つの、まったく違う真言を、

           静かに、いたく落ち着いた様もて…、

           すべての成り行きを、既に見透かしてあるかのようにして!

                  その加減にて…

            至極冷めた、そしてまた極端に悪逆なる面差しもて、

        まるで右の手に握ってあるレモンを、握り潰すかのような仕草もて、

四本の指を『ビキバキ』と、そして『ボキゴキ』とで順番に鳴らし始める。
そして親指で、隣り近くの三本の頭を押さえ、へし折るかのようにして一本一本づつ鳴らす。

そうしながら彼は心中密かにて、発していた、唱えてあったのだ…

またまた、たまま〜な、別の〜、呪文を〜だ、真言を、命令プロトコルとしてのものを!。

一つは緊急召喚の為のもの。魂のない土工を、それも三体 +(プラス)一を〜だ!。

そしてもう一つは

を目的としての、異次元への脱出経路、
そのゲイトの起動、そして侵入…いやもしかしたらやっぱり引き込みか……
其の為のもの…

ええい!」もうどうしようも、これは、ないなとばかりに!。



この言葉に答えるかのようにして、突如、彼の体から突き出し伸び上がってきた。

手がだ!。そしてそれらによって、彼の体は圧殺、圧縮される。
先程の指を鳴らすその音の数百倍の音量、サウンドをもって、
かなり似てはいるが、あれらとはまったく違う、嫌〜な音を立てながら〜〜〜!。





          おまけには、ちゃんと、どす黒い濁液、粘液までもを、

          それによっての濁流を、奔流を、…噴出させながら!

                 …それも音付きでっ…

                  『ぶっしゅ〜〜〜!』

              当たり一面にて、≪

る!。

             大量なることをもっての、よってしてでっ…

             過剰なるの演出を、いただき、もってで、してで……

      吹き出しながらにしながら、それもて、”場”としてのそのすべてを!

                 溶暗させる

                  その場から退場、遁走する…

                    消え失せることとなっていた……


                 『ブチュン』っと…………。




                  (6秒半)









注:最後んところは、大方はグロの展開を目的とした時間で、
  実際に、彼にあって必要であったその時間は、僅か0.00000003秒。







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