5−3. エクソダス中編

文字数 3,684文字

RE: The maelstrom, it’s ascending…


巨大な陥没坑。奈落の底。そこは断罪されし魂の檻…。

深度は➖千Kを越えている。
その奥部。その深部。その底部。
そこはハウリングの如き轟で満ちあふれていた。

《…Buumunmunmun・Umunmunmun・mummummunn…》

分厚く…、圧倒的な音量、音圧…。
それは衰減を交えながらも更に急速に膨らみつつある。
また、それにはハッシュノイズがてんでばらばらに混ざり込んでいた。

《…Shiiiisyaaa-kShuurrr-Syuuuuuu-Siiiii-SyuSyaruuu-Shiiiii…》

信じられない大きさの鳴音だ…。分厚く生々しく一体となって響いている。
正体不明の音響群がその空間をみっしりと埋めていた!。

《…Wamnwamnwamn・Wamuuum・WumnWumnWamn…》






縦穴の壁面は暗緑色に覆われ発光している。
よく見れば闇の中を無数のグリーンライトが流れていた。
走りたなびき、線となり、帯となって面状化している。

その正体は擬似生命体[土工]の ”眼” だ!。

流れを模る暗緑光は暗視スコープ、その光芒。
各々の体には無数の目が備わっている。
その姿形はみなそれぞれに余りに違っていた。

既にかなりの高度で旋回動作は行われていた。
超・超高速の移動で壁面を周回している。
その数、おびただしく、千体に近い!。

壁面に遠心力の力を借りて張り付いているのだ。
群の動作はみな調和がとれていて一体感があった。
獰猛なる竜巻が上方を目指して昇っていくかのよう!。

彼らも、彼らの機体も、必死なのだ。
死に物狂いで、最大出力で出口を目指す。
最終進化における超絶/無限の駆動力、そのすべてを尽くして!。

縦穴は、昇るにしたがい、いつしか緩やかな曲面をもって狭まりだしていた。
圧倒的に巨大な天蓋をもって、闇を、頭上から覆うかのようにして!。
表面にはぎっしりと六角柱の断面が並んでいる。
柱状の玄武岩だ。みっしりと、隙間なく…。

見事なまでに幾何学的法則性を見せて壁面を構成している。
無垢なる輝きを宿している。
超硬度と摩擦係数ゼロの達成が備わっていた。

この壁面をだ!、周回のエネルギーだけで、螺旋回転の勢いだけで、
土工たちは昇っていたのだ。
その運動における質量エネルギーは想像を絶する。
”ハム”は動力源からの、”ハッシュ”は壁面を切り裂くことによるものだった…。

一気呵成に出口を目指す。
竜巻の如き様となり、それが伸び上がってゆく。
次元空間を無理に捻じ曲げたことにより先端が枝分かれしていた。

特異なトポロジカル・オーダーを”力づく”で変更したものがいたのだ。
『The Pied Piper』。無底の代行者。
地球の自転力、その数倍のエネルギーをベアハッグで生み出していた!





逆巻く回転流は枝分かれし、その穂先きは何処かの空間へと突き入り、そして消えていった。
すべての土工のまるごとが…。
今度は何の足止めをされることもなく…。
引き戻されることもなく…。

そして…闇は…絶対の”沈黙の舞台”とっ…なっ て… い い た…。


〈暗転〉


Re: You copy that !?.


異形の存在が闇に浮かんでいる。
頭上を見上げ、去りし彼方を冷ややかに見つめている。
そして…独り言ちた。

「チッツ」

なんだい…次は?!。
絶対の[無音]ってのは想像もしてなかったな…。
まだなんかあるとは思っていたが…。

「本部ーーー!」

上はどうなってる?。映像よこせ!。

「ありゃ~……」

奴らみんな、変な形になって止まってやがる。
凍った”アイスキューブ”みてぇじゃねーかー。
トランスフォームしやがったのか?!…。

「なに? 超科学…」

「 ”時間牢” ? 」

「なんじゃそれ?」

この宇宙の可能性にはないもんだってー?
よりにもよってどこからそんなもん引っ張ってきやがったんだ?
どうやって使ってやがんだよー?
どうやってこの先進めばいいんだーッ?

…………………

「ふぅ~ん」[[アジャパ~]]やってくれんだ…。

さすがは【御大】、逆説に関しては何でも回答弾きだせるんだね。
珍も珍なり、奇なるも奇なる。
詭弁の極みの「 メッチャクチャー!!!」。

「分かった」

じゃあ、おいらは〈虚〉となって後を追うぜー。
実体なし中身なし正体なしのオツムなし。
影の如くのうつせみに(like ペーパー●リ●)様変わり。

頭上に見定めたる” 空 ”へと、
ひらり、閃くようにして、
吸い込またかのようにして、消えていった…。




〈暗転〉


Re: 絶対防御、緊急警戒モードへの移行。at ”土工” side。

時はほんの少し

遡る。

全速力で疾走する土工の群…。

各々、収まってある機体に現在完全に同体化しているネフィリム達は気づく。
なにやら異変、異化作用が及んできていることに。
空間は緩やかに細り、旋回のターンが短くなってきていた。

いや、そんなことではない。
それよりも下方後続の動きに逸脱が目立ち始めている。
また上を目指してのはずが、下へ、斜めへの動きが混ざりだしているではないか!。
周回の軌跡が描く円は、著しく傾きに変化を加えながら、その振れ幅はたわんで大きい。

群の行う螺旋運動、それが作り出す上昇の竜巻流。
その切先が幾つにも枝分かれして、行き先はてんでバラバラになっていた。
何か特異なることが起こっていることは確かだ。
だが減速/停止を行う程のことではなかった。
すべては、のたうち回りながらも上昇は続けられていると信じていたのだから。

ただひたすらに脱出を願い、全身全霊をもって駆け抜けるまで…。

〈暗転〉


Re: The Cube, Gigantic




なにか膜のような…界面を突き抜けたような感触があった。
途端に何の手応えもない、いや

ない空間に飛び込んだような気がした。
どんどんと「何にもない」の印象が強くなってゆく。
そこで、先鋒に位置するネフィリムは、恐るべき事態の到来を直感する。

ぞわりと際ど過ぎる恐怖の予感。胸を締め付けてくる無力感。その避けがたさ。
絶望の極地。しかし、その正体はまったく分からないのだ。
この祈念の思いが、叫びが、土工に備わる特殊プログラムを起動させていた。
ネフィリムも知らない謎のサインが音声をも伴い内部にて走りだしていた。

『緊急伝達。絶対防御体制。エマージェンシーモードへの即時移行!』

各々、奇妙奇天烈な別形態を備える土工。そのすべての体に変化が起こる。
無敵の物理強度を誇るその外皮が溶けて液化され、四方八方に放出される。
伸ばされた液状の触手に等しく、接触が叶った者同士は引き寄せ合う。
そして結び合い、一体となり、お互いが混ざり合って新形態へ。
分子溶解、新たなる結合が、量子の規模で進んでいた。

磁気制御の能力により、浮遊状態にある群のすべてが一箇所に集まってゆく。

そして…巨大なキュービックと化し、絶対的に静かな空間に浮かんでいる…。

それは 完 全 に … 停 止   し ぃ  て    い   い    た

………………… 』


〈続〉






次回予告













そうです!。

何でも使います。

勝手気ままに自由にね!。

しかし進まんね。次回で終わらせる。











超付録:









まったく関係ない。
最近一番面白かった


おもきし拡大してみるのがいいです。






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