5. 真紅の蠍

文字数 3,336文字




Re: 真紅の蠍

DB5改がその真価を示現する。

むき出しの大地をサイドターンで深く削ってゆく。
向かうに阻むモノあれば、真正面からこれらを粉砕突破する。
すべて木端微塵とされ後方へと飛び散っていった。

現時点では、ヘルモン自体が巨大な檻と化している。
一刻も早く脱出することが必要だった。
知るべきは知られ、これ以上の滞在は不要とされていた。

山肌に沿って走る円心スロープ。これに荒々しいジャンプで飛びのった。
やっと通常運行となる。
その時、エノクの小指に照合サインが稲妻の如く走った。
同時に巨大な影が、山蔭より「ヌッ」と突然現れてくる。

太古の横顔が、DB5と並走して空中にあった。
どこか『彼方』へと視線は置かれ、その口元には微笑みが浮かんでいる。
あまりにも異様な光景であった。

全身が視認された。ネコ科の動物との認識を得る。
その圧倒的な存在感、そして躍動感。
胴体は四本の足が力強く運んでいる。
地響きを引き起こしながらこれが迫っていた。

エノクは、この異形の存在がなんであるか、
また誰によって動かされているかを瞬時に察していた。
そして、何故これが今ここに現れたのかをも…。
タイタン撃破に状況の潮流すべてを理解していた。

聖法の違反者には厳格なる処罰が下される。排除が遵法とされる。
その存在を完全抹消することも辞さない構えだ。
これが本気の”狩”であることをエノクは悟っていた。

流れるようにして移動する黒の奔流。その、のたうつようにして起こる全身運動に、
機敏にしてしなやかな躍動に、それらのあまりの滑らかさに、
本能的な恐怖が掻き立てられていた。

彼我の力量差は圧倒的である。逃げきれないであろうとの思いを持つ。
絶望感に囚われる。しかし、行程をここで終わらすわけにはいかない。
強迫観念に侵されながらも、活路を見出すことだけに心は集中される。

DB5改は、その超常の加速をまたもや行う羽目となっていた。

一瞬それは目を疑う挙動を見せた。山縁にその姿が失せたかと思えば、
次には逆サイドから現れてきたのだ。物理的にはあり得ないことなので、
これにはギクリとなった。

跳躍。全天が暗くなる。頭上に気配が察知されていた。
激しい振動と共に正面にそれは立っていた。
次の瞬間に、前肢が容赦ない仕草で路面を叩く。
車体を傾け、辛うじて直撃は回避される。





猫はネズミを痛ぶりにかかっている。介入の頻度が増してゆく。
DB5は急旋回、急停車、急発進を幾度も繰り返す。
その都度、超常の加速にて窮地は切り抜けられていた。

結局、路外へと飛び出る羽目となった。そこは凸凹のむくつけき裸の大地である。
すでに山間部ではなくなっていた。茫漠たるゴランの高原地帯が見渡す限り広がる。
このことにより部は更に悪くなる。隠れる場所など、もうどこにもありはしないのだから。

最大速度にての直進で振り切るが、前面に静止状態でそれはいた。
余裕を見せるが如く伏臥の状態で。
オレンジの双眼が怪しく光り、口元には微笑みが宿っている。
背後にいるはずのものが何故?…

直前で車は停止させられた。そして会話があった。

「投降せよ、エノク。」と心話がある。

  『違反は、我が意志において続行される。』即座に返答は返される。

「ならば、強制退場が裁可である」緩やかにその身は起こされていた。

エノクはDB5改を戦闘モードへと移行させる。


  ゲブラー・デストラクティブ!
    ”Geburah” Destructive !


トランスフォーメイションが起こる。
タイヤは折り畳まれて収納された。代わってジェット・ホバーのダクトが現れる。
ジェット・ノズルが車体下部側面に出現していた。後方の三本は禍々しいまでに太かった。
ジャイロ・スタビライザーによる回転音が伸びあがってゆく。
真紅のボンネットには『蠍』のエンブレムが浮かび上がる。
車体は一回り大きくなっていた。

天使科学の粋を集めた超破壊兵器であった...。


〈暗転〉


*介入:
 ここで描かれるべき戦闘シーンはしばし保留といたします。
 あまりにもアクションを言葉だけでやるには迫力がなさすぎるので…。敬具 崇

*覚書:アイデアだけ先に公開しておきます。
 車体のトランスホームがまず最初の見せ場。ボンドカーとしてのDB5が凶悪凶暴なるへと
 変貌する。「ガシャーン」「ガシャーン」「ガシャーン」との派手派手しくしての乱暴なる
 音立てながら。特徴としてはタイヤが最初は計六個ついてる。これが段々とその数を増して
 ゆくの。最終的には両サイドに四個づつ。大きさも変わる。このタイヤがガジェットで、
 八つ裂き光輪としてのものになったり、大口径のレーザーの発射口になったりもする。
 つまりはドローンとしての動き働きをもすべてがしてくることになる。

 見えざる路、見えざるレールを創造することができる。対象の周囲にサーキットを自在に
 創造することができる。立体的に!。だからスフィンクスは可動式の即時移動可能な、
 ジェットコースターのレールに囲まれていることになる。*これは飛行機ではない。
 なので、その移動の

姿

をもって車(Vehicle)なんだと説得しなくちゃならないんだ…。

 蠍がモチーフなので、針の一刺しとしてのスティンガーもしくはダガーとしての攻撃を
 考えなければならない。レールガン、超電磁カタパルトとしてのものを空間に創造創設
 する。ハーロックが操るアルカディア号の衝角も当然採用。

 スフィンクスは未来予測ができるので、すべての攻撃は見切られてしまうのだが、
 最後の方らで、エノクの攻撃が

有効打になる。なぜか?。こんときはまだ
 無意識においてなんだが、より広く大きな、つまりは絶体未知としての、その世界その
 宇宙としての”場”ーと〜、一体化してた、できてたから…。境界無しが彼の真骨頂。w。
 つまりは、”空”としての場〜さへ、エノクにおいては、支配することができたできるのだ。
 このことはそのままGが黄金色へと変貌を果たすそのときにおいても同じく採用される
 アイデア……。


 巻末の欄外に参考画像を置いておきます。



再開:


すべての実力行使は無駄となっていた。
攻撃のすべては無効とならざるを得なかった。
スフィンクスの挙動があまりに理解を超えたものであったが為だ。

すべてこちらの動きは相手に読まれていた。
出現と消失が見事に織り交ぜられていた。
時に、同時に数体が現れたこともあった。
変幻自在の魔術的攻防が極められていたのだ。

長の戦闘行為にて方策尽き果てたと思われた、その時だっ!
突如、左腕の腕輪に嵌め込まれた[緑柱石]からグリーンの眩い光が放たれる。
そして、あの懐かしい声が聞こえてきた。


「エノク、聞こえる?」
「あれは二体あるの。」
「クリスティンの方は域外にあって、これは…動かない。」


イリヤからの通信であった。(切羽詰まった押し殺した声色)


「何をどうやっても勝ち目はないわ。」
「とにかく、あなたの選択肢は二つ。」
「メタトロンを降下させるか、アミーユからの贈与物を召喚するしかない。」


この交信を聞いていたのか、攻撃は容赦のないものへと変わる。
完全にとどめを刺すべくものへとなった。

アタックが直撃され、車体は致命的な大破を着した。
この衝撃と同時に、エノクの両腕は固く結ばれている。
太陽神経叢が燃え上がった。


『ガイアー!!!』



〈続〉




補記:

アーキア・クリスティン(Archaea Christine)は「Christ-in」で、Jophiel の補完物らしい。
英語圏には説明があるのだが、情報は少なく、読んでもなんのことやらさっぱり分からない。
なのに...脱稿直前に入れてモター。これは毎度のことである。アーメン。








                   ギャラリー




                   スタート






   これには格式伝統クラッシーさがある。なぜにルパンが

に乗っていたのか?…






  厳つかさと凶暴凶悪さ、そしてまたスマートさをいかに両立させることができるか。
          この辺が課題。当然にミサイル系も装備してます。







    きっと、おもしろい、いや痺れるような映像体験ができるとおもいますよ〜。







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