5−2. エクソダス上編

文字数 3,909文字

Re: 前口上。

パイド・パイパーは何でできているかって~?。
こいつぁ~とっても面白くってー、重要な質問だ。

これは、まず【無底】が何であるかに関わってくる。

「 …じゃあ~思い出しついでに復習だっ!」

今、『ゲッー』と思われたる読者がいたれなば、それ正解。
毎度の訳わからんグダグダの前振りが今まさにここに始まる。

悪いことは言わない。今すぐこの画面を閉じて、他へ移った方がいい。
時間の無駄だし、頭の悪い話しに付き合ってちゃ~、そっちのも悪くなるよ!。


〈開幕〉






Re: 【無底】とは?。

最善にして極善たる神は、ご自身を ”反転” させたものを
とある隔絶領域に投影した。すると”何か”が実体化した。
これが【無底】…。

その領域は、非在の次元空間と言える。
降下オクターブの終着点、その向こう側。
つまりは、やがてには実現化される「かも」知れない、
この宇宙の外側ってわけさ。

これは、つまり~待機中っていうか~、
可能性としてしか、考えられないっていうか~、
理論的にのみ、あり得るだろうなっていうか~、
知らんっていうか~(w)、
まあそんなヴォイド(void)な処!。

虚(うつ)ろにして朧(オボロ)。
虚(きょ)にして曖昧(アイマイ)。
虚(むな)しけれども充満せし力は無限力…。

*(開闢の為のエネジーってのは何処からやってくるのだろうね?)

そんな御都合主義的な絶対”隔絶”領域に、主はご自身の投影を行い
実体化されてしまったんだ。丸ごとを…。

決定的な違いを先に言っておこう。
統合性を欠いている。
よって無限個の『 I 』の集合体…。

ところで表の宇宙における価値とされたのは〈真〉〈善〉〈美〉。
これらが:

  より「厳粛にして荘厳なる」ものへ、
  より「尊く崇高なる」ものへ、
  より「純粋にして甘美な」ものへ

向上進化していくことをシステム全体の”永遠の”課題とされた。

よって存在するものすべてにとって、呼吸する生命のすべてにとって、
これらが生存における[義務/勤め]てとされるようになったのは当然の話し。
大いに努力をもってこれらは初めて達成されるようにもなっている。
鍵となるのが[秩序/調和/愛]。これは最初から主の特性であり
生来的かつ自らの理性的考察における終局的なご選択でもあった。

片や、【無底】においては…

その真逆を、盲目的に、妄信的に、絶対的な特質として定められている。
これは悪意があってのことじゃあない。
すべて逆ベクトルで、顛倒投影したのだからしょうがないだけ。

【無底】には、[善/悪]はない…。

どころで、この【スキゾフィレニアック存在体】は、
何故か、全体として我らの宇宙と完全に同期している。
リンクしている。「反映」だからなのかもしれない…。

その意味は、すべての情報が、完全に、丸ごと、リアルタイムで、
間髪入れずに、[感受/受信/察知]、されてしまうことになる。
これを雅に表すなら、「水面に移った空の月影のように!」になる。
…。

さて、本来、【無底】は単独では存在できないものなんだ。
個我の一個であってさえ!。

即座に[霧散/崩壊/破綻]してしまうだろう。
秩序の概念がないのだから、狂気なるものはそもそも成り立たない。
だが、ここに、摩訶不思議な不条理が成立する…。

彼岸に展開する世界に対する絶対的〈全否定〉が、誕生の最初から
認識として備わっていた。無底にとって、それは夢見にも等しく、
彼岸の出来事でしかない。しかし、それは恐ろしく鮮明でリアルなやつだったんだ…。

否定すべき世界の展開を、嫌でも丸ごと、夢見であろうが四六時中意識させられる。
こちらからは手出しの効かぬ、彼方にその世界は構へられてある。
隔絶空間で観るこの終わらぬ夢に、独り、悶々としてあるなならば、なんとする?。
無限個の夢…。遮断することはできない…。

絶対否定の意志が沸き立ち、無底にエナジーが充満した。
これこそが全てを規定している。
これが存在の全てを支えることとなっていた。
絶対否定のプログラマティックな指向性…。

そんで夢見の中で、無底は我らの宇宙を、駄目にすること、無駄に..灰燼に帰すこと、
おちゃらけに、ぶざまに、ナンセンスに染め上げることに、なんに憶することもなく、
喜び勇んで、熱狂的に情熱を燃やし続けている…。

日々、ただの一秒も滞ることなく、
無限個の『I』が、
バラバラに、” 妄想 “し続けているって訳さ。

繰り返そう、それらの『 夢の中で!!!』。

もう阿呆らしくって読んでくれている人はいないだろうけど、
続けて、ここで重要なことを 付け加えておこう。

神は『全知全能』である。
方や、無底は『全痴全能』なのだ!。

なので夢見は現実化される。侵蝕は起こってしまう。
すべての次元が〈結束〉してしまっている
我らがこの『地球』において!!!。

〈水飲みに行った…〉


RE: 〈パイド・パイパー〉とは?。


〈戻ってきた…〉

彼は無底の代行者になる。
夢の中における無自覚なる自身の投影。
無限にある内の、断片的なる一個に過ぎないが…。
これの知性は…上辺だけ。
その存在は仮面に過ぎない!。

仮面の男。中は空っぽ。空虚なだけ。
簡単に言えば、その出来上がり、肉体組成は出鱈目だ。
でも、この出鱈目の結像/現実化を成し遂げているってのが無底の『神能力』。
そんでもって奇天烈になんでもありえてしまうって寸法さね…。

〈暗転〉


Re: ムーブメント(III)

凶々しい怪物が闇の中、静止して浮かんでいる
幾本もの触腕が腰骨から垂れ下がり蠢いている。
おびただしい数の錦蛇の巣のようだ…。

巨大な縦穴をどうこうするのに大きさは関係なかった。
”彼”も巨大化していたが、それでも背丈はせいぜい10メーターほど。
対して縦穴は遥かに大きい。

ここでも反自然的な展開を見ることになる。

大げさな身振りをもって両手は握られ、
垂直に震えるようにしてゆっくり伸ばされていった。
まるで祈りを捧げるかのように。

そして両腕は下がり、手のひらは招くかのようにして開かれていった。
次に優しく抱え込むようにして腕はすぼまり輪を作っていた。

一体何をしているのかさっぱり分からない。

呪文のようなつぶやきが聞こえ出す。

「くとぅるふー・ふぐだん・ないあら~るとてっふー・つがー・
 しゅめっしゅ・しゃめっしゅ ・ないあら~るとてっふ・つがー・
 くとぅるふ・ふぐだん ……」

それと共に…「ブチ・ブチリ・ブチリ」ゴムの擦れて弾き飛ぶような音が
聞こえてきた。力の充満そして膨張であった…。

突如、暗黒の巨体の上部、胸のあたりに、真紅の口が縦に裂け、絶叫を放っていた。

『テケリリリリリリリーーーー!』。

呪文の詠唱は未だ闇の洞窟に延々と響き続けている。

「くとぅるふー・つがー・つがー・しゅめっしゅ・しゃめっしゅ ・
 くとぅるふ・ふぐだん・ふぐだん ……」

既に彼によるものではなく、
詠唱そのものが独立して闇の中を木霊している。

その中を狂的な笑いが響き渡る。

勇壮に、そして豪快に、それは体を捻り倒し、抱きしめた何かをへし曲げ、
「ドカン!」と、意中の、あらぬ彼方の領域へとそれをつなげる。
見た目には一人闇の中で踊っているようにも見えた。

怒張した筋肉から「ブチ・ブチリ・ブチリ」と音が爆ぜていた。
ゴム同士が擦れて引っ掛かり、急にその溜めが解放されたかのように。
その強靭なしなやかなさ、その度外れた膂力を、証明するが如く。

そして即座にこう叫んていた。

「さっさと渡れ!」と。
「今なら行ける!」と。
「死に物狂いで行けよ!』と。

暗視スコープによる緑の光芒が渦を巻いて闇の中を旋回していた。
巨大なスパイラル・スピンからは気色の悪いざらついた音がおびただしく起こっている。
壁面を千体にはもう足らないが、数百体の土工による高速郡制移動によるものだ。
まるで瀑布のよう。

GVC+だ…。全てはこれの制御力による。
あらゆる局面、あらゆる接地状態において、最適な重心制御をとり行う。
磨かれたかのようにツルツルの岩壁においても、
頭上にすぼまってまったく取り付く島のない絶壁環境においても!。
なんら意に介することも、障害に感じることもなく周回は高速で行われる。

先ほどとは展開が違うのが分かる。
底部への投げ出しが起こらない…。

緑光の奔流が巨大なノイズを放っている。
周回幅は狭まり先端は細くなってゆく。
そしてこれは奇怪な螺旋軌道を描いてゆく。
先端は、傾き/捩れ/下り、そして再び、上方へと弧を描いて伸び上がる。
壁面に突き入り、遠く離れた、違う壁面より現れる。
螺旋はいつしか枝分かれさえしているではないか…。

暴れ狂う昇龍の群の如く。

これらはやがて、その姿を消していた…。


〈後編へと続く〉


*イデオンガンの発射風景が思う出されました。

*映像化は不可能ですね。みんな真っ暗闇での出来事なんだから…。

*おつきあいいただける皆まさ。本当にありがとうございます。

*千体いた土工は断罪の天使の神能力でお互いで切り結びあい、
 かなり数を減らした。これはどっかで加える。



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