2. 混沌の核。
文字数 2,298文字
始めから神は居られた。
三位として御子と聖霊と伴に存在しておられた。
そしてまた、ご自身に仕えるべくの天使達らもともに。
まだ何もない最初の最初から絶対太陽は存在していた…。
神は、かって存在した宇宙のすべてを、その顚末をご存知であった。
原初の一息、吸って吐いての後の最初の小休止に、もうすべてを決められていた。
呼吸は時間となっていた。無限、そして永遠なる宇宙を想念されたのだ。
創造が開始された。最初から同じく側に居られた御子と聖霊と天使らと共に。
ご家族とみなされた、すべての聖なる命には、
永劫を経るとて決して達し得ないであろう程の目標が与えられる。
これを果たすことを義務とされた。
ご自身の本質である『その愛の高み』へと、やがては到達するべく、研鑽を行うこと。
その為の試練が、絶対の規律(*)と共に用意される。
無窮の時の対価は、すべての不死たる魂が、皆ここへと、やがては進化するべくにある。
その味わいそのものが至上の、無上の、生き甲斐、生存の価値となるよう取り図られた。
その為に、ご自身の写し、御自身の霊の分与までをも行われた。
展開を厳しく律し、匠とするために、神はご自身のそのまますべてを反転して、
ある領域に投影された。するともう一つの絶対者が現れた。
宇宙は、神のヌースが流出し開闢展開生成せられたものである。
これを構成する全ての階層の
また全ての階層の影たる部分と関わることを許された。
それの働きは以下の通りである:
聖なるを、物質性の混濁汚穢猥雑へと引曳きずり堕とさんとす。
覚醒あれば、怠惰凡庸停滞へとそれを引き戻す。
理性なるを、激情妄念狂気へと走らせ染まらせる。
無底の底へと、すべての魂が埋没収斂破滅するように、
ただ ”機械的” に祈念願望宿願されるだけの超意識体として在った。
二つの宇宙は、見えない形でお互いが干渉しあうように仕組まれている。
双方はお互いに影響しあい緊張を生み出すように仕向けられている。
この二つの極の関わりは、ある種の進化の為の原動力としても目されていた。
◇バランスにおける絶対法則がある。
それの一つは『一つが浮かべば一つが沈む』である。
古今、人の世に、この絶対者の存在を知るものはいない。
誰一人として知り得てはいない。
なぜならもしそんな事態にでもなったら、どんなに強靭な理性の持ち主であっても
即座に発狂となるのは間違いのない話なのだから。即座に死ねたなら幸いなのだが。
そうも出来ず、止むを得ず、気狂いに渾身のダイブもて逃げ込むしかないのだ…。
ただ、死ぬ間際の、病んだ精神が、その呪われた霊感において、
書き記された譫言めいた記録は残されている。
その中に【Azathoth】と記されていたもの…。
そは盲目にして万能の、混沌としての神。
【無底の痴王】。
一切の堕天使/悪魔もこれには遠く及ばない。
むしろ...彼らにとっては、極虐の責苦、被曝する呪い、その源泉である。
ただ、ただ、ひたすらに、「 アーメン」「 アーメン」「 アーメン」。
〈続〉
追補:
*規律として定められたものを少し紹介しておこう:
『自由意志を与えられし者は、自己の抑制に努め、
我欲に抵抗し、他者に服従する、また克服されるを求めよ。
自己の自由なるを楽しもうとせず、規律に服し、誰をも支配するを望むな。
常に御心と同じくなるよう活動し、立ち、存在し、神の為に謙って、
すべての生命、すべての同胞に服する覚悟を持つこと。
彼らにとって何が本当に有益であるかをよく考えよ。
すべての名誉と栄光を神に帰せよ。...等。』
*ごめん‥出典のベースなんだったか忘れた…。崇
付録:
『果てしなき流れの果てに』より 著:小松左京
ルキッフは?
〈あらゆる変化のベクトルに対する抵抗力の形象化...〉〈略〉
〈時に、現状維持し、超越の出現を拒む。
時に、違った方向への超越をもくろむーー-
時に、一切の不可避的、根源的傾向に対して、反対しようとする。
彼自身、自由と超越の形象化された存在でありながら、
それを含む一切の存在秩序と、その運動方向に対して根源的否定をとなえ....〉
今になって、アイは、なぜ階層というものが存在するかを知った。
---『上』に上がれば上がるほど、特殊化の極度に進んだ超意識体の、
複雑高密度の組織があり、やがてそれは、個々の超意識体ではなく、
比喩的に言えば、”宇宙の脳”に似たものの形を取り始めていた。
”脳”はまだ、おそらくは完全ではなく、
”意志”のパターンも、それ自体では未完成だった。
〈略〉
大宇宙がふくれ、成長し、進化しながら、
さらにそれ自体としての限界をこえず、
のたうちながら、
もう一つの別な宇宙と媾合 し。
もだえながら、さらに第三の宇宙を---
それは、この宇宙の限界をさらに超えた進化を可能にするような、
別個の基本条件をそなえたものであろう---
うみ出しつつあるさまを………。
君は燃えつきた……
〈抜粋終〉
補記:
これあのお話のクライマックスからなんだけど…。
こんなレベルの話には絶対なんないので、がっかりしといてください。
宇宙の脳は正解ですね。
でもこの認識の最初は、小松先生よりずっと前なんだけど…
三位として御子と聖霊と伴に存在しておられた。
そしてまた、ご自身に仕えるべくの天使達らもともに。
まだ何もない最初の最初から絶対太陽は存在していた…。
神は、かって存在した宇宙のすべてを、その顚末をご存知であった。
原初の一息、吸って吐いての後の最初の小休止に、もうすべてを決められていた。
呼吸は時間となっていた。無限、そして永遠なる宇宙を想念されたのだ。
創造が開始された。最初から同じく側に居られた御子と聖霊と天使らと共に。
ご家族とみなされた、すべての聖なる命には、
永劫を経るとて決して達し得ないであろう程の目標が与えられる。
これを果たすことを義務とされた。
ご自身の本質である『その愛の高み』へと、やがては到達するべく、研鑽を行うこと。
その為の試練が、絶対の規律(*)と共に用意される。
無窮の時の対価は、すべての不死たる魂が、皆ここへと、やがては進化するべくにある。
その味わいそのものが至上の、無上の、生き甲斐、生存の価値となるよう取り図られた。
その為に、ご自身の写し、御自身の霊の分与までをも行われた。
展開を厳しく律し、匠とするために、神はご自身のそのまますべてを反転して、
ある領域に投影された。するともう一つの絶対者が現れた。
宇宙は、神のヌースが流出し開闢展開生成せられたものである。
これを構成する全ての階層の
底の
底、【無底】を、その絶対者の領土とされた。また全ての階層の影たる部分と関わることを許された。
それの働きは以下の通りである:
聖なるを、物質性の混濁汚穢猥雑へと引曳きずり堕とさんとす。
覚醒あれば、怠惰凡庸停滞へとそれを引き戻す。
理性なるを、激情妄念狂気へと走らせ染まらせる。
無底の底へと、すべての魂が埋没収斂破滅するように、
ただ ”機械的” に祈念願望宿願されるだけの超意識体として在った。
二つの宇宙は、見えない形でお互いが干渉しあうように仕組まれている。
双方はお互いに影響しあい緊張を生み出すように仕向けられている。
この二つの極の関わりは、ある種の進化の為の原動力としても目されていた。
◇バランスにおける絶対法則がある。
それの一つは『一つが浮かべば一つが沈む』である。
古今、人の世に、この絶対者の存在を知るものはいない。
誰一人として知り得てはいない。
なぜならもしそんな事態にでもなったら、どんなに強靭な理性の持ち主であっても
即座に発狂となるのは間違いのない話なのだから。即座に死ねたなら幸いなのだが。
そうも出来ず、止むを得ず、気狂いに渾身のダイブもて逃げ込むしかないのだ…。
ただ、死ぬ間際の、病んだ精神が、その呪われた霊感において、
書き記された譫言めいた記録は残されている。
その中に【Azathoth】と記されていたもの…。
そは盲目にして万能の、混沌としての神。
【無底の痴王】。
一切の堕天使/悪魔もこれには遠く及ばない。
むしろ...彼らにとっては、極虐の責苦、被曝する呪い、その源泉である。
ただ、ただ、ひたすらに、「 アーメン」「 アーメン」「 アーメン」。
〈続〉
追補:
*規律として定められたものを少し紹介しておこう:
『自由意志を与えられし者は、自己の抑制に努め、
我欲に抵抗し、他者に服従する、また克服されるを求めよ。
自己の自由なるを楽しもうとせず、規律に服し、誰をも支配するを望むな。
常に御心と同じくなるよう活動し、立ち、存在し、神の為に謙って、
すべての生命、すべての同胞に服する覚悟を持つこと。
彼らにとって何が本当に有益であるかをよく考えよ。
すべての名誉と栄光を神に帰せよ。...等。』
*ごめん‥出典のベースなんだったか忘れた…。崇
付録:
『果てしなき流れの果てに』より 著:小松左京
ルキッフは?
〈あらゆる変化のベクトルに対する抵抗力の形象化...〉〈略〉
〈時に、現状維持し、超越の出現を拒む。
時に、違った方向への超越をもくろむーー-
時に、一切の不可避的、根源的傾向に対して、反対しようとする。
彼自身、自由と超越の形象化された存在でありながら、
それを含む一切の存在秩序と、その運動方向に対して根源的否定をとなえ....〉
今になって、アイは、なぜ階層というものが存在するかを知った。
---『上』に上がれば上がるほど、特殊化の極度に進んだ超意識体の、
複雑高密度の組織があり、やがてそれは、個々の超意識体ではなく、
比喩的に言えば、”宇宙の脳”に似たものの形を取り始めていた。
”脳”はまだ、おそらくは完全ではなく、
”意志”のパターンも、それ自体では未完成だった。
〈略〉
大宇宙がふくれ、成長し、進化しながら、
さらにそれ自体としての限界をこえず、
のたうちながら、
もう一つの別な宇宙と
もだえながら、さらに第三の宇宙を---
それは、この宇宙の限界をさらに超えた進化を可能にするような、
別個の基本条件をそなえたものであろう---
うみ出しつつあるさまを………。
君は燃えつきた……
〈抜粋終〉
補記:
これあのお話のクライマックスからなんだけど…。
こんなレベルの話には絶対なんないので、がっかりしといてください。
宇宙の脳は正解ですね。
でもこの認識の最初は、小松先生よりずっと前なんだけど…