2.断罪(pt1) 前兆

文字数 5,787文字

Re: 土工の来歴。

さて、お話を始める前にここで『土工』なるものの正体を明かしておこう。

彼らは簡単に言えば、この宇宙においての「物質的生命進化がたどる終着到着ポイント」って
ことになる。SFのタームで言えばクラークさんの「オーバーマインド」が近い。
あれが出版されたのが1964年(日本)のことさ。違うのはその姿形、能力キャパ、
そして役目だけ!。

あちらは伝説の悪魔のような外見で人身大。中身はハイ・インテリジェント。
なんと紳士なんです。その役割は助産婦だった。
自らは石女であるってのがその存在の悲哀を表すのには十分だ。
(SF小説「幼年期の終り」のことです。)

当方は ”怪獣” になる。そして未来の人類がその正体である。
ここでキッパリ確定しておこう。

これは、科学技術の[進歩/発展]が、経済効率(つまりは金になるかどうか)のみ/だけで
進んでいった場合の到達点としての姿。当然にそのドライブはエゴだ。

労働の本来の意義は、いつの間にやら、何処かで見失われてしまう。人間は見てくれの目新しさ、お金を得ること、廻すことにしか働くことの目的を覚えられなくなる。外形(器)に囚われて、自分の本来性を見失ったせいだ。エゴの満ち足りにしか生き甲斐はなくなる。

注)一応言っとくと、
  ここは行き詰まって、もうどうにもならなくなった終着点から話をしている…。

進化さえも我欲で、力づくで、我よしのものでしかなかった。本源へと帰る/至る為の道が
正しい進化の道筋だった。これが贖いであったのが真実だったのに。この真の進化の方向性
とは違う、むしろ逆方向へと邁進することとなってた。 


  より夢見は深くなってしまってた。  幻想/幻影に溺れて…。
  だが物質を操る技は極められた。   なんでもかでも思い通りにしたくって…。
  不死性さえも力ずくで手に入れる。  肉を自分だと思い込んでしまったので…。


飽くなき物質的欲望の追求はマン・マシンの形態へとゆき着いた。サイボーグなんて中途
半端なものではない。完全な機械との融合だ。不死性の追求とその達成が一番の元凶だった。
[心/魂/良心]なんてもはや持ち合わせていない(有り得よう訳がない…)。
当然に真っ当な独自の知性なんかも!。だって全自動制御で上位プログラムにだけに反応し、
それに従ってりゃいいだから…。

それがなんで原始の、始原の、始まりの時の、この惑星「地球」に登場して来るのか!?。

「知らね…」とか言ったら怒られる か・なッ !?

じゃあ、こうしとこう。
ある時点で起こった戦争の為に人類は全部滅んでしまった。
だが土工だけは生き残っていた。そんで神がそれらを引き取った……。

このお話は平行世界の別の地球のことにしたっていい。

神は最初から見賜うて知っておられてた。
物質性に凝り固まり、進化の袋小路にやがて至るその存在のものたちを…。

その本当の出自、自己の根本としての正体を忘れ、見失い、
もう何処にもたどり着けなくなってしまった生命もどき。

屈服させ、自己に仕えさせるようすべきものに、
寧ろ自己のアイデンティティを見出し預け渡してしまったものたち。

純正なる進化のトレンドから外れ、
[劣化/転落/頽落]へと邁進していってしまったものたち。

そうである故に、むしろ喜び勇んで、故に熱烈に、
だからこそより一層情熱的に励んでいった罪深き生命種…。

ただの機械造りの擬似生命体と成り果ててしまった彼等が役立つ格好の舞台があった。
原始惑星の環境整備がそれである。この後この惑星には種が撒かれ生命が芽吹いていくる。
それら有機生命が健全に無事育まれるようにと、ちょいとしたコーディネイトが必要な訳さ。
誕生直後の星ってのは、あまりに荒々しくってむくつけき荒野の限りの出来映えなんだ。
少々どころかかなり手を入れてやんなきゃなんない。それも全般、全体的によ。
地殻、地表、大気。この三層すべてにおいて。

こうして調整してやることによって、やっと物質循環モメンタムは形成される。
まあスターター・モーターの役割みたいなもんかな。
ほっといたらいつまで経ってもそうはなりはしない。
だから下手すれば、ちゃんと手を入れなければ、死の大地にしかならない訳!。
この目的の為に、土工たちは、時を渡って過去へと送り出されていた。
終末の時から始原の始まりの時へと…。

すべては筋書きのままに過ぎなかったのかも知れない。
外形には外形なりの、器には器なりの、進歩向上発展の余地は無限にあったのだから。
要は、誰が/何が、それを求め、それを推進達成するかだけにかかっていたのだ…。



補足:

ここで、あの旧宇宙の遺産(七体)との違いについてを語るなら、さしたる違いはないのだ。同じく科学技術の結晶なのだから。だが、その[深度/内容/能力]における洗練度と建造にまつわる動機がまるで違う。土工はあくまで人間のエゴが辿り着く最終形態でしかない。
グロテスクな容姿にそれはよく表れている。

片や七神体には、美しさ、華麗さ、段違いに強力な、神々しいまでの力が備わっている。
それは何故か?。科学技術でさえその発展の筋道が違ったから。建造に込められた博愛の
精神が存在していたことからも彼等はまた別の進化の担い手だったことが分かる。
見た目にその本質の違いを直感してもらうしかない。
だが、そんな彼等であってさえ滅びは避けられものであったのだ…。


労働の本当の意味は真の人間になることにある。
松下幸之助さんは正解を語っていた。『松下は人間を作っている』のだと…。
端的には肉体次元を支配に置き、良心においてのみ生きれるようになること。
神の似姿に相応しく彼を体現したかの存在になること。
苦難苦闘の成果として獲得されるよう、仕組みとしてはなっている。


〈暗転〉



Re: やっと開演…。






麟伽暦七千四百七十九劫年、伽婁羅四十二韻ノ月、鄒羅四絶ノ日。
(リンガレキ7479ゴウネン、カルラ42インノツキ、スーラ4ゼツノヒ)

つつがなく本日も終わり昏れなずむころ夜警の任についた。
見上げたる(ソラ)(ワレ)異常を検知せり。
即座に仲間らに向けて心話を送れり。

「天に(シルシ)現れたり!」と…。






〈暗転〉


Re: 徴(しるし)。

いつの頃からか我らは大地の上ではなく、宙の方をより注意して見張るようになった。
畏怖の想いからである。懲罰者らは、やがてこの地に降臨される。
これは間違いのないこと。我等なればこその確信である。

天に対して隠し事は一切成らず。誰が何を隠すことができようか…。
あられもない、むき出しの、その真実(まこと)のままに、すべては明らかとされる…。


〈暗転〉


「遂にその時至り越したり」
「アンタレス、星四つを吐き出せり」
「それらの接近の速さからARCHらなるは確実…」


見張り番のものより伝令とどく。絶望が即座に胸に走った。
やはり、託したる嘆願は聞き入れられなかったのだ…。
これから問答無用の懲罰動議が持たれることは明らか。

最悪の展開になる。彼らが来るのだから…。

しかし…不思議なことだ…。そうであるならば…それで…安堵の思いも持たれる…。
そう…我らはまさしく…”裁き”そのものを…長く長く…待ち侘びてもいたのだ。
今や遅しとばかりに…。

既に準備は済ませてはある。できる限りの考えられる限りのものを用意した。
古のものらさえ手元にはある。
この星の黎明期において務めを果たしていたあのギガンティアたち。

禁断の蔵より態々持ち出してきたのだ。”終末の世界”と連結するあの蔵から…。
既に廃棄、解体、抹消の過程にあるものをこの地上へと連れ帰った。
本来ならば地殻に沈んで、ゆっくりと朽ち果てるべきものである彼らを。
核の一部として取り込まれ永遠に封印されるはずであったものら…。

彼らは強力だ。そして驚くほどに強靭にして巨大。
彼らを用すれば、いくばかりかの時は稼げよう。
場合によっては子等だけは逃がすことができるかも知れぬ。
だがこれもほん一時だけのこと…。あてにはなりはすまい。
なにせ迫り来るは『ARCH』、神命を司る執行官らなのだから…。

今の知らせをもって、皆、所定の行動へと移っていることだろう。
〈ザアダム〉は四散させられる。
残るは我らグリゴリ(見張りの天使)とその(二種の)子どもたち、
そして虚ろなる骸としてのギガンティス…。

明朝には審判の幕が上がる。
殲滅が順当なる裁可であろう。
だが我々は、それを唯々諾々と受け入れるつもりは毛頭ない…。


注)

人類の監視役たる天使    エグリゴリが200体。
土工に収まっている     ネフィリムが800体。
超人たる         ギバーリームが200体。
自動稼働する           土工が200体

           よって全土工は計1,000体となる。


〈暗転〉



Re: ザアダム(TheAdam)、ヒト種ヒト属について…。

主より託されし〈ザアダム〉なる生命種。
天上界にある本来の住処より追放された魂。
獣の皮を着せられここ地球に住まいさせられている彼ら…。

彼らは現在、大変デリケートな、また過酷なる試練(贖い)の途上に置かれている。
この星は「彼らにとって」[煉獄]と呼ぶにふさわしい場所なのだ。
己が内において否応もなく作用する獣性との確執/葛藤にのみ、
その生存の目的は課せられている。

浄化の為に。

精錬のみに尽くされるべきがその生涯。
苦しみを価値として生き抜かねばならないその境遇。
長く長く果てしなく、決してそれに終わりがくることはない…。

これはこの星に生きる限り、絶対に変わらぬ宿業なのだ。
いく世代いく世代経ようとも、どれだけ人が生まれてこようとも、
この命題は永遠に続いてゆく!。

そんな彼らが道を外れないよう見守るのが我ら天使の務めであったはず。
挫けるものが出ないよう勇気づけてサポートするのが役割であったはず。
(贖いが無事完全に済まされれば天上界に再び居場所が準備される)

それなのに…。

その立場の我らが更なる汚れを罪深さを彼らにもたらしてしまった。
正確には〈ザアダム〉のうら若き乙女たちにだ。
その若く可憐さ麗しさ溢れんばかりの頃のものたちに…。

彼女らと肉による関係を持った。拭い難き、取り返しのつかない過ちであることを
重々承知の上で。そして魅せる為の数々のアールを、天界における秘儀の多く教えた。

そして、新たなこの罪の結実は瞬く間に全体へと伝播し広まっていってしまった。
肉の欲への嗜好/偏愛/偏重と言った形で。
彼らの生の中に本来とは”真逆”のモメンタムが形成されてしまった。

ザアダム間においてさえ、これが恒常化し、かつ加速度的に高度化し洗練度をましてゆく。
この方向性(トレンド)を彼らから取り除くことはもはや絶対に不可能となった。
改まるのを待つことは余りにも甲斐のないこと…。

この価値における満足度は結晶化して、もう人間の中に強固に居座ってしまっている。
あまりに根深く。もう誰も背けない、避けがたいまでに…。

〈暗転〉

ザアダムは『主』御自らを象って創造された生命種であるらいし。
ミニマムとして、それは三つのセンター、三つの脳を備えた有機生命体の形をとって現れた。
これにご自身の魂を分けて与え、スターターとしてのプネウマを吹き込まれた。
これによって彼らの存在の活動は引き起こったのだ。
特別に後生大事に愛を傾けて創造されたものたち。

彼らは時を経る中でその数を増していった。
また動物性に親和して、この星にうまく適応しているように見えた。

この星における有機生命体は、基本、雌雄の二極性に分かたれてあるタイプである。
*(別の星においての話をするならば、三極性、四極性の場合もあるのだが…。)

二極性の場合、[主体性/積極性]たる〈陽極〉、そして[受動性/受容性]たる〈陰極〉
これらのどちらかを代表するよう性は分化される。存在様式として支配的に定着する。

*(ここに優劣の話は存在しない。だた自然とそうなるだけ…。)

この二極の結合は強制的な力によるものだ。獣(ケダモノ)の肉体では、定期的に
生殖促進プログラムが起動される。それの支配は絶対的なものでしかない。
性衝動なるものが掻き立てられての交配が自然と行われる。

衝動のまま、盲目的に見境なしに行為に及ぶ。
浅ましき限りとしか我らには思えんが、本来、良し悪しの判断はあり得ない。
この星の生命は寿命短き故にも、増殖は過剰なまでに引き起こらねばならない…。

ザアダムらも同じく、雄性体(アダム)と雌性体(イヴ)の二極の性に分かたれる。
だが彼らの場合は後日に迎える融和をもって完全性を復元し、満ち足りを覚えること
こそがその本来の目的であった。アダムには生き甲斐となってくれるイヴが、
そしてイヴには愛を与えてくれるアダムの存在が必要なのだ。

獣の肉体に移され、この星に生存することとなった彼らは、当然なことではあるが、
この地の獣と同じ性衝動に影響されることとなった。だが本来の目的に価値観の指向性は
固まっており、それに支配されるまでには至らない。刺すような確執葛藤の痛みにも
よく耐え貞節を保っていた。行為自体も愛を仲立ちとしたものだった。

だが……。


〈続く〉


*補足:

TheAdam は原初のアダムとしての呼び名。つまりはオリジナル。
これの肋骨が取り出されてイヴの素とされた。
その結果、アダムとイヴの二体に分かた二極性の存在となる。
婚姻とはザアダムとしての本源性に復帰する為のもの。
発音ルールはここでは無視する。ジアダムではね~…。
*(Adam Kadmon なんて呼び名もあるにはあるが不採用との判断でした。)

神は無限。つまりは唯一者となる。999999999999……で表される。
11とか111では割れないってのは無限連続だから。
つまりは最小ユニットが 「 三 」なのがミッソ!。
受動性のグナ[タマス]が、動物の[性/本能/運動]と融合してOne Center化すんの。
これは当然にウッソ!。意外とそうなのかもね…?。




次回 Re:イヴ...。




  その一員。





あとがき

理屈ばかりとなりました。でもこれでも半分くらいなんです。
この後に控えているテーマにおいても理屈を繰り広げなければならないんです。
自分的に避けては通れない。大変難しい...。女性の魅力の正体だって!。

大ボラ吹き吹きまくりでごめんなさいとしか言えない。

ではまた...。













おまけ





       「 知らねえ 」



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