5. ネフィリム

文字数 5,291文字

Re: 非対称にして相似

海を隔ててある二つの大陸国家。
一つは「中つ国』、もう一つは「サウロン」と呼ばれている(誰に?)。
これらは、非対称性の相似を語るにおいて最適なモデルになる。

先ずは違い。
極端な話としては、国体としての歴史の古さ新しさ。
シンボルとされるのは、片方は月を、もう片方は太陽となる。
経済原理がまったく違う。
そして行動原理は、拡大支配と海洋覇権(ベタかスマートかの違いだけかも)。

されど、その本質的なる傾向性は全く同じ。全く同質だと直感されてしまう。
「そうなっちゃう」理由を、一言で表すなら「大陸人」だから。
これは国としての輪郭の所為なんだ。
余りに大きくって、自国は強大なのだと(自然と)思い込んでしまう。

ジャイアンってキャラいたよね。
二人揃うと、嵩高(かさだか)くってさ〜きわどい話になる。
いずれに雌雄が決せられるようになるのは間違いのない話し。
もう時間の問題でしょう…。

ついでに、もう一つ挙げとくなら「日ノ本」と、かの「伊色剌」もそうだ(*)。
違いは環境。これが決定的に違ってる。凄いほどに極端にかけ離れている。
荒削りにして不毛なる大地と、天の加護受けたかのような水にも恵まれた豊かな自然。
絶対神と八百万神。これだけで十分さね。

でも双方の精神性はとても似てる。めちゃ真面目。
これが相似の部分。同根なのかもね。
これだけで十二分だ。

でも「これまでは!」と、しなきゃなんないのかもしれない。
誰に、何に目を付けられたのか知らないが、
「日ノ本」には、骨抜きの為の介入工作が長期で行われてしまっている。
執拗なまでの干渉に、1945年以降、(さら)されてきている。
もう今年で75年だよ…。

だ…。なんでなんかいね?

まあ、「器」にもいろいろあるって話だけさね。
「中身」も同じくいろいろさ。
今回は、国という器について触れたかったまでさ…。

、なんてこともある。
本末転倒も甚だしいじゃないか。
ご存知の方もいると思うが、語りは” 析出 ” 信奉論者である。

(*)精神性において言えば、本当は奇跡の

だったんだ。
   [བོད་] も実は入れなきゃなんないんだが…。
     生活の中に神仏が、長く、確かに、溶けこんで暮らしてこれたのだから。


*************************

Re: ネフィリムの誕生

赤子からは、”しゅうしゅう”と音が漏れ聞こえてくる。
生存を辛うじて繋いでいる体が、脆くも霧散して消えてゆく。
もうあまり猶予はないであろう。

天使は生まれた子を粗布で包み、彼方へと飛んだ。
後に「パンゲア」と呼ばれる大陸の南の外れへと。

〈暗転〉

寂れ果てた、物悲しい荒地。
生き物の気配なぞ微塵もない。
大地に裂け目があった。
施されていた「禁忌」の縛りを破り、その中へと天使は入っていく。

中は巨大な洞だ。
荒く削られた側道が螺旋を描きながら下へと続いていた。
その道幅は驚くほどに広い。
廻り回って下へ下へと降りてゆく。

やがてに横道としての回廊が現れてきた。
あたりは俄かに人工物めいたものへと変わっている。
緻密に組み合わされた石の構造物。

進みゆくと突如、未知なる三千世界が広がって現れた。
圧倒的な広さだ。元の地上に戻ったのかと勘違いするほどに。
上空を覆う天蓋自体が、光を放ち、空間の全体を照らしている。
しかし奇妙な明るさをもって、ここがそうではないことがハッキリ知れる。
城門らしきものを潜り塔の中へと入っていった…。

〈暗転〉

そこは、溶岩による熱と放射光、そして硫黄の臭いでひどい有様だった。
既にマントルが夥しく露出しており、ドロドロに溶けた溶岩が対流している。
大量の流れであり、そのすべてが引き込まれるようにしてどこかへと消えてゆく。
深部へと、ゆっくりと飲み込まれていってる。
恐ろしいほどに緩慢な動きだ…。
次から次へと流れてきては、どんどんと飲み込まれてゆく。
なんの音も立てず…。

辺りの委細を見れば、床も壁も天井も、そのすべてが夥しい数の”

”で
みっしりと、ぎっしりと、隙間なく埋め尽くされているではないかー!。
まるでエッシャーの絵のようだ…。



それらは身動ぎ一つすることはない。活動は完全に停止されている。
遠に役割を終え、これからその存在を、核部へと没っさんとするところ。
ゆっくり、じっくり、容赦無く、ただ機械的に、流れ作業にて核部へと投じられてゆく。
静かに、なんの抵抗もなく、深部へと、潜り込み、飲み込まれて消えてゆく。
数限りなくいた彼らも、その殆どが既に失われてしまっていた…。

天使は、壁面にあるもの達をよく吟味して、
翼あるものを一体選び、割って、剥がして、曳きだした。

巨躯だ。五メートルは優に超えている。
その造作は余りに禍々しい。

その頭頂に起動の印を描いた。
目に光が宿り、何の不具合もない様子で活動は再開された。

主人の前に、恭順の姿勢にあるそれの左胸部を割って開き、
天使は連れてきた赤子をそこに納めた。

融合が始まり、暫し狂ったかのようにのたうちまわる。
外形にもメタモルフォシスが起こっている。

やがて大人しくなって、それは静かに立ち上がった。

少しヒトの形に近いものへと変わり果てている。
そして、この存在は、言葉を発した。

・ワ・

」と…


〈暗転〉


死を知らない霊が肉をまとい、ヒトの娘との交合の果てに、それらのモノは生まれた。
新たなる生命は二種に分けられた。
無事に肉体を備えて生まれてきたモノと、そうはならなかったモノ。
肉体に恵まれなかったもの達には最初の子と同じ対処がなされた。
最終、ヒトの姿をしたモノ(ギバーリーム)と巨人達(ネフィリム)が存在したことになる。

その後起こったことは、ヒトにとっては惨劇と言うより他ない。
阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されてしまう。
暴走たる”狂い”が、ネフィリム達によって引き起こされたのだ。

天使は、その霊格を獣性の次元に自ら堕としてしまった。
秩序からすれば重罪にして不敬にあたる。
また、禁じられた知識をヒトに与えた。
[肉]の性に作用する、訴える、魅了する、支配する、様々な術式を。
これらは人の間に遍く根付いてしまう。
後の世はこれを文明/文化と呼ぶことになる。

モーゼへの啓示において、特に重要であったのは、【法律】に関することであろう。
決め事、しきたり、掟、制度、戒律、律法は、
組織的な働きが果たされる為の仕組み、それの骨子、参照マニュアルである。
中の人間が、所属する組織と一体感を持つ為の”手順」プロトコル」プログラム”。
皮肉なことに、これは偶像を、新しい大いなる器を機能させる為の奥義としても機能する…。

神は一連の出来事を清算浄化すべく、
洪水によって、地にある


罪を犯した天使達は、地の底の暗闇へと堕とされ監禁された。
箱船により生き延びたノアの一族と動物達によって”

”でやり直される。

この方法しか取り得なかったことを神は大いに悲しみ、そして悔やむ。
そして、”

”をした上で、永遠の誓いを立てられた。
もう二度と洪水よって、すべてを滅ぼすようなことはしないと。

そして、計り知れない時が過ぎた。(数千年?数万年?)
その後のヒトの進展を天は観察されていたのだろう。
だが、確認されたのは…

一度、悪しき種が撒かれて、これが芽生えたならば、
どれもこれも、絶えることなく、世代を超えて、また新たに生え出でてくる
その有様だった…

そして地に向けて、天は、大いなる働きを

起こされる。
ヒトらの抜本的な、

を行うべく…。

ある時、処女たる乙女の腹から御子が現界し、真理の言葉を世に述べ伝えられ始めた。
そして

人類が背負ってしまっている罪の一切を解消すべく、
「死」へと自らを渡される。これは贖罪の為の供儀としてである。

そして、父たる神によって復活が果たされ、天へと戻られた。

このドラマは人類史において決定的な出来事であった。(完全に史実である)

ことは、術式として、大気を含めた地球全体に刻まれた絶対の刻印である。
述べられ言葉は、全プロトコルを統一/調和/完成させる最上位の概念(の入力)であった。

、ここに一挙に完成は果たされ、中和がなされて、”

”となった。
しかし、これは定められたヒトにおいてのみ発動がかなうものではあるが…。

詳述しておこう:

ことの発端は、ヒトの原罪、そして天界の裏切り者達がヒトの世に撒いた種にある。
簡単には取り除けそうにないので、最後に、唯一残されていた、抜本的な方策が取られた。

神の一人子(ひとりご)たる天子がヒトと同じ肉の器に入る。
ヒトと同存在となってヒトらに向けて真理たるを改めて伝える。(再入力/再確定/再起動)
それは
  神は厳しいが深き愛をもってヒトらを思ってくれている。
  ならば汝らも、愛もて、互いを遇せよ。

咎、罪たるは解消されなければならない。これは純粋に霊的に穢れであるものなので。
その極意は、内面において大いなる確執葛藤の炎に焼かれることである。
解消という報酬には、それに見合う対価が必要であるまで。

一旦すべての人類のこれまでの罪咎を背負って天子は
自らを磔刑という暴力的な死へと渡される。
ヒトと同じ肉体という制約においてこの事業は果たされる。

これを地球規模で刻まれた刻印だと僕は言っている。真に魔術的なるものだと想う。

この事業には二つの要点がある。二つの敵に対しての勝利と言った方がいいかも…。

の勝利。無辜なるものを無理やり有罪にしたてあげて殺したことで。
いささかも隠れることも逃げることもしないで審判の場へと彼は歩を進められた。

の勝利。生きるものならば恐れずにはおられない死たるものをあえて
自分から受け入れる。その恐怖を乗り越える。その刑罰に自分は一部たりとも関係しないが、
人類のこれまでの罪咎を当て込むことは可能。死を引き入れることによって代理として贖いを
果たす。そうすることにはバランスとしての意義があった。後は父なる神が関与を果たして、
死んでしまったものを新たに生き返らせた。そして彼は目撃者の前で天上へと挙げられた。

ことはだ!…手立てたるは確かに打たれたのだ。

そして、彼に与ることによってのみの条件付きで新たなる復帰への道は開かれた。
彼の血を飲み、肉を食うことによって、一心同体となることを誓うことによって。

新約によって旧約も、本来そこにあって眠っていた本当の意味が再確定された。
主が残された言葉によって法としてのプログラムは本来的なものへと完成されたはず…。
核たるを述べ伝えるだけにとどまらず、またそれを身をもって実践することによって…。

繰り返そう!。彼の降臨は本当に大きな節目だったのだ。
なぜだか世界標準として、広く西暦が採用されているよね。
これは誠に不思議なことだと予々思う。つまりはADとBCのことだ。

Anno Domini、「主の生誕」から何年後。
Before Christ、「主の生誕」から何年前。

これも『印』なのであろう。
それもワールドワイドで働いているものの…。

ところで、あのネフリム達はどうなってしまったのだろうか?

それは、これから語られることになる…。



〈続〉




補足:

「また、禁じられた知識をヒトに教えた…」

医術や薬草の知識。
剣や盾などの武器製造、金属器の鋳造へとつながり(最終重機械工業か?)。
腕輪や飾りや宝石などの装飾品、そして化粧すること。性的アピールのアール(技術)。
星々の動きからその意味を読み解く占星術、天文学。家畜の飼育、農耕も。
おそらくは建築、言論、数学、文字の使用も。
総じて呪法/魔術といった概念で括られていた。

”えぐい”内容に関しては、夜の図書館の方に原典訳がありますので、そちらを参照ください。

念のために言っておくが、他にも道はあるにはあるのだろう。
だが、これほどまでにドラスティックなドラマをもって語られた教えは他にない。
でもね、ことはすべては死んでからの話に過ぎないんだ。
その時までの生は試練の、苦難の、十字架の道でしかない…。

なぜにラテン?


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