2.断罪(pt4) 被曝

文字数 7,264文字

Re: 幕間の茶番劇、タイトル: 「工作員潜入せり!!!」
  そのコードネーム: ”おかま”(FAG)…














  〈暗転〉










Re : 「 It’s comming!」。(訳:イッツ・カー・ミィ~ンンン・・!)





上空に星影が広がる。それはみるみる迫ってきており間違いなくここへと落ちる。
だが奇妙だった。現実感がまったくそれにはないのだ。
ゆっくりとフワっと舞降りてくるかのような…。
何故か”私”にはそう見えた。(毎度招かれるヒト談)


〈暗転〉




Re: 霊子力学的に複製された星、そは〈アヌリオス*〉。
(クローン禁止定理は本件において無関係)

「説明しよう。」
こいつはハイパーヒルベルト空間で本物から偽造されたものだ。その意味は目的において
必要とされる性質のみが抽出されて出来上がったものだからだ。それのコーザル体だけが
複写されたと言っていい。ならば、いっその事、この場合は霊魂だけがと言い切った方が
適切なのかも知れないが…。【●●】とのダイレクト・インターフェイスがその真価だ。
当然な話だが両者(オリジナルとコピー)はエンタングルされている。「終ハリ。」
(ナレーションは故富山敬氏でした。)


〈暗転〉





Re: 四騎士らによる〈アヌリオス*〉への祈祷。

巨大な光のタワーが空へとのびあがる。
垂直に伸びた光輝の四柱が水平に回転してできたものだ。
光のトーラス。これは檻、囲い、封印だ。

それの根元、円周上の四点に立つ大天使たちは言を発する。
上空を見上げ、順々に。聖別されし宿願のポーズをもって。





口にされた言葉は以下の通り:

『来たれ』 『此処へと』 『開けよ』 『汝の(おとがい)を!』

延々と繰り返されて詠唱のようになっていった。


〈暗転〉





アヌリオス*がこの詠唱に応えてか何かを解放/照射/放散し始めた。
それは本体が今も絶えず受信し被曝し続けている正体不明の情報群…。
なんと!こちらが質量を欠く分、本家と比べて、より純度の”高~い”
とても”濃い~いッ”強烈に増幅されたものとなってまき散らされていた!。
この宇宙においては誰も知らない、まったく未知の波動だった…。


Re 陽動の為の特攻。

すべてがただならぬ気配に浸されていた。変化は急激だった。
これから起こることが明白に知れた。もう避けることは叶わない。
だがギバーリームたちならば、この死地を脱せられるやも知れない…。
見張りの天使、眠らぬものら、エグリゴリたちは無駄を覚悟で決死の特攻を行う。

すべての土工を格子の壁へと即時進撃させた。
触れればみな高電圧でその動きは押しとどめられ跳ね除けられていた。
何するものぞとばかりに、より一層攻撃は凶暴性を増すばかり。

ギバーリームを中心に残して、エグリゴリもまた壁へと歩を進める。
内側で円となっていた。四騎士らに思惑を気づかれないよう細心の注意を払って。
極自然な歩みで、とても優雅な全体的な動きだった。そうだ...。彼らもまた奇跡を
可能とする高次元に属する存在ではある。

土工の姿はみな真紅に染まっている。まるで燃えあがる地獄の山そのものだ。
最初からレッドゾーン目いっぱい、最大出力で稼働している。
キャパオーバーを無尽蔵の力が支え続けている(*1)。

聞こえてくる機械音はもう雄叫びを通り越してノイズの嵐。
だがなんの効果もない。檻に一条の(たわ)みさでさえ引き起こすことは適わない。
だからこれはもう断末魔の絶叫でしかなかったのだ。
檻は破れず…。

エグリゴリらがその秘められた能力を発揮する。声による和声の力。
皆で上方を見上げ、手を広げて、声をあげる。それは即座に共鳴して一体となった。
そして不思議な複数の和音が規則正しく発せられ節が構成されていた。
節には微妙なる上昇下降が、圧にはこれも規則正しい加減が付け加わってゆく。
3度上がり4度下る。そして今度は2度半を膨らみつつ駆け上がるを基本としたパターン。
声によるものとは信じられないほどの巨大な振動が大気を震わせていた。
音は、なんらかの物理的な力を獲得していたに違いない。その証拠に、これが真上へと
放たれると、上空に迫るアヌリオス*は押し留められたかのようになっていたのだから。
でも、これも、本一時の効果でしかなかったのだが。

面前では土工の大群による総攻勢が展開され、
頭上においてはアヌリオス*の到来を阻むべきの能力解放。
壮絶な意識の攻防戦が両サイドにおいて繰り広げられていた。

この時を唯一のチャンスとしてギバーリームたちはテレポートを開始する。
光のトーラス、その最上部、その縁に星が接するまでの一刹那。
蓋となるものが落ちて閉じるその寸前に…。


〈暗転〉





最後の攻勢、その開始の5分後、星は大地との接地を果たしていた。
爆心地を中心に暗きドームが形成される。
そこにいたものすべてを飲み込んで…。


〈暗転〉


Re: 正体不明のモノローグ。

もう辺り一面、妖しのオーラがびっしり!。なんかが揺らめきながら立ち昇ってやがった。
これが止みゃ~しないんだ。延々と萌え出ずるの、(ひこばえ)のってやつだ。

でも、それは人間の目なんかで追えるしろもんなんかじゃなかったんだぜ~。

とにかくさ~何かヤバイそうなもんが体んに中入り込んでくんのさ~。そんでさ~それらは
骨の髄にまでそそくさと達してしまうんだー。なんか冷たい感触みたいなもんでさ~「にゅるわん」ときて、ゾッとしてしまうぜ。何故だか、これは悪意だってことだけは分かるんだー。もうすんごく怖かったよー。

放射能ってさ~きっとあんな感じなんだろな~。急に気分が悪くなってきて、こりゃヤバイ奴じゃんって即座に分かちゃうってゆうか~…。なんだろ~???。純粋な悪意?…。うじゃうじゃ湧いてきて溢れて侵入してくる眼球?、いや違う狂気?…。昇る朝日に透かし見らるる眠れるネズミの屍?…。こいつの正体はドブネズミだっただよな~。オー、なんか懐かしいじゃねえかーって、コラー!。

誰もがさ~皆目、それの正体の見当がつかなくなっっっちゃっってさ~…もうなんのやりようもないんだ。そんで、こちらにゃ~どうするもこうするも(すべ)ってやつががががまったくなくっっってさ~…もうあちらは好き勝手さ、やりたい放題やってくれてやんのー!…。
そうさ。好き放題やってくれれれてますね、今は…。何をどうされてしまったたたんだろう?。あれ?、それは今此処で起こっていることじゃないのののかな?。

………。

それ(複写体)は周りのことなんか一切関知してなかったさ。
己がどんな影響を辺りに振りまいているかなんて知る由もない。
そりゃあ真っ当にして当然な話だろうけどよー。
勝手に生みだしといて、そんで、好き勝手に操られていただけだもんな~。

………。

大体がだ、あれが星として、意識ってのを「持ててているのかっ」てのも怪しいもんだぜ~。
しかしだ、万が一、もしもの話だががが、それがあったなら、きっと自分を作ったやつのことを恨むだろうな~。これれれは絶対に間違いのない話だぜ~。

………。


〈暗転〉


その落ちてきた星は爆散して消滅したかのようにみえた。
だが霊体化した星に物理的な衝撃は、なんら意味をなさない。
大地をするりと通り抜け、そのままに、更に落下は続けられていった。
岩盤を透過しても減速もせずに。
光なき黄泉の世界を、更に更に奥深い何処か遠くに向かって…。


〈暗転〉





Re: 被曝そしてその影響。

その複写して造られただけの模造品でしかない星は直撃に際して皆を素通りしただけだった。
実体がないのでこのような表現にしかならない。だがそれに通過されたモノたちには致命的な
ダメージが及んでいた。これは、呪いにかけられたのだと表現するのが一番分かりいい。

もう彼方とは四六時中オンライン状態にされる。遮断は一切不可能。こちらの精神性が高けれ
ば高いほど、その霊格が高ければ高いほど、彼方からの侵攻は輪をかけて精妙にして高度な
ものとされる。なんてったて演算能力のキャパが無限大だから。
全痴全否定”の神*だから…。

エグリゴリとネフィリムに刻印が押された。完璧にスキャニングが瞬時に完了していた。
そして、彼方からのアクセスが可及速やかに開始される。
その推移の様は本当に一瞬だった…。















何が起こっていたかと言うと、まず記憶のすべてが明らかにされて保管される。
意識/無意識、総(ざら)へにだぜ。そして備(つぶさ)に片っ端から分析される。
それはそれは見事な完璧な解析だったよ。何一つ見過ごさない。
そして、その魂が価値としているものを装いも新たに無限に再構成して見せて、
そんでもって無限に汚す。それが貶められる様をシミュレーションとして観させる。
幾度も幾度も体験させる。それが嘘か誠かは、もう分かんなくなってしまうのさ。
もうそんなことはどうでもよくなっちまう。自我は崩壊するのが必然なのだが、
行き着くところまで行ったなら、またそれは即座に元のまんまに復元される。
そんで、なんと!何にも覚えちゃいないんだぜー。この無限の繰り返しの中で、
狂うていうか~心の誤用ってのを自分の意思で積極的に選択したり、自分の中で
真実の価値とするもの関しての考えや思惑と逆のことを自主的に行なった時のみ、
正体不明の高揚感が発生する(*2)。それも天上にも至れるかと思えるほどの強烈な
やつをだ。ここにはバグってやつの発生の秘密ってのも関係してるかもしれないね。
とにかく逃げたくてバッファーを形成に励んでしてしまう。新規の、何でもいいからの
方策に救いを求めるってことなんかな?。んで、おめでたくパターンは定着する。
これってまったくの余計なお話し。w。
もう彼に連続性は永遠にあり得ない!。無限ループでナンセンスを生きるまで。
ほどほどに生き甲斐ってのを持たされてなー。でもそれも偽モンの楽しみで、全然
大したこた~ない、むなしいだけのしろもんなんだけんどねー!!!。


〈暗転〉


Re: 結び(I)。

この後のことはもう簡単に済ませよう。

一、
ネフィリム達は”

”にされていたようだ。アヌリオス*の被曝からはそんな大した影響は受けなかった。多分敢えてだったのだろうな。なんらかの思惑があって見過ごされていただけ。でもこれの後にさ~数減らしのためにって、お互い殺し合いをさせられるんだ。四騎士にそうプログラムかけられて。代替をもっての共食いってヘンテコな様相となる。カニバリズムとしての迫力だけは凄かった。そんで最後に残ったものらは、アレらと同じく初期化されて強制終了かけられる…。

二、
エグリゴリらはもう何にもできない状態になってた。大地の上にただへたり込んで座ってるだけ。何があったんだろうね…。まだなんとか意識だけは残ってるタフな奴は四騎士と言葉を
交わしていたけど、なんか戯けた恨み言にしか聞こえなかった。つまらんやりとりだったんでカット。みんなまとめて、これから檻の中に放り込まれる。

三、
あの妖星、〈アヌリオス*〉は何処へ行ったのか?。決まってるじゃん。パンゲアの北端の地にある「ドゥウダエール」その地下深くさ。あそこが所定の場所だった。ソフィーが空間転送を巧みにかけて、あそこに誘導した。何度も何度も屈曲面を潜らせてだったらしいね。何でも今回は『本式の檻』ってのを「拵える」てのもミッションとしてあったそうだ。霊体としての星だから設置っていうかー、固定はどうすんだろうね~?。元の母体だから居心地はいいだろうが…。もしかしたらだが、剥がれて弾き飛ばされた箇所がそこなのかも知れない。そうか、だから安定してしまうんだ。うん…そうだよ、きっとそうだ。どんどんそんな気がしてきたー。絶対、そうに違いないー…。(これじゃあ駄目?)

四、
ギバーリーム達はどうなったか?脱出はみな成功してた。でもこれも「見逃してもらって」だけだったみたい。神はみんなの前では言下に、全員家族もろとも徹底的に滅ぼせと厳命されてたけど、またこれとは別の思惑がお有りだったようだ。その証拠にミカエルは好きにさせておけと他の騎士達をあの時に制止している。この理由については諸説あるのでその内に紹介したいと思います。(僕のはね~、『神』は、彼らの父である天使達は絶対に許せなかったけど、寿命のある彼等は少しの間自由に生かしてあげようと思ったんだと思う。やがてに大洪水による総浄化を行う計画も勘定に入れてね。)


若き、その折のゼウス

五、
ドゥウダエールと呼ばれるその土地に地下に向かって大きな穴が掘られた。誰が何を使ってかは言わない。その深い穴の奥底を『鉄壁の檻』とすべくの処置がいくつも施される。誰が何を使ってやったかは知らない。その檻の監督者はウリエルにするとミカエルが宣言する。その時ウリエルは、ならば外部からのカウンターに対する備えも必要でわ?と進言するもミカエルは『それは必要ない』と言下に即答している。あくまで囚人達が、自力での脱出が絶対に叶わない限りで十分であると…。






〈暗転〉



Re: 結び(II)。



一人だけ、エグリゴリの脱出が適っていた。既に被曝した身の上でだけど。
彼もやはり見逃しの対象となっていたようだ。だがそれは伝令としての役目ではない。
その憐れな姿そのものが見せしめとして、ヒトらに向けてのメッセージだったのだろう。



突如、避難場所である地下の洞窟に彼が現れた。跪いて両手で顔を覆っている。
声をかけても彼は何も答えない。彼の妻が呼ばれてやってきた。
彼女が彼の名を呼んでも同じく彼からは何の反応も得られない。
抱きしめて何度も何度も彼の名を呼ぶ。





突如、彼の体が溶けるみたいにして変化する。
体を構成し保持する機能が暴走を始めている。
溶けたようになってまた元に直ぐ戻る。それの繰り返し。
彼の中で何が起こっているのか彼女には分からなかった。
ただいつまでも抱きしめて離すことができなかった。

彼に一瞬だけ正気が戻る。
悲しい眼差しで妻の名前を呼んでいた…。






〈続く〉



あとがき:

悲しい結びとなりました。
お詫びとしまして

をご用意させて頂きました!。
一番下にございます。ですが絶対に穴埋めにはならないと思いますが…。


他に割愛した場面を公開しておきます。

宇宙空間にメビウスの光の帯が回転してました。中に搭乗されているのはなんと、
とてもお美しい女スフィンクスさんではないですか!。最高度の安全性を勘案した
環境にて大切な任務についていただいておりました。アヌリオスを量子コピーして
二つに分けて、片方を時空間ゲートを通して地球に送り込むお仕事です。
これが難儀だったのはコピーした方の質量はゼロに、かつ内実はそのままにすること
でした。さすがはクリスティンさんですね〜完璧にあの難しい仕事をこなされていま
した。まったくもって本当に凄い方です。

片や地上では落下してきたアヌリオスの虚体を然るべき地殻内部に誘導する必要が
ありました。これはゾフィーの仕事でした。とてつもなくタイミン合わせが大事な
局面の責任を任されておられました。また後の始末(セッティング)も緻密なる
制御が必要とされていました。皆さんはこの方のこと覚えてられますか?。
あのスフィンクスのハンドラーと言った方が通りがいいかもしれませんね。
活動停止していた土工を回収したのもこの方です。そんでどこへやったかと言いますと、
元の蔵ん中。キチンと元の場所にです。すごいのは整頓としての意味を


の上ででした!。

土工の戦闘シーンにがっかりした皆さん。今回は顔見せ程度との思惑がありまして、
あまり派手なことはさせれませんでした。今後は機械獣軍同士において、ミケーネの
威信をかけての戦闘を行わせる所存であります。乞う(”NOT”)ご期待
あれ?…なんかどっか間違ってるねー。まあええわ~。




最初の爆心地跡。
なんか舞台は今のアフリカだったみたい。



補足:

(*1)
土工の動力源は諸説あるんじゃが、儂は太陽系における惑星間の斥力を
元に生産され、これが空間転移で供給されていると踏んでおる。
よって、ならば、Swing by Driveとでも呼んでおきましょうかな。
ほほほほほ〜。




(*2)
未だ謎。なぜ快として反映するのかが。なぜエゴは生き物の如くの様相を示すのか。
異次元から何かを導引してしまうってのも正しいような。ならばそれらはなんなのか?。



課題はいろいろあるんだけれど、一番の課題は、”SAM” をどうするかだ…。
覗き込めば見つめ返されるで、リスクが高すぎる。
あの『檻』は彼の為に準備されたのが本当のところ。
彼の起源そのものも未だ不明なのだ。多分ですが…。
タクラマカンが再び舞台になることでしょう。
その時までになんとかし〜よう〜。

も後にどっかで活かしてあげましょう。



おまけ:

クリスティン: あたしアッチ受け持つのや~よー。
ゾフィー  : そんなこと言ったって、お前、クロノバイザー操れんだろがー。
クリスティン: 宇宙空間ってさ~暗いし~寒いし、そんでもって寂しいわッ。
ゾフィー  : あれ扱うのすっごく大変なんだぞー。
        すっごく根気と生真面目さがいるんだ。コンソール読むのも操るのも。
        それに臨機応変なる機転ってのがいつも求められてくるしろもんなんだー。
クリスティン: あたしきっとそれ出来ると思う。あんたよりも上手に…。
ゾフィー  : できねーよ!。お前、結構大まかじゃん。緻密なことには向いてね~よー。
クリスティン: なにヨー、あんたが”(ザツ)”ってやつじゃん。
        フュージョンやっても五回に一回は失敗するくせに。
        アレ、みんなあんたのせいだからね。セッカチさんなのよ~()〜が。
ゾフィー  : いいか…冷静になって話そう…。
        お前は送り担当でそんで俺は受け担当な。いいか!。これ決定だカンナ。
クリスティン: もう勝手にすれば~。(とうとうどっか行ってしまふ)


後に、ミカエルから『頼んだぞ』と念話が届いたとき、クリスティンは目を輝かせながら
「ラジャー」と、それは明るく溌剌として答えていたそうな…。     








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