1. アライバル。

文字数 5,240文字

Re: 現界そして追跡。



最初に出現した島の送電塔の高さは270m。
数多のトラスで組み立てられた四角錐。
鋼鉄の筐体内部には燐光はらむ濃い霧が立ち込めていた。

時はもう直ぐ11時を回る頃合い。
仄かな青白い光が基底部より直上まで伸び上がっている。
そこに異変があることは視認することができた。
「この時だけ!」はである。
辺鄙な環境、暗がりのせいもあったのいだろう。

これが手近にある送電塔を伝いテレポートしてゆく。
瞬時に海を渡り、恐るべき速度で彼方へと移動してゆく。
[核]は〈ネフィリム〉の『魂』。
剥き出しである…。



送電塔は陸に上がっても尽きることはない。
延々と続いていた。
怪しの存在はこれを渡って移動してゆく。
都市部に近づけばその街の灯が所在を曖昧にしてくれていた。
気づく人間は誰もいなかった。

東京に近づくに連れて高さは低くなる。
そして地上から塔はなくなる。
送電は地下トンネルを経由してとなっていた。

燐光まとう怪しの存在もこのトンネルを利用する。
青白い霧の塊が延々と繋がって流れてゆく。
恐るべき速さで居場所を変えていた。

既に東京へと達している。
東京タワーで一度地上に現れた。
青白くタワーが瞬間燃え上がった。
そして直ぐに地下へ潜り灯りは消えていた。
更に今度はスカイツリータワーに現れる。
しばし彼方を伺い何かの所在を探っていた。
街の明かりが眩しすぎて誰もこれに気付かない。
更に東へと移動の向きは変わらず、追走が続けられる…。

しかし…段々とその総体容量が小さくなっていってるのが分かる。
朧な、滲むようにして放たれるその光芒も、か弱いものに段々と変わっていってる。
エネルギーを消耗しながらの移動であることが分かる。
これでは、いずれどこかで…、消滅してしまうのは間違いのない話しだろう…。

だが怪異の移動は止まらない。
自己の存在の危うさなぞ全く気にはしていない。
東へと東へと所在は、なおも速度を上げて移ってゆく。
切ないほどの思慕の思いもての行動であることが何故か伝わってくる…。

*自己を自己たらしめる[フィールド]を形成する「何か…」(確固たる器)が
 必要なのは”彼”のみ。ここではトラスで出来た四角錐、またトンネル。


〈暗転〉


Re: アライバル。 「流星号、応答せよ、流星号」。

飛行機は成田に着陸した。
夜遅くの到着だったので乗客は少ない。
通路を歩く姿は皆ダラダラとしたものだ。
何を急ぐ必要もないのだろう。

入国審査へと足を進める。
ボックス内の担当官は女性だった。
緊張感が走る。

『パスポートを…』

手渡した瞬間、小指に照合サインが稲妻の如くに走った。
そして高みより見下ろす女の視線をしっかりと受け止めていた。
目線が侵撃に交差する。

エリヤであることが分かった。
女は居丈高に言葉を発する。

  天村 恵乃久さん。
  今回のご旅行では御不幸さまでした。
  さぞかしお疲れのことだと思います。
  しかし貴方には現在、状況陳述の義務が改めて課せられております。
  明後日以降、3日以内に外務省管轄の役所への出頭命令が出ております。
  この書類の受け取りとサインをここにお願いします。

言われるままにサインをし、書類を受け取った。
その途端、エリヤである審査官はもう後方に向かって声を上げていた。

『次ーッ!』

〈暗転〉

最後の関門となろう税関では両腕の腕輪に注目されただけだった。
他に一切手荷物もなかったのだから。
だが、出国時に申請が済まされており即解放とされる。

書類はすべて模造でなかった。
現実において、すべての帳尻を合わせるべく、
どこかで彼女は時を飛んでくれていたのだ。
彼と共に…。

渡された書類には東京のとある住所が書かれている。
地図も添えられている。
ならば、この後は都心に向かうしかない…。

空港を出て東通を北へと歩いた。
空港の敷地を越え、さらに幹線沿いに200m。
やがて「ニコニコいつでもレンタカー」成田空港店が現れた。
門のチェーンは落ちている…。





入ってすぐ右端、そこの暗がりに[戦闘バイク]が停車されていた。
右手の腕輪を外し、コンソールへと置く。
光のファイバーが伸び上がり、それと連結した。

バイクに跨り、音声入力を発する。

『凍結解除ーアクティベイトー30秒後ステルスへ』

即座に不気味な重底音が「ゴロゴロ」と湧き起こる。
一瞬、爆発音に変わったかと思うと、その「爆音体」は西に向けての疾走を開始していた。
そしてすぐに、無音へと変わり、その所在を知れるものは誰もいなくなっていた…。


〈暗転〉


Re: 『内荒』教授の講義そして脱線話。

*注意:
ここ、”駄弁”としての語りを創作することが課題とされました。
如何に「下らん出鱈目を白痴的に垂れ流すか」がです。
結果、トーカーのストレス発散の場となっても~たw。
「なのでっ」、一覧で済まされることをお勧めします。
長げ〜し…。

==========================

改めて「内荒」教授の弁舌中継そして脱線話。

○大は現在、研究開発においては『一切の社会的配慮を切り捨てる』ことを学術的方針としている。そんな面倒臭いことで縛られていたら自由な研究なんてできんではないか!と言うわけだ。
軍事転用も当然に視野において「やる」。こちらの方が「俄然」やる気が起こるんだから、
それはそれでいいではないかー!。しち面倒臭いこと言って、学生らのやる気を削がないでもらいたい!。

『富国強兵』。日本の科学力は(知らんやろーけど)本気出したら『世界一』。


〈暗転〉


T大学院工学系研究科、WEB工学人工知性応用研究室:

「内荒斗輝符」教授(ないあらとてふきょうじゅ)が院生達に弁舌を揮って奮っていた。
もう夜中も11時を回ってるのに!である。大変迷惑な先生であることは確か…。

以下その内容:

情報科学の研究とは、「人間自身」の研究に他ならない!。
人間の、「心の」と言ってもいい。

見た目の機能分析から始め、これは大掴みでしかないが、これの「再現」の道筋を辿っている。
研究者らが自覚してたかどうかは知らんがな…。

エキスパート・システムしかり。
人間の試行錯誤を模倣して、ベンチマークを落とし込んだだけ!。
これ熟練工おらんようになったらもうどうにもならん。

OSなんかは脳における秘書機能、これの無自覚な抽出。
「母さん、あれどこ行った?、あれは何時やった?」の外部化!
ありゃ~その内、可愛い女の子のアバター手に入れる。
セクシーな、小股の切り上がったスーツ着たとんがりメガネ女の子がいいな〜。
そんでもって、なんでもお任せが習慣になってしまい、
いつの間にやらそいつが生の全般取り仕切るようになる。
理解のない要領の良いだけのが ”我” を名乗ってしまうことになる...。ジャックだね。

まあ…なんでも、どうでもいいんだけど…。

とにかく端折って、先言っちゃうと、
人間が、つまりはこの国最高峰の頭脳であるお前達が、どんだけ頑張っても、
人の「お頭」の解析を果たすことはできない。
永遠に無理。
あり得ない。

理由は、メチャややこしいから…。
と言うか~、理想的な意味で、完全体に仕上がっているのが居ないから。
ケッタイな…、「トテチテター」なる出来上がりしかおらんから。
ベンチマーク不在…。

これはもしかしたらそのうち手に入るかもしれんのだが…。
*(エノクを脳裏で想定してる)

そんなことはどうでもええわ。
そんなこた~今は関係ないわ~。

頭よくったってー、それだけではどうにもならないこともあ~る!。
安心しろ。
そして絶望してから今言ったこと全部忘れろ。

ところでサ~、日本の漫画って面白いよネー。
僕の好きなのは赤塚不二夫と小林よしのり。
「アジャパ~」と「ポッポシャ~ン」。
あれが最高だね。
みんな知ってる?。若けーから知んね~か。
かなり昔のもんだしな~。

要旨はだな~、
真剣にやれば、知性をもって「華々しく自壊することもできる」ってことなのさー。
(教授の目が何故が爛々と輝いている)
さあみんなも「ポルノり」で研究頑張ってゆこう!。

千里の道も一歩から!。
やることはたんまりあるねん。
いい手があるんだ「ワサー」。

ところで「ケメ子」って知ってる?。
「ピュンピュン丸」に出てくんだけどさ~。
これも知んない…。

話を戻すと…

幸い自立モデルは現在既に出来上がっている。
かなり原始的なもんだが、これで足りよー。
ズバリ、〈AI〉。こいつにやらせんのよ。
「人間の認知機能の解析」をさっー!…。

アプローチはハードベースのモニター解析とWEB情報の評価解析。

ハードの方は人体に「ブスブス」針さしての電位磁場イオン濃度の変化観測。
何処にどれだけ深くが肝要になる。
安心召されよっ、〈プロビング〉(Probe)は我輩の熟練熟達no究極技能である。

これはもうかの国で、さんざデータ収集やってある。
でもサンプルにした奴らが皆んな低俗なんばっかだったから少し心配…。
やっぱり、そのうちもしかしたら君たちの誰かの協力も仰がなければならんかもなー。

WEBの方はクオリアとして幻惑としてキャッチーなのを探らんが為。
重要なのは、こいつの設定になるなー。
これの味付け加減が味噌になる。
色!色だよ〜…、色付けが大事。
それも無限色でだ!。
グラデーションも効果としては生きるんだぜ~。

後、センターとしての数な。
人間の脳は頭にだけある訳ではないんだ。
知られているのは精々5個しかない。
これらでさえ、自覚的に対象化出来ている研究者は殆どいない。
確実なる実数としては7だ。

今我々が考えるべきものとしては、もっと、遥かに多いやつ!。
未知の、現存しないセンターも組み込むぜー。

例えば、実存荷重のおける相対的関係性制御を役割にするものとか、
全センターを超越し、かつ丸ごと丸呑みにするステータスのやつとか。
これなんか実質虚空みたいなもので、存在開示がアクティベイトされた暁には、
他は無条件に/自主的に平伏睥睨が引き起こされてしまうなんてもんなんだぜ。
兎に角、人間が未だ知らないセンターも組み込むからw。

『マギ』越えネ。いきなり架空の話し超え。
最初からあの『マギ・モデル』越えでいくぜ~。

そうですねえ~取り敢えずは666個で始めてみよう。
各々の理論概念は僕が同じく提示する!。
ここ、僕の得意な領域なんよね~。

名前ぎめが大変になるよな~。
『プルート』とか『ゼウス』もしかしたら『パンド~ラ』も使わにゃならんやろね。
更には『トール』『ロキ』『ブラフマー』『阿修羅』…『アザゼル』に『アザトース…?』。

まあ、何言ってんだか分からんだろうが、兎に角、これらは全部僕がやる。
任しといて。とにかく君達には記述用と言うか、析出されたモデルを記録することだけに
特化したAIを考えてもらいたい。相関数的に膨大な動的モデルになるから。
ここ注意してね。

クオリアはWEBに溢れかえっている怨憎感動エロ、そしてインスピレーション、
つまりは幻想情報で足りる。当然にPDFに落とし込まれている図書館の全ての本。
特に物語。ノンフィクションに、いいのがあるんよねー。

最初の主幹たる解析業務は、他所の「にいちゃんら」との共同作業になるから。
目ぼしは、アタリは付けてある。これも666体!。


『リリリン…リリリン…リリリン…』


  何だよ~、忙しいのに…
  今、のって喋ってんだぞ~
  ハイ内荒です…
  何?
  ……
  何てー?!
  一体逃げた…
  どこへ?…
  ……

  ハイ
  分かりました
  僕が連れ戻します
  ハイ
  ハイ
  大丈夫
  お任せください。
  それより他の奴らしっかり見張っといてくださいよね~
  ハイ
  ハイ
  ハイ
  では…。

『ガチャン!』


側にいた学生たちはみな驚愕していた。
教授が突然、急に、「あらぬ彼方を向いて」独り言を始めたからだ。
それも途轍もない[瞟眼]で!。
擬音まで口真似で再現していた。
すべてが丸聴こえだった。

そして、内荒教授は集う疲労困憊の院生らに慌ただしく言い渡す。

「本日はこれにて休講!」

それは当然に”ゆーとぴあ”のあのポーズであった。

そして彼は何も持たずに、しかし恐るべき速さで…、研究室を後にしていた……。



〈続く…でしょう…〉





      ゆーとぴあ



補記:

*教授が長身痩躯で漆黒の肌をした不思議な人間であることは言うまでもない。
 見かけはアラビックだが流暢に過ぎるぐらいに日本語を話す。
 それも見事な大阪弁を…。

*教授の最後の言葉は他に…「お疲れチーン」(ナイチンゲール)があった。

*ナイチンゲールとは、かすみ果穂と希志あいのによるユニット名。

*残された学生らは皆んな即座に仮眠に入り、そのまま朝まで寝る。
 その晩は、何故か全員、ナンセンスの夢を見た。



    これが「パープリン」


     これが「ポッポシャーン」










予告:

次回、内荒教授はいきなり本性をさらけ出して国道を東に向けの疾走を開始する。
その姿は、当然に、ケムール星人であるw。
背景の銀幕の中をパトカーが追ってくるのも当然の話し。

乞う非ずのご期待!。

だって、似てるんだもん…。



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