登場人物紹介

文字数 5,883文字

 ようこそいらっしゃいました。ついに完結編となる第四部まで辿り着かれましたね。ありがとうございます。今回も私、レインボウ・ネットワーク接続者専用サポートAIメイドのレインが登場人物紹介と続く世界観・用語設定の進行役を務めさせていただきます。
 例によって第四部本編のネタバレが若干含まれておりますので、それでもという方のみご覧ください。説明不要という場合には、このページと次のページを飛ばして「序章・因果」まで、お進み下さい。



・アサヒ/男性/一歳
 冒頭時点ではまだ一歳未満ですが、第四部の中核となる場面ではおおむね一歳なので、年齢の表記はこのようにさせてください。
 第三部において、長年南日本を苦しめていた極大怪異“蒼黒(そうこく)”の討伐に大きく貢献。また、竜を倒せる兵器DAシリーズの開発にも尽くされたことから、女王陛下の信頼を勝ち取り、特異災害対策局の地下より王城の一室へと居を移されました。もちろん朱璃様もご一緒です。
 大阪より戻られて以来、お二人の熱はいっそう高まり、今や人目も憚らず愛を囁き口付けを交わすほどのおしどり夫婦に。その情熱は時に周囲が辟易するほど。
 ただ、それによる弊害も一つございまして。朱璃様への愛情強く、疲れ知らずなものですから、最初の頃はリードされていた彼も今や逆に……え? あ、はい、そのようにいたします。
 申し訳ございません、これ以上夜の営みについて語ることは禁じられてしまいました。なので、この話題は以後NGとなります。
 元々争い事を好まれるタイプではないので、自分以外でも“竜”を倒せるようになった現在は漁業のお手伝いや、人並外れた力を活かせる工事現場の助っ人などをして働いておいでです。



星海(ほしみ) 朱璃(あかり)/女性/一六歳
 第三部の後で誕生日を迎えられ、現在は一六歳に。疑似魔法学を大きく発展させた天才であると同時に、霊術の世界でもずば抜けた才能を発揮。今や北日本の至宝どころか人類の至宝とまで呼ばれるようになられました。
 アサヒ様とは非常に仲睦まじく……あ、大丈夫です。NGには触れませんので、落ち着いて下さい。
 失礼しました。第三部にて関係が修復されたお母様とも、現在は仲良くしておいでだそうです。また南日本の象徴・月灯様も気に入っておいでで、妹分だと考えておられます。年上のカトリーヌ様と友人になられたことといい、一人っ子なので姉妹に対する憧れがあったのでしょうか?
 大阪から戻って以来、とても忙しい日々が続いており、時々それが原因で突拍子も無い行動に出ることがあるようです。
 さらに、最近あることに対し、とても悩んでおいでです。



・ライオ/男性/???
 ご存知、アサヒ様の体内に同居されている赤き巨竜。私のマスターは“ツンデレドラゴン”と呼んでおられます。基本的に人類に対しては上から目線ですが、相手によってそれにも若干の差があり、朱璃様のことは戦友、アサヒ様のことは父親のような気分で見守っていると、我がマスターは分析されて──ああっ、お逃げ下さいマスター。彼は超音速で飛べます。そうです全速力で。きっと良い運動になりますよ。
 こほん。ある意味、第一部から最も変化に乏しいお方でもあります。彼としては最初から一貫してアサヒ様の味方でしたので。
 第三部では大活躍でしたが、完結編ではさらに活躍の場が増えることが決まっております。あるいはアサヒ様以上とも……?
 よくよく考えると、この方は、あのお二人のキューピッドでもあるのですね。そう考えると可愛らしくも見えてきました。
 あら、無駄ですよライオ様。あなたに見えている私の姿は虚像なので、どんなに攻撃してもダメージは受けません。



・マーカス/男性/四五歳
 朱璃様の父親になろうとしていて、なりきれない、そんな不器用な男性。しかし生存能力という点ではずば抜けており、実は第一部から通して人斬り燕様に刺された時以外、ほとんど怪我らしい怪我をしていません。カトリーヌ様とは違うタイプの不死性を感じます。九年前に東京へ行かなかったのも、野生の直感によるものだったのかもしれません。
 アサヒ様のことはとっくの昔に認めておられるのですが、なかなかそれを素直に口に出して言うことができず、悩んでおられます。二人揃って同じ人物のことで思い悩むあたり、ちゃんと親子になれていると、私はそう思いますよ。



・カトリーヌ/天王寺(てんのうじ) 梅花(ばいか)/女性/二七歳
 まだ二七歳。もうすぐ二八歳。女としての幸せも考えたいお年頃。でも南日本最強の術士という立場が許してくれない、だからそのへんの若人をからかって遊び、ストレスを発散する。そういう趣味を持った才媛です。
 第三部では、ただ強いだけではなく尋常でない生命力の持ち主であることが判明しました。秋谷さんはあれを、とある人物が密かに覚醒していた能力で治療した結果と考えていたのですが、諸事情あってその設定が無くなったため、本当に自力で生き延びただけのフィジカルモンスターに。
 第四部でも、おそらく皆様の想像を超える大暴れをご覧に入れるでしょう。



相田(あいだ) 友之(ともゆき)/男性/二二歳
 第一部からカトリーヌ様に想いを寄せていたはずが、実はそうではなかったと自覚してしまい、そこからあれよあれよと本当の恋を実らせた男性。何故それをもっと早いうちにできなかったのでしょう?
 小波様は体格の差でコンプレックスを抱いておいでですが、実は体内の魔素許容量で多少勝っている以外、突出した能力はありません。しかし視野が広く、危機察知能力には優れ、素直に命令に従うことから星海班にスカウトされました。本人は無自覚でしたが小波様との連携にも光るものがあったと言います。
 副業で小説家をしており、筆が乗っている時は寝食を忘れることもしばしば。近頃はそんな時、小波様が世話を焼いてくれるそうです。



(くるま) 小波(こなみ)/女性/二一歳
 友之様の幼馴染。第三部で長年の恋が実り、彼とは恋人同士に。けれど付き合う前に考えていた恋人らしい行為の大半を未だ実行できておらず、悶々とする日々。やむなく仕事に打ち込んで煩悩を忘れるようにしておられます。また南日本の少女達、特に斬花様とは年齢差を超えた友情で結ばれました。
 どんな状況でも冷静に、そして堅実に行動できることが長所。努力家で向上心を失わないところも朱璃様に共感されておいでです。
 第三部からDAシリーズを使用しており、その扱いの練度においては現在北日本の全戦力中ナンバーワンと目されています。



巌倉(いわくら) 義実(よしみ)/男性/四〇歳
 星海班一無口で大柄な男性。第三部で既婚者だと判明しました。さらに離婚も経験済。お子さんが三人いらっしゃり、一番上の娘さんは特異災害対策局に入局することが決定。すでに調査官になるための訓練を開始しています。
 実は心配性のお父さんなので、そんな娘さんに誤解を招くような気遣いをしてしまい、怒られてしまうことも。また娘さんや息子さんに似た子を見かけると放っておけない性分でもあるようです。別れた元・奥さんは同僚の妹さん。
 男性ながら多少の霊術を使える程度の霊力を有しており、霊力障壁で体表を覆い、体の一部分を硬化させる術を身に着けました。



門司(もんじ) 三幸(みゆき)/女性/四三歳
 第三部で、かつて巌倉様の義理の姉だったことが判明した星海班専従医師の女性。この方はマーカス様よりさらに生存能力が高く、現状全くの無傷です。生存能力というより特異な幸運に恵まれているのかもしれません。
 霊力もそれなりに強く、治癒術を覚えたことで医師としての能力も上がりました。いつも吸っているタバコは、実は健康に良い松葉タバコと呼ばれるものです。
 これまで全く結婚願望が無かったのに、最近アサヒ様と朱璃様にあてられてお見合いを受けようかと考え始めました。



大谷(おおたに) 大河(たいが)/女性/二一歳
 以前はアサヒ様の監視と護衛を務めておられた護衛隊士の女性。最近は朱璃様の身辺警護を任されています。南日本で霊術を学んだ結果、水を操る系統の術と相性の良いことが判明。大阪からの帰還後も霊術の鍛錬を継続しておられる他、同じ護衛隊の霊力保有者に対する指導の手伝いも行っています。
 最近の悩みは寝不足によると肌荒れと、毎日朝夕、朱璃様とアサヒ様のキスシーンを見せられることだそうです。



天王寺(てんのうじ) 月華(げっか)/女性/四〇〇歳以上(自己申告)
 第三部にて意外かもしれない正体が判明した女性。初登場時の外見は一〇歳前後でしたが、現在は七歳くらいになっておいでです。時間と空間に干渉する特別な力を有しており、それを使用する際の代償として年齢が退行します。
 さらには絶大な霊力を持ち、その最大量と出力、そして回復力は天才と呼ばれる朱璃様でも畏怖するほど。長生きしておられる分、小技も多彩で、一対一の状況でならアサヒ様も朱璃様も、カトリーヌ様も全く歯が立ちません。
 自分の養子であり弟子でもある子供達には過酷な訓練を課していますが、冷酷なわけではなく、目的のために必要なことを心を殺して実行できる決断力と忍耐力があるだけだということを、術士隊の皆様も承知しておられます。



天王寺(てんのうじ) 風花(ふうか)/女性/一四歳
 術士の多くは一五歳で成人と認められ、そこから様々な任務に就きます。しかし月華様に次ぐ霊力と高い素養の持ち主だったため、特例で一一歳から任務についている彼女は、南日本の朱璃様と呼べるかもしれません。天才なのです。
 ただ性格には難があり、落ち着きに欠け、前線での戦いではすぐに命を落としてしまいかねないため、徹底的に味方を守る防御専門の術士として育て上げられました。唯一、声の大きさを利用した音響破壊霊術は高い殺傷力を誇ります。
 特に好きな牛さんはハナコさんだそうです。



天王寺(てんのうじ) 烈花(れっか)/女性/一八歳
 よくよく考えると、唯一アサヒ様の精神年齢と同い年という女性。とはいえ出会った時にはすでに彼は朱璃様と仲睦まじい様子でしたので、恋愛感情は全く芽生えませんでした。それに、どちらかというと年上が好きだそうです。
 烈花というお名前は、術士隊において「炎を操ることにかけて右に出る者無し」を意味する称号のようなもので、先代の烈花様から自分以上と認められたことで継承しました。同世代の中の一人をライバル視しており、よく競っておいでです。
 第四部ではさらなる成長をお見せすることになるでしょう。



天王寺(てんのうじ) 斬花(きりか)/女性/一七歳
 才能に恵まれず、それでも弛まぬ努力を続けた結果、恐るべき新術を開発して月華様に新たな名を考えさせたお方。その剣技の冴えや一心に鍛錬へ打ち込む姿がとある人物を思い起こさせるため、月華様は当初“蓮花”の名を与えるつもりでした。
 今回、彼女自身も大活躍なさいますが、彼女が生み出した刃状障壁の術も遺憾無くその性能を発揮することでしょう。



星海(ほしみ) 開明(かいめい)/男性/一七歳
 第三部では出番も活躍もほとんどありませんでしたが、スピンオフ作品「人竜日記」では日本全体の未来を左右する、とてつもなく重大な行動を選択。線が細いのに「やはり星海」と言われることが一番多い少年。朱璃様からも「頭のネジが何本か飛んでるヤバイやつ」呼ばわりされています。
 前述の出来事から、南日本の天皇とは非常に親しい間柄に。なんと「お兄様」と呼ばれておいでです。私のマスターが大変悔しがっておられました。
 第四部本編でもあまり出番は無いのですが、朱璃様が義手に仕込んだ機能により大切な人のピンチを救うなど、裏では結構な活躍をなさっておいでです。具体的には手の平から圧縮魔素の光弾を放ったり、強力な魔素障壁を展開したりできます。眼帯の下にも切り札となる超兵器が仕込まれているとかいないとか。
 好みのタイプは「お淑やかで、純粋で、笑顔に人を癒す力がある女性」だとのこと。お父様と全く同じで、それに気付いた時、血の繋がりを強く感じました。



月灯(つきひ)/女性/一三歳
  第三部終盤で登場なさった南日本の天皇陛下。今もまだ幼いのですが、さらに幼い時分に先代が崩御なさったため、少女ながらに国家の象徴として気丈に振る舞っておいでです。
 スピンオフ作品にて開明様と出会い、意外な関係に。詳しくは「人竜日記」をごらんください。
 今回、とても慕っておられる月華様との関係についても詳細が明らかになります。



神木(かみき) 緋意子(ひいこ)/女性/三七歳

星海(ほしみ) (ほむら)/女性/六三歳

小畑(おばた) 小鳥(ことり)/女性/二九歳
 朱璃様のお母様とお祖母様。そして王室護衛隊の隊長様。第四部ではほとんど出番がありませんので、このような形に。ですが詳しく語られなかった“二月の大事件”では大いに暗躍。南日本から協力要請を受け派遣されて来た三人の少女とアサヒ様にトラウマを植え付け、えげつない手段で国内の敵を一掃されたそうです。



伊東(いとう) (あきら)/女性/享年三五歳
 アサヒ様のオリジナル・伊東 旭様のお母様。状況証拠的にご子息と同じ“渦巻く者”だった可能性が高く、やはり同様に記憶災害の維持限界を突破する因子を有していたと思われます。
 今も彼女は“ドロシー”の体内に囚われており、その能力を利用されたままです。



天王寺(てんのうじ) 桜花(おうか)/女性/享年二三歳
 アサヒ様をサルベージした南の天才術士。こと精神に干渉する術に関して言えば月華様以上の実力を誇っていました。
 一年前、アサヒ様を守るため自ら敵に捕食され命を落としましたが、第四部ではそんな彼女が──これ以上はトップシークレットです。



伊東(いとう) (あさひ)/男性/???
 アサヒ様のオリジナルにして北日本王国の初代王。第四部では意外な特技を持っていたことが判明。
 さらに、実は──すみません、またトップシークレットです。



・???/女性/???
 第三部にて登場した謎の女性。魔素に満ちた空間に潜み、そこから様々な場所をリアルタイムで観察。
 その正体は今回、意外と早い段階で明かされるでしょう。


◆ここからは第四部にて初登場の方です。



・水無瀬艦長/男性/三九歳
 海軍ナンバーツーの偉い人です。ただ、現代の海兵は軍人であると同時に漁師でもあり、この方も気さくで豪快な性格。お酒を嗜まないアサヒ様をしつこく誘って飲ませようとするなど、困った部分も多く見受けられます。
 しかし、その指揮能力は海軍随一。現在の世界で最も危険な場所と言われる海で戦うこと二十年弱、彼が率いる艦は乗員の死亡率が極めて低いことで有名。仲間を活かし、なおかつ戦果も挙げる名将として知られておいでです。



 主要人物のまとめは以上となります。それでは、引き続き世界観・用語解説へと進みましょう。
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登場人物紹介

 アサヒ。文明崩壊から二五〇年経過した日本の筑波山で気絶しているところを特殊災害対策局・星海班に発見された少年。保護した直後、班長の朱璃はわずかな手がかりから短時間で彼の「正体」を突き止めた。

 崩界の日と呼ばれる大災害やその後の困難から人類を救った英雄・伊東 旭に瓜二つ。当人もその英雄の記憶を持っている。だが崩界の日の直前までしか覚えていない。

 目付きが鋭く高身長。そのため見る者に威圧感を与えるが、内面はむしろ柔弱でおとなしい。崩界の日まではごく普通の人生を歩んでいた。

 ただし、当時から人並外れた身体能力の持ち主でもあった。夢はその才能を活かし、いつか開催されるかもしれないオリンピックに出てメダルを取れたら、女手一つで自分を育ててくれた母にそれを贈ること。

 朱璃には初対面でいきなり拷問されたため苦手意識を抱いている。

 星海 朱璃。後に「記憶災害」と名付けられた現象により文明が崩壊してから二五〇年後、南北に分裂した本州の片割れ「北日本王国」で特異災害調査官を務める天才少女。まだ一五歳。

 星海家にはドロシー・オズボーンという女性の血が入っており、世界に蔓延した記憶災害の原因物質「魔素」の影響か、代々彼女の身体的特徴を受け継いでいる。そのため日本人ながら髪は赤く、瞳は青い。顔立ちも日本人離れしている。

 優れた頭脳や才覚を認められた一部の人間しか入学を許されない高校に飛び級で入り、たった一年で卒業した。頭脳だけでなく身体能力や反射神経も優れており、体格の大きさが有利に働く「疑似魔法」においても魔素吸収能力の高さにより小柄な体という欠点を補っている。

 また、父を喪った出来事以来「恐怖心」も欠落しており、普通の人間なら躊躇うような危険にも必要とあらば迷わず突っ込んでいく。

 研究者としても優秀。現在の北日本王国兵が必ず装備している疑似魔法の威力を高める銃器「MWシリーズ」は彼女の発明。さらに国民全員が身に着けている静電気の発生を抑制するスキンスーツは彼女の両親の発明である。

 アサヒのことは非常に興味深い研究対象と認識している。

 マーカス。星海家と同じく魔素の特性によって先祖返りしたと思われるアフリカ系の特徴を持つ男。先祖は在日米軍兵だったルーカス・ブラウン。

 朱璃の護衛役であり彼女が調査官になる前からの保護者。親友だった朱璃の父が死んだ後、母親が育児放棄してしまったため代わりに引き取って育てた。

 死亡率の高い調査官の仕事を二十年以上続けている事実が示すように極めて優秀。特に危機察知能力と生還能力に優れており、情報を持ち帰ることが重視される調査官としては理想的な人材だと言える。

 コミュニケーション能力もけして低くない。ただし朱璃が絡むと父親としての顔が出てしまい、男子に対しては厳しい態度を取りがち。

 アサヒの存在を様々な意味で危険視している。

 カトリーヌ。本人はそう名乗っているが偽名で、自ら嘘だと周囲に明かしている。親からもらった名前に思うところがあるらしく誰にも教えたがらない。星海班でそれを知っているのは朱璃だけ。その朱璃とは年の離れた友人としても交流を重ねている。

 やはり先祖返りで金髪碧眼に生まれた。温和な性格で次に紹介する友之と共に班のムードメーカーを担っているが、実はずば抜けた戦闘センスの持ち主。竜と戦っても無傷で生還することが多い。

 友之に惚れられているが、彼女の側からはからかい甲斐のある後輩だとしか思っていない。

 旧時代の重火器をコレクションしており、それが朱璃の研究の一助にもなっている。

 相田 友之。根っから明るい快男児。調査官になってから数年経っているが、精鋭揃いの星海班の中では幼馴染の小波ともども新米扱い。なのでアサヒのことは弟分として可愛がっている。

 視野が広く、咄嗟の判断力に優れる。他の能力も平均以上に高いため、つい最近死亡した前任者二人の代わりに他班から引き抜かれた。

 副業としてSF作家をしており、それなりに人気がある。同期の小波とは子供の頃からの腐れ縁。しかしカトリーヌに出会った瞬間から鼻の下を伸ばし、アプローチを続けている。小波のことは世話の焼ける妹扱い。

 車 小波。友之の幼馴染で班長の朱璃を除くと最年少。全体的に平均より少し上といった能力だが、朱璃に配慮して男女比を半々にするため星海班への転属が決まった。努力家で根性なら人一倍鍛えてある。

 あからさまに友之に好意を寄せており周囲もそれに気が付いていて朱璃ですらさりげなくアシストすることがあるのだが、肝心の友之だけはそれに気付かずカトリーヌの尻を追いかけ回しているため恋が実る可能性は今のところ低い。

 友之ともども幼少期から「伊東 旭」の英雄譚を聞いて育った。なのでアサヒと接する時には若干緊張してしまう。

 巖倉 義実。通称はウォール。魔素の影響で大型化した三m近い巨漢。体格=魔素保有量=疑似魔法の性能になる現代では極めて優れた資質の持ち主。

 しかし、それゆえか進んで貧乏くじを引く、仲間の盾になりたがるなど献身的で自己犠牲を好む傾向にあり、生還が第一の調査官には不向きな性格。

 マーカスや後述の門司より年下だが、以前も同じ班にいたことがあり当時からの戦友。

 実はバツイチで別れた妻との間に三人の娘がいる。

 極めて無口で全く彼の声を聞かずに終わる日も多い。

 門司 三幸。調査班に必ず一人同行する決まりの専従医師。一応は戦闘訓練を受けているが、戦うのはあまり得意じゃない。アサルトライフルは治療行為の邪魔になるため朱璃に特別に作ってもらったハンドガン型のMWを愛用。

 愛煙家。ただし本物のタバコではない。この時代の医師は患者の体内の魔素を操作して検査を行ったり痛みを緩和したりできる。

 中杉 真司郎。通称ジロさん。マーカスよりさらに二十年ほど長く活躍している引退済みの局員も含めた最年長調査官。そのため局内では生ける伝説扱い。局長の神木 緋意子ですら彼に対しては敬意を払う。

 老いてなお優秀。常に冷静沈着。朱璃に対するアドバイザーとして配属されたが、彼女もまた誤った判断をすることが少ないので出番が無いなと苦笑している。

 家族は娘夫婦と孫が二人。

 神木 緋意子。特異災害対策局の現局長。マーカスとは同期で、かつて同じ班に所属していた。

 とある出来事以来、常に淡々とした話し方をする。目的のためには手段を選ばなくもなった。自分の最も大切なものですら駒として扱える。

 娘が一人いるが、親子としての会話は何年もしていない。

 北日本王国の現女王。初代王が優れた戦士だったため今も王家には優れた戦士であることが求められており、彼女も即位前は陸軍に所属していた。訓練教官をしていた時代もあり、対策局の問題児だったマーカスを預けられ鍛えたこともある。

 そして緋意子の母親。娘が王位継承権を捨てて同期の調査官に嫁いだので、今は孫を後継者に指名している。

 シルバー・ホーンと呼ばれる赤い巨竜。発生から十分間で自然消滅する記憶災害のルールに抗い、二五〇年前から存在し続け、荒廃した東京に今も居座っている。

 二足歩行で直立すると一〇〇m以上の巨体。多種多様な「竜」の中でも特に大型で高い戦闘能力を発揮しており、北日本の調査隊が東京へ送り込まれた際には高々度から巨大な炎を放って彼等を焼き払った。その時の衝撃波は福島まで到達している。さらに命名の由来になったサイのような角からは魔素すら焼き尽くす超高電圧の雷撃を放つ。

 知能も高く、未確認ながら南日本の術士達が使う「霊術」を行使したという噂もある。

 星海 開明。第二部から登場。

 朱璃のはとこ。良く似た顔立ちのせいで頻繁に間違われる。謙遜しているが頭脳でも匹敵。ただしこちらは高校生。

 母とは三年前に死別。父とは幼い頃からすれ違い。ほとんどの人間には友好的で朱璃やアサヒに対しても同様だが、緋意子に対しては敵意を向ける。

 星海 剣照。第二部から登場。

 開明の父で北日本王国軍の元帥。昔は前線で戦っていた。顔に当時の古傷が残っている。

 若い頃の夢を息子に託そうとしたものの、息子は彼の求める資質をことごとく持たずに生まれてきた。失望感を隠し切れず、そのせいで関係が悪化。今もろくに口を利かない。

 大谷 大河。第二部から登場。

 高い能力と王族に対する強い忠誠心を兼ね備えた者しか入隊できない王室護衛隊の隊士。アサヒの護衛役という名目の監視役。実は彼女を傍に付けたことには別の目的もある。

 勘が鋭く頭脳の回転も早い。王室護衛隊の名に恥じない優秀な隊士だが童顔でくせっ毛なことが本人の悩み。

 王族扱いになったアサヒに対しては敬意を払いつつも常に警戒している。

 小畑 小鳥。第二部から登場。

 元は女王付きのメイド。まだ現代社会に不慣れなアサヒのため世話役として貸し出された。

 常にたおやかな笑みの美女。しかし時々妙な圧を感じさせることも。

 天王寺 月華。第二部から登場。

 南日本を護る術士隊の長。外見は十歳程度の少女だが自称四百歳超え。霊術という人知れず伝承されてきた技の使い手。しかし彼女の使う霊術には他の誰も知らないものが多い。霊力の強さは完全に人の域から逸脱しており、地下都市・大阪全体は彼女の展開した結界により二五〇年間守られ続けている。

 崩界の日より二十年ほど前、どこからともなく突然現れて日本政府の中枢に食い込んだ。それ以前の経歴を知る者はいないが、本人は「霊術を魔法と呼ぶ場所にいた」と断片的に語っている。

 民を守るためなら時に老獪で卑劣な真似もする。非情にもなる。それでも多くの者達に慕われており、実質的に南日本を支えている柱。

 月灯。南日本の天皇。発育が良く大きく見えるものの、まだ十二歳。月華を他の誰よりも信頼する。しかし彼女と対立する「議員」達の手の内にあり、発言を抑え込まれている。

 天王寺 風花。第三部から登場。

 月華に継ぐ霊力を誇る最年少術士。気が優しく戦いには不向きな性格。しかし防御にかけては優秀なので月華の護衛につくことが多い。

 一年ほど北日本にスパイとして潜伏していた。向いてないように見えるが、あまりに天真爛漫なので誰にも疑われなかった。そして本人も任務を半分忘れて牛の世話に夢中だった。

 人懐っこい性格。ところが声が大きすぎて室内だと相手が失神することもある。

 天王寺 烈花。第三部から登場。

 烈花の名は術士隊一の炎の使い手と認められた証。元々高い火の精霊との親和性をさらに高めるため髪の一部を赤く染めたり男勝りに振る舞ったりしているが「オレ」という一人称はどうしても馴染めず「ボク」に落ち着いた。

 当代最強の術師と名高い「梅花姉様」に憧れ、彼女の伝説を真似て無茶ばかりしている。そのせいで生傷が絶えない。

 体育会系で下の子達の面倒見が良い。中身は割と乙女で好きなタイプは大きくて優しい人。できれば年上。

 天王寺 斬花。第三部から登場。

 術士隊最弱の霊力。才能に恵まれなかった分を他が絶句するほどの努力で補い、ついには唯一無二の技に開眼した。彼女の振るう刃は離れた場所から障害物を無視してあらゆる物体を両断する。

 烈花とは同い年。親友でライバルで一番仲の良い姉妹。

 愛刀は桜花から受け継いだ「夢桜」という銘の霊刀。

 天王寺 桜花。南日本の術士。第一部でアサヒを護って散った。

 霊術に関しては梅花以上の天才。特に精神に干渉する術を得意としていた。愛刀「夢桜」は彼女のその力を増幅する力を持つ。

 伊東 陽。旭の母。高校在学中に妊娠。相手の男子生徒は彼女の妊娠発覚直後に交通事故で死亡。その後、父親と大喧嘩して勘当され高校も中退。幸いにも地下都市建設計画が開始され働き口はいくらでもあったため、女手一つで息子を育てる。

 細腕からは想像し難い腕力と並外れた体力が自慢。病気にもかからず健康優良児を自称していたが、旭が中学生の時に長年の無理が祟って心臓病を発症し倒れる。

 不幸中の幸いで長期入院中に疎遠だった両親と和解。病気も数年間治療を優先し安静にしていたことで良くなり、地下都市へは両親と息子と共に四人で退避した。

 崩界の日、旭を庇って彼の代わりにシルバー・ホーンの顎にかかり、命を落とす。

 伊東 旭。北日本王国の初代王。魔素を無尽蔵に取り込み身体能力を強化。さらに取り込んだ魔素を自在に放出する能力を有する。

 長年その超人的な力で王国を守り続けて来たが、妻・ドロシーを失ってからしばらくして不意に姿を消す。行方は彼の娘でさえ知らなかった。

 アサヒは十七歳時点の彼を再現した記憶災害。

 全盛期の彼の強さは月華をして「怪物」と言わしめたほど。

 ???。第三部から登場する謎の女。全ての記憶災害の元凶と目される「蛇」を従え、遥かに離れた場所からアサヒ達を標的に様々な攻撃を仕掛けてくる。

 神にも等しい万能の力を振るうも、それに頼らない純粋な体術でも歴戦の特異災害調査官数名を圧倒するレベル。

 その行動からはアサヒと朱璃に対する強い執着が伺える。

 伊東 光理。北日本王国二代目の国王であり最初の女王。父には遠く及ばないものの十分に並外れた魔素吸収能力と身体能力、そして母譲りの頭脳を有し、旭が消息を絶った後の北日本を長く導いた。

 その他の主な業績として地下都市仙台から地下都市秋田への遷都を主導したことが挙げられる。朱璃達の属する特異災害対策局も彼女が国防の一環で設立した組織。

 性格は母親に似て合理主義。けれど弱者を見捨てられない性分も父から引き継いだ。旭の戦友「四騎士」の一人の息子と結婚する。

 王になった直後、伊東という姓は王らしくないという理由から改姓。以後は「星海 光理」と名乗るようになった。

 水無瀬 守人。実質的に漁業を生業とする北日本王国海軍が誇る名艦長。第四部にのみ登場。

 魔素吸収能力も頭脳も特に優れているわけではない。しかし勘と咄嗟の機転は働く方で彼が艦長になって以来、漁獲量は落とさぬまま乗員の死亡率は激減した。それに加えて気さくで陽気な性格でもあるため多くの海兵に慕われている。

 第四部の東京決戦では、とある兵器をノリノリで使用。同行した術士の少女達も気が付けば彼のテンションに同調してしまっていた。素晴らしい兵器の数々を生み出してくれた朱璃に対しては心の底から感謝している。

 仕事と部下達の面倒を見ることにかまけてばかりで、早婚が推奨されている時代なのに三十目前でまだ独身。

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