おもい

「彼氏ができたの」
彼女は今まで見たことないような顔で笑っていた。
その言葉を聞いて、心の中に重くて真っ黒な感情が入り込んできた。
「よかったじゃん」
その後どんな言葉を交わしたのかは、覚えていない。
ただ……自分が上手に笑えているのかどうかが気になった。

家に帰って鏡に向かうと、ちゃんと笑えていた。
けれど、スッと涙がこぼれた。
あふれ出て来るそれを止めずに、ただ流れるままにする。
真っ黒な感情があの子の不幸を願うけれど、私は必死にそれを押さえつける。

あの子とは、今後も親友だと思う。
だから私は、この胸にある思いと戦うのだろう。
ずっと、ずっと。