近くて遠い
文字数 425文字
「好き」も「嫌い」も言ってもらえるだけ、いいなと思う。
「好き」と言われて嬉しいのはわかる、とよく言われ、反対の「嫌い」に関しては、否定されてしまう。
「嫌いなんて、言われたくないよ」
私の友達である亜美はそう言ってくる。
そうかなあ、なんて言いながら私は天井を見て、後は適当にお茶を濁す。
私の好きな人は、遠い。
2学年も違う先輩は、私のことを知らない。
それに、接点もない。
廊下ですれ違うだけでドキドキする。
あの人は遠い人。
悲しくなるほどに。
先輩にとって、私は砂つぶのような存在でしかない。
好きも嫌いもない。
感情の波を起こすこともできない。
天井に向けていた視線を前に戻すと、亜美が私をじっと見ていた。
視線が合うと、パッと目をそらして、
「帰ろ」
とだけ言って、鞄を持ってスタスタと教室の扉に向かって歩いていく。
近くても、遠い存在なのかな……。
なんて、少し自意識過剰なことを思いながら立ち上がり、私は彼女を追いかけた。
遠くで聞こえる吹奏楽部の音が、やけに耳に残った。
「好き」と言われて嬉しいのはわかる、とよく言われ、反対の「嫌い」に関しては、否定されてしまう。
「嫌いなんて、言われたくないよ」
私の友達である亜美はそう言ってくる。
そうかなあ、なんて言いながら私は天井を見て、後は適当にお茶を濁す。
私の好きな人は、遠い。
2学年も違う先輩は、私のことを知らない。
それに、接点もない。
廊下ですれ違うだけでドキドキする。
あの人は遠い人。
悲しくなるほどに。
先輩にとって、私は砂つぶのような存在でしかない。
好きも嫌いもない。
感情の波を起こすこともできない。
天井に向けていた視線を前に戻すと、亜美が私をじっと見ていた。
視線が合うと、パッと目をそらして、
「帰ろ」
とだけ言って、鞄を持ってスタスタと教室の扉に向かって歩いていく。
近くても、遠い存在なのかな……。
なんて、少し自意識過剰なことを思いながら立ち上がり、私は彼女を追いかけた。
遠くで聞こえる吹奏楽部の音が、やけに耳に残った。