憎らしい欠片
文字数 453文字
『憧れの先輩の制服についているリボンを卒業式にもらう』
どこの世界にもありそうな、そんな卒業式の一幕に、奈美は参加した。
彼女が憧れている工藤比奈先輩のリボンがほしいと、私に何度も言っていた。
人気のある比奈先輩のことだから、もらえるかどうかわからないことを伝えたけれど、その時は奪い取ってでも……と言い出したので、眉間にチョップを見舞っておいた。
卒業式当日、彼女は無事にリボンを手に入れた。
とは言っても、切れ端だ。
どうやら、集まった比奈先輩のファンが多すぎたので、平等に分けようということになったらしい。
小指の爪の半分ほどの欠片を見ながら、奈美はうっとりとしていた。
比奈先輩を感じながら、これから先、学校生活を送れるのを想像しているようだった。
私は、比奈先輩に嫉妬をした。
奈美をここまで惹きつけることが羨ましくて、憎らしかった。
そして、同級生にリボンを送るという習慣がないことも恨んだ。
せめて、リボンだけでもこの先ずっと奈美と一緒にいられたらいいのになんて願いながら、私は彼女の持つ憎らしい欠片を見つめていた。
どこの世界にもありそうな、そんな卒業式の一幕に、奈美は参加した。
彼女が憧れている工藤比奈先輩のリボンがほしいと、私に何度も言っていた。
人気のある比奈先輩のことだから、もらえるかどうかわからないことを伝えたけれど、その時は奪い取ってでも……と言い出したので、眉間にチョップを見舞っておいた。
卒業式当日、彼女は無事にリボンを手に入れた。
とは言っても、切れ端だ。
どうやら、集まった比奈先輩のファンが多すぎたので、平等に分けようということになったらしい。
小指の爪の半分ほどの欠片を見ながら、奈美はうっとりとしていた。
比奈先輩を感じながら、これから先、学校生活を送れるのを想像しているようだった。
私は、比奈先輩に嫉妬をした。
奈美をここまで惹きつけることが羨ましくて、憎らしかった。
そして、同級生にリボンを送るという習慣がないことも恨んだ。
せめて、リボンだけでもこの先ずっと奈美と一緒にいられたらいいのになんて願いながら、私は彼女の持つ憎らしい欠片を見つめていた。