散リユク煙
文字数 406文字
「タバコ、臭い」
部屋の中で煙草を吸っていた私に向かって葵はそう言うと、部屋中の窓を開け始めた。
「寒いんだけど」
目の前で赤々と燃えている煙草の先端を目の端で見ながら、抗議をする。
「なら、早く消せばいいじゃん」
「まだ、吸い始めたばっか」
「そんなに何本も吸ってるくせに」
机に置かれた灰皿に溜まっている吸い殻に視線を寄越しながら、彼女はこちらへと歩み寄る。
「制服に臭いつくし」
まだ吸う部分が大量に残っている煙草を取り上げ、灰皿に押しつける。
「じゃあ、近付かない方がいいんじゃない?」
意地悪くそう言うと、私に背中を預ける体勢で座った。
「近付きたいし」
顔を後ろに反らしながら、葵は目を閉じた。
自然に唇を合わせる。
「臭いんじゃないの?」 もう一度意地悪を言うと、彼女は視線を逸らした。
「別に……嫌いとは言ってないし……」
もう一度唇を合わせる。
窓から入る風の冷たさを忘れさせるぐらいに、葵の唇が熱くなっていた。
部屋の中で煙草を吸っていた私に向かって葵はそう言うと、部屋中の窓を開け始めた。
「寒いんだけど」
目の前で赤々と燃えている煙草の先端を目の端で見ながら、抗議をする。
「なら、早く消せばいいじゃん」
「まだ、吸い始めたばっか」
「そんなに何本も吸ってるくせに」
机に置かれた灰皿に溜まっている吸い殻に視線を寄越しながら、彼女はこちらへと歩み寄る。
「制服に臭いつくし」
まだ吸う部分が大量に残っている煙草を取り上げ、灰皿に押しつける。
「じゃあ、近付かない方がいいんじゃない?」
意地悪くそう言うと、私に背中を預ける体勢で座った。
「近付きたいし」
顔を後ろに反らしながら、葵は目を閉じた。
自然に唇を合わせる。
「臭いんじゃないの?」 もう一度意地悪を言うと、彼女は視線を逸らした。
「別に……嫌いとは言ってないし……」
もう一度唇を合わせる。
窓から入る風の冷たさを忘れさせるぐらいに、葵の唇が熱くなっていた。