君になら、傷つけられてもいい

文字数 287文字

私が千歳に告白をした時、彼女は困惑していた。
「ああ、これはダメだな」
その顔を見て、自分の告白が失敗に終わったと思い込んでいた私に対して、彼女は意外な言葉を返してきた。
「いいよ」
でも、その後にこう続いた。

「でも、傷つくかもしれないよ」

風が私たちの間を通り過ぎ、千歳の髪の毛を揺らした。
隙間から見える目からは、覚悟がにじみ出ている。

「アナタに傷つけてもらえるなら、それでいい。ううん、それがいい」

何も考えずに出たその言葉を、千歳は愛おしそうに受け取った。
私たちは多分これから傷がつく。
だけど、それすらも愛おしいと思える日々を過ごしていく。
それが多分、幸福というものだと思うから。

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