恋、落ち着けない 3
文字数 1,230文字
好きな人と連絡先を交換、という一大事。
そこで冷静を繕えるほど人間できてない私。
でも気になる。
「大丈夫か?」
「うん……あの、何で、その……」
「何か用がある時に毎回今日みたいに一人になるの待てっての?」
ですよねー。
うん、まぁそうだよね。
そうなんだけど。それは申し訳ないので遠慮してほしいよ。でも私たち接点なさすぎるから、連絡先交換でもしないと用事一つでも、伝える方法が少なすぎて大変だよね。
手紙とか他に方法もありそうだけど……あ、無理。想像つかないや。
やっぱりそれはスマホ経由が一番簡単で確実そう。
それはそうなんだけど……。
「何か用ができる予定、あるの?」
でも今までずっと常葉君とは関わりなく過ごしてきたのだ。
表現おかしいけど彼は高嶺の花っていうか、今年は同じクラスだけど遠い人って位置で、何の会話もなくても問題なくお互い過ごしてきたはず。昨日のことがなければこの先もそうだったはず。
だから改めて連絡取れるようにと言われても、むしろ何か用があるんだろうかと思ってしまう。
そんな私に、常葉君は。
「別に、他の人の恋情を奪っていけって言うならそれでもいいけどね」
——!
そうだ、それがあった。
常葉君は、恋が何かに使うから必要で、それは誰かからとらないといけない人だ。
もしかするとその方がライバルが減っていいのかもしれない、とちょっとだけ考える私もいる。
でも。
私だってされたら嫌なことを、私が楽だから他の誰かにならしていいと思うのは、身勝手だよね? そういう人間にはなりたく無い。それは違うと思う。
だからって私もこの恋は取られたく無いけど、でも。他の子は、取られたこともわからないまま終わるんだよ。
「ダメ……だよ……本当は奪っていくのがダメだけど……何も知らないままで終わっていくのは、もっとダメだから」
私なら、常葉君に断られるまでは、何度だって好きになればいいだけ、だから。嫌だけど、でも取り戻せるから。
「できれば、しないでほしいな……」
うまく言えない。なんて言えばいいのかわからなくて。
それでも何とかそこまで言うと、常葉君は少しだけ目を細めた。
「ライバルが減るとか思わないんだな」
「ちょっとだけ思うよ。でもそういうのは違うと思うし、もし私がそんなこと言ったら……私が、奪っちゃダメっていうこと自体、白々しくなる、でしょう……?」
自信はないけど、手を握りしめて、言う。
勝手なこと言ってるかな?
でも。
私は私が誇れないようなことは言いたくないし、選びたくない。偉そうな信念とかそういうんじゃなく、後になって自分が嫌いになりそうなことをしたくないだけ。そうすることで嫌な目にあっても、それでも自分が嫌になるよりはマシだと思うから。
常葉君にだって、いつでも正面から向き合いたい。だから私は、私が信じられる自分でいたい。
それだけだ。
私の言葉に、常葉君は、困ったように笑って。
初めて見るその笑い顔に、私はまたドキドキした。
そこで冷静を繕えるほど人間できてない私。
でも気になる。
「大丈夫か?」
「うん……あの、何で、その……」
「何か用がある時に毎回今日みたいに一人になるの待てっての?」
ですよねー。
うん、まぁそうだよね。
そうなんだけど。それは申し訳ないので遠慮してほしいよ。でも私たち接点なさすぎるから、連絡先交換でもしないと用事一つでも、伝える方法が少なすぎて大変だよね。
手紙とか他に方法もありそうだけど……あ、無理。想像つかないや。
やっぱりそれはスマホ経由が一番簡単で確実そう。
それはそうなんだけど……。
「何か用ができる予定、あるの?」
でも今までずっと常葉君とは関わりなく過ごしてきたのだ。
表現おかしいけど彼は高嶺の花っていうか、今年は同じクラスだけど遠い人って位置で、何の会話もなくても問題なくお互い過ごしてきたはず。昨日のことがなければこの先もそうだったはず。
だから改めて連絡取れるようにと言われても、むしろ何か用があるんだろうかと思ってしまう。
そんな私に、常葉君は。
「別に、他の人の恋情を奪っていけって言うならそれでもいいけどね」
——!
そうだ、それがあった。
常葉君は、恋が何かに使うから必要で、それは誰かからとらないといけない人だ。
もしかするとその方がライバルが減っていいのかもしれない、とちょっとだけ考える私もいる。
でも。
私だってされたら嫌なことを、私が楽だから他の誰かにならしていいと思うのは、身勝手だよね? そういう人間にはなりたく無い。それは違うと思う。
だからって私もこの恋は取られたく無いけど、でも。他の子は、取られたこともわからないまま終わるんだよ。
「ダメ……だよ……本当は奪っていくのがダメだけど……何も知らないままで終わっていくのは、もっとダメだから」
私なら、常葉君に断られるまでは、何度だって好きになればいいだけ、だから。嫌だけど、でも取り戻せるから。
「できれば、しないでほしいな……」
うまく言えない。なんて言えばいいのかわからなくて。
それでも何とかそこまで言うと、常葉君は少しだけ目を細めた。
「ライバルが減るとか思わないんだな」
「ちょっとだけ思うよ。でもそういうのは違うと思うし、もし私がそんなこと言ったら……私が、奪っちゃダメっていうこと自体、白々しくなる、でしょう……?」
自信はないけど、手を握りしめて、言う。
勝手なこと言ってるかな?
でも。
私は私が誇れないようなことは言いたくないし、選びたくない。偉そうな信念とかそういうんじゃなく、後になって自分が嫌いになりそうなことをしたくないだけ。そうすることで嫌な目にあっても、それでも自分が嫌になるよりはマシだと思うから。
常葉君にだって、いつでも正面から向き合いたい。だから私は、私が信じられる自分でいたい。
それだけだ。
私の言葉に、常葉君は、困ったように笑って。
初めて見るその笑い顔に、私はまたドキドキした。