恋は道連れ 1
文字数 1,057文字
私の手を握った後、常葉君はまた前を向く。
でも私は、私の手を撫でる指先が気になって落ち着かない。こんな状態で真面目な話出来るのかなって思う。何で常葉君はこんなことしてるんだろう。
いつも以上にわからない。
「弥生さん、僕が最初の頃から変わってるって言ったよね」
「うん」
ご飯の時の話だろう。
告白した日から比べると実際、相当変わってると思うから頷く。口調とか態度とか、そういうの全部違ってる。前が猫被ってた、っていうには前の方がむしろ今よりも乱暴な、男子っぽい感じだったような気がするので、猫被ってるというなら今の方だろうかと思う。
かと言って今の常葉君が、私に対してそんな無理をしてるとも思えないんだけど。
「今の方が普通なんだよね。元から僕は自分から親しくしていきたい相手ほど丁寧に接するような人間で、普段は僕と言う方が自然で、学校とかの普段の方が多少無理してキャラ作ってるんだよ」
何で、とは言えなかった。
今の常葉君の話し方の方が学校という空間では浮くだろう、っていうのは簡単に想像がつく。
もちろんこの程度で常葉君が嫌われるとは思えないけど(むしろこれはこれで人気が上がりそうだ)、そういう目立ち方を好まないなら、あえてそういうキャラを作る以外無いだろうし。
「弥生さんに対してはそんな必要がないし、そういうのしたくなくなったし、親しくしたいと思い始めたら自然とこうなってます。もし嫌なら変わるように善処はするけど」
「嫌じゃないよ。常葉君が無理したりしてないなら、そのままでいいよ」
私はこれが常葉君の自然だというなら特に気にならないし。
むしろ繋いでる手の方が気になるし。
桜を見ていた時みたいな、手を繋いでなきゃいけない理由がここにはないから。新幹線の中、しかも座席は決まってて動くことなんてなくて、行きと同じように周りにはあんまりお客さんがいない状態。
通る人すらほとんどいないから見られて恥ずかしいってことはないけど、何で今手を繋いでるんだろうって思う。
嫌じゃないから剥がしたりしないけど、伝わる熱が、たまに動く指が、私の体温を上げる。
「うん、じゃあこのままで。それでね。僕はそう接したくなるくらい弥生さんを大事に想ってるのは確かなんだけど」
その言葉で、こんなにドキドキしてるのは、繋いだ手で伝わるんだろうか?
ドキドキよりも体温が伝わる方が早いかな?
私よりも大きくてちょっと硬いその手を、ずっと繋いでいたいような、早く離してほしいような、何とも言えない複雑な気分で常葉君の言葉の続きを待った。
でも私は、私の手を撫でる指先が気になって落ち着かない。こんな状態で真面目な話出来るのかなって思う。何で常葉君はこんなことしてるんだろう。
いつも以上にわからない。
「弥生さん、僕が最初の頃から変わってるって言ったよね」
「うん」
ご飯の時の話だろう。
告白した日から比べると実際、相当変わってると思うから頷く。口調とか態度とか、そういうの全部違ってる。前が猫被ってた、っていうには前の方がむしろ今よりも乱暴な、男子っぽい感じだったような気がするので、猫被ってるというなら今の方だろうかと思う。
かと言って今の常葉君が、私に対してそんな無理をしてるとも思えないんだけど。
「今の方が普通なんだよね。元から僕は自分から親しくしていきたい相手ほど丁寧に接するような人間で、普段は僕と言う方が自然で、学校とかの普段の方が多少無理してキャラ作ってるんだよ」
何で、とは言えなかった。
今の常葉君の話し方の方が学校という空間では浮くだろう、っていうのは簡単に想像がつく。
もちろんこの程度で常葉君が嫌われるとは思えないけど(むしろこれはこれで人気が上がりそうだ)、そういう目立ち方を好まないなら、あえてそういうキャラを作る以外無いだろうし。
「弥生さんに対してはそんな必要がないし、そういうのしたくなくなったし、親しくしたいと思い始めたら自然とこうなってます。もし嫌なら変わるように善処はするけど」
「嫌じゃないよ。常葉君が無理したりしてないなら、そのままでいいよ」
私はこれが常葉君の自然だというなら特に気にならないし。
むしろ繋いでる手の方が気になるし。
桜を見ていた時みたいな、手を繋いでなきゃいけない理由がここにはないから。新幹線の中、しかも座席は決まってて動くことなんてなくて、行きと同じように周りにはあんまりお客さんがいない状態。
通る人すらほとんどいないから見られて恥ずかしいってことはないけど、何で今手を繋いでるんだろうって思う。
嫌じゃないから剥がしたりしないけど、伝わる熱が、たまに動く指が、私の体温を上げる。
「うん、じゃあこのままで。それでね。僕はそう接したくなるくらい弥生さんを大事に想ってるのは確かなんだけど」
その言葉で、こんなにドキドキしてるのは、繋いだ手で伝わるんだろうか?
ドキドキよりも体温が伝わる方が早いかな?
私よりも大きくてちょっと硬いその手を、ずっと繋いでいたいような、早く離してほしいような、何とも言えない複雑な気分で常葉君の言葉の続きを待った。