【余談】恋は終わらない（〜年後）

「常葉君、常葉君、見て見て」
「ん？　あー、高校の卒アル？　何、恋歌さん買ってたの？」
「だって記念じゃない。常葉君は買ってないの？」
「別にいらないし」
「えー。もったいないよ」
「だってそんなに写ってないだろ」
「私はそうだけど……」
「え？　私は、って」
「常葉君は結構写ってる」
「マジで？　ちょっと見せて」
「いいよ、ほら」
「ふぅん……あー」
「ね？　常葉君いるでしょ」
「恋歌さんいないんじゃ意味なくない？」
「いーの！　常葉君いるからいいの」
「はぁ。恋歌さんは個人写真くらいか……あ、恋歌さん発見」
「きゃーっ！　見ちゃダメ！」
「え、自分は見てるのに俺はダメなの」
「だって恥ずかしいでしょーっ」
「何が？　可愛いでしょ」
「うぅ。子どもっぽいだけじゃない」
「それが可愛いんでしょ」
「……どうせもう可愛くないよ」
「今はもっと可愛いでしょ」
「——っ！！　またそういうこと言うーっ」
「痛い痛い」
「もう見ちゃダメ！」
「いいよ、別に」
「いいんだ……」
「昔の恋歌さんの写真ならパソコンにもっとあるし」
「は？」
「ディスクにも入れてるし、データ保存は完璧だよ」
「何、え、何の写真があるのっ！？」
「秘密ですー」
「後で見るもん！」
「ロックしてあるから無理。恋歌さんパスワード知らないでしょ」
「見せられない写真なの！？」
「まぁ俺以外には」
「ひどいよ！　勝手に写真撮るとか」
「だから俺だけ見れるようにしてるんじゃない」
「いやあああああ！　常葉君のばかああああ！」
「ところで恋歌さん」
「もう知らないっ！」
「いつ呼び方は変えるのかな」
「何のっ」
「あなたも来月には常葉なんですが？」
「……っ」
「何時呼んでもらえるのかなぁ僕の名前」
「し、し、知らないもん」
「待ってるのになぁ」
「うぅ〜っ」