恋と休日 1

文字数 1,013文字

 平日があれば休日があるわけで。
 常葉君とは学校でしか会えない。そもそもどこに住んでるかも知らないし。知りたいけど、そこまで踏み入っていいのかもわからない。
 ただ、健全な高校生である私は、休日他にも時間を使う用事はもちろんあるわけで。
 他にとは言っても、それは主に、別の学校に通っている智花と過ごす時間に当てているのだけど。
 学校が違うから、お互い会おうと時間を作らないと簡単に会えなくなる。高校に入ってからは、約束したことはないけれど決まって毎週日曜に家で会うようになっていた。
「おはよ」
 日曜の朝から私の家に来た智花は、勝手知ったるって感じで入ってきた。智花が来ること自体は小学校の頃から続いていることなので親はもう慣れきったものだし、どこか出かけるときには父さんが車を出してくれたりする。
 でもまぁ基本は私の部屋で遊んでるんだけど。
「智花ちゃん、お昼何がいい?」
「あー、パスタとか出来ます?」
「いいわよ〜。味は何でもいいかしら?」
「はいお任せします」
 母さんとそんな会話をした智花を連れて部屋に戻る。
 いつも昼は食べて、夕ご飯前に帰っていく。時々夕ご飯も一緒に食べる。母さんはいまだに3回に1回は失敗したご飯を出すんだけど、智花がそれに文句を言ったことはなかった。
 私が智花の家に行くことはあまりない。
 智花が自分の親とあまり仲良くないっていうのもあるし、ちょっと厳しい親だからっていうのもある。
 昔何度か見たけれど、笑うことがない、怖い顔だなっていう印象しかないご両親だった。智花の親の方から声をかけられた記憶もあまりない。
 昔……小学校の頃は、私と友達でいることにも何か言われてたみたいだけど、最近はもう言われていないらしい。むしろ喜んでるわよ、と前に智花は言っていたけど、その理由はわからない。
 同じ高校に行けなかったのは、学力の差以上に、智花の親が進学先を気にする人たちだったせいだ。
 仕方ないんだけどね。
 だって智花はそれだけ頭がいいから。期待をかけてしまうんだろう。
 このまま、大学もきっと違う場所になる。今ですら全国模試で毎回ランキング入りする智花が受けるのは、おそらく日本で一番難しい大学で、言うまでもないけど私には無理な場所だ。
 ちょっと寂しいけど、そんな親友がいるのは私の密かな自慢。誰にも言わないけど。
 日曜は、だいたい遊ぶけど、テスト前には智花に鍛えてもらったりする大事な日だ。
 今日は遊ぶけど。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み