第69話 「ポジティブ、ポジティブ、胡散臭い」

文字数 821文字

 おお、こういう意見、ハッキリ言ったか、と微笑んだ。
「車椅子乗ってたり、身体の不自由な人に、『お前、走れよ!』なんて言えないだろう。それなのに、疲れて鬱病みたいになってる人間に、不自由さが目に見えないからって『前向きになれよ、明るく、ポジティブに!』なんて言うヤツ、胡散臭い。ほんと、胡散臭い」
「ポジティブに、ポジティブに、なんて言うヤツほど、胡散臭いもんはねえ」
 言葉は汚いが、某氏が言っていた、YouTube。
「そんなねえ、綺麗なことばっかじゃないですよ。人間なんて、闇があるんだからさあ。そこら辺をどんどん、やって行きたいよね」

 パワー、あるなぁ。

 それはそれとして、一週間が早い。こないだ金曜日だったのが、今日もう木曜日。
 一ヵ月、一年も早い。もう年が明けて半年がさっさと過ぎた。
 恐ろしい。特に悶々と、うだつのあがらない文を書いてばかりいると、時間がアッというまに過ぎる。午前中も午後も、すぐ過ぎる。
 外はいい天気。だが、未来が見えない。軌道があれば、そこから外れる「自由」さを夢見ることもできるが…

「大江健三郎」をウィキで調べてみる。ついでに「近況」を見れば、5、6年前、女性自身だかの記者の記事。大学附属病院に行って、森田療法とかを受けている、神経症で、お酒の量も増えている云々。胡散臭い記事。
 大江も86歳。
 瀬戸内寂聴さんも、もう寝てばかりいるとか。世に、何か訴えてきたような人たちが、老いて行くのは悲しい。
 世の中なんて全然よくならないし、もう、ほんとにダメなんじゃなかろうか、などと、漠然と。

 オリンピックも開催されるようだし、ワクチンも接種しないと生きにくい。どっちも「仕方ない」か。
 明るいような、希望がありそうな未来が、どうしても見えないなぁ。
 希望って、つくるもの? つくられるもの、捏造されるものなのかな。
 ないから、つくる。つくるから、なくなる。
 荘子の家と、大江の家、その中間に、太宰の家。遊びに、行こう。
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