第67話 まぁ、しかし、結局

文字数 776文字

「面白い」ものを書けないことが致命的だわな。
 サービス精神とでもいうのか。読者を楽しませて、なんぼの世界だろう。
「安心・安全のオリンピック」、あのお経のような言葉が、ふいに頭をよぎる。
 ここは、こういう場所です。みんな、分かっているでしょう?
 こういう場所だから、こういう場所なんです。
 競技課目にないものを、持ち込まれても、見当違いですよ。
 どっかの何かのサイトでも見たでしょう、「ファンタジー主流の世界に現実的な世界を投稿しても、それはハタケ違いというものです」

「軽食店に、軽食を食べに行ったのに、重そうなどんぶりが出てきたら、そりゃ違いますよ。ネット小説は、読む人も書く人も、安易にできるのがウリなんです。その安易さで、しかしその読み手と書き手がいるから、一等地のビルで運営会社も成り立っているわけです」
「ここはこういう場所、ということで、決まっているんです。みんな、こういう場所だって、分かって、そういう作品が書かれ、そういう作品が読まれるわけです」
「そこに、椎名麟三や大江健三郎、荘子だモンテーニュだなど、ごちゃごちゃ言われてもねえ…」
「要するに、読まれないものはダメなんです」

「みんな、疲れてるんですよ。それなのに、訳の分からんこと書いて、さらに頭を疲れさせるようなこと書いて、どうするんですか」
 いやいや、ごもっともです。もう、限られた世界なんですね。ここはここ、あっちはあっち、そこはそこ。各々、もう「居場所」というものは、決まっているんですね。
 あなたの居場所は、自分でつくって下さい。少なくとも、ここではないように思えます。うちで出版したものの傾向をみて、分かりませんか? それに、あなたの書くもの、文は稚拙ですし、小説なんか、かなり酷い。
 早めに、あきらめた方が、いいと思いますよ。あなたのためでもあります。
 あい。わかりました…
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