第62話 「われらの時代」

文字数 800文字

 大江健三郎。今生きている、大好きな作家。大好きな? うん、大好きな。久しぶりに読んだ、「われらの時代」。
 いい書物を読むと(特に深夜に、咳込んで目が覚めて、もう眠れないなと思いつつ読み始め)、読み終えたら胸に来る高揚感、もう、いよいよ眠れるどころの話でなくなった。ついでに、夜も明けた。
 あとがきに、大江は、「読者を刺激したかった。平穏な日常に潜む狂気、非日常、その人間の底を書きたかった」というようなことを書いていた。
 凄い言葉の嵐で、やはり面白く読めた。

「我らの狂気を生き延びる道を教えよ」と、この「われらの時代」が大好きだ。新潮文庫の大江はぜんぶ持っているから、もう一度読み返したい気にもなるけれど、大江の本はとにかく頭を使うことを強いられる。この「強いられる」、これがたまらない。別に、本は何も強いていない。しかし、一度読み始めたら、もう止まらない。その世界に引きつけられて、埋没したくなる。

「同時代ゲーム」も楽しかったが、ここは漱石で一息入れよう。「行人」。以前ブログをやっていた時、よくコメントをくれたYさんに薦められて読んで、確かに良かった。しばらくは、大江と漱石を行ったり来たりしそうな気配。
 しかし文学って、その存在自体が、もう非日常だよな。頭の世界に旅に出る。
 わざわざ異世界とかボーイズラブとかガールズラブとか、どうして分けるんだろう。そして書く人は、どんな気持ちで書いているんだろう。どうしても表現したい欲求があるのかな。どうしようもない、自己があるのかな。

 さしあたって、あと10ヵ月はこの投稿サイトに書くつもりだけれど、どうなるかな。書き始めて、頓挫してるやつが幾つかあるから、来年の春までにぜんぶ終わらせて、という予定しかない。こんなこと、やっててもなぁ、という気には、いつも、なる。居場所? 自分の居場所…自分でつくって、やってくしかないよな。出たゾ、「しかない」。
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