第6話 回転軸

文字数 410文字

「こう振る舞えば良かった」と思うことは、よくある。
 だが、「そう振る舞えなかった自分」について考えることは、もっとよくある。
 時と場合によって、同じ私が全く違う私になる。
 だが、「その時々で変わる自分」は、変わらない。
「その時々で変わる自分」を、見続けること=生きること。
 楽しいではないか、生きていること。

 神は、ある。これは認めよう。人間の発案した、便利な道具だ。
 自分の力ではどうにもならないことに逢着した時、こうあってくれと未来を願う時、神の不在に関わらず、そのようなものにすがってしまうのだから。

 神は、運命という言葉と同じで、人を「あきらめさせる」ことでラクにする。

 自分を受け容れること。
 自分以外のものに自分を任せること。
 この二つは、ぐるりとまわって同じところに辿り着く。
 そのぐるりの回転は、ひっそりと、気がつかないうちに行なわれる。
 気がついた時は、先へ行けない壁に、またぞろブチ当たっている時だ。
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