第56話 ここ数日

文字数 1,080文字

 ここ数日、憂鬱症を絵に描いたように暮らしているけれど、もちろん、要因がある。必要な因。原因、遠因、ちょこちょこしたものが絡まい合って、こうなっている。一緒に住む人も、大変である。ブログを通じて知り合ったひとなので、ぼくの内面については理解されているようで(正直にブログに自分のことを書いていたから)、何だかんだと、もう10年位一緒にいる。
 それはそれとして、要因。現在アルファポリスに、「彼の一生」と「ホントウに愛するということ」を投稿していて、これが、かなり重い。でも、この2つは、どうしても最後まで書きたい。1話、送信するたびに、タマシイが抜けてく感じ。
 もう1つ、要因。金銭的な問題。いい加減、貯金も心細くなってきた。これは、また、重い。

 あとは、大江健三郎を読んでいることも、憂鬱に多少影響しているかもしれない。いや、憂鬱だから大江をまた読み返しているので、自分で引き寄せていることになる。「見る前に跳べ」。
 性的なことが主題になって、心や動作の描写が、これでもかこれでもかと、とんでもない語彙力を持って、機関銃みたいに、でも精密に、しつこく書くのが大江の特徴。いつも、寝る前に読んでいる。この本を読み始めて、あまり夢を見なくなった気がする。

 性的なこと。これが、きっと存在の根源なんだと思う。だから大江は、こだわっている。それはエッセイのように直接的なふうに追及できないものだから、小説という手段で、客観描写の影絵から、あぶり出す感じで、「ホントウのこと」を追っている。
 あの言葉のねばりつきは、ほんとにすごい。尋常でない。大江健三郎と椎名麟三、このふたりは、ぼくにとって雲の上の人だ。
 昔、ある文芸雑誌が、著者の名を出さないで、小説を複数載せた。誰が書いたのか、よく分からない作品が多かったけれど、椎名麟三のそれは、すぐ分かったという。芯を持った作家。

 あと、憂鬱の要因…1500pt以上行ったので、出版申請した際、返信に、「ウチではなく、他の出版社の方がいいんじゃないかと思う」というニュアンスの言葉があったこと。
 けっこう、効いた。あ、オレ、畑違いのところに書いてるのかな、という不安に、拍車が掛かった。今、ウケているらしい(?)「婚約破棄」のことなんか、書けない。読んだこともない。
 何やら毎日、書いているけれど、これが全然、あさっての場所、見当違いの豆鉄砲だったら…オレは何をやってるんだと、やたら不安になった。心臓ドキドキ、切羽詰まって、口パクパク。

 とにかく「彼の…」と「ホントウに…」、この2つを、しっかり、書きたい。書き終えたい。
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