第84話 眠れる夜のために

文字数 959文字

 よく眠れるようになったのには、理由がある。とにかく歩くこと。
 書くにも値しないほど、これは効く。歩いて歩いて、歩きまくる。値しないついでに書けば、直近でぼくのガラケーが示す万歩計は、15.000、20.000、15.000…と、まさに万歩を示し続けている。
 大体15分で1km歩くことになり、4kmで大体7.000歩である。ここ数日、平均10km弱、二足歩行をし続け、しかし時間にすれば1日24時間中の2~3時間、そう考えれば小さな時間のようにも思える。

 歩き始めた動機は、腹がぽっこり、出始めたからである。洋服を着ている分にはわからないが、裸になると腹が出ていた。
「オレ太ってきたのかな」家人に言えば、「あっら~!」となぜか嬉しそう。ぽんぽん叩かれると、腹はいい音を立てた。
「(妊娠)何ヵ月ですか?」などと、満面の笑みを讃えられ、腹を撫でられながら言われる。ぐーむ…。
 公衆の中で裸になる機会はほとんどないが、みっともないと思った。このままではイカンとなって、歩き出したという経緯。
 喫煙過多による不吉な咳も出始めていて、もうノベルデイズにもそんなに書くべきこともなくなった気も相成って、いっそアウトドア的日常にシフトした形。腹が出たことによる、一種の効用。

 目的がないと、なかなか歩くこともない。銭湯に行く、駅の方へ行く、とやたら理由をつけて、しかし根幹に「腹をひっこめる」があるから、歩く動機も二倍に心強く、強固なものになる。
 そして身体は正直に、膝がしっかり痛くなる。けっこうふらふらしたりもするが、そこは思い込んだら命懸け、0か100かの男の面目躍如。マスクを付けたり外したり(鼻のアブラを拭くために)を繰り返し、とにかく歩く。
 すると、夜もよく眠れるようになった。もともと寝つきが悪かったのが、いつのまにかコトンと寝ている。朝も、何やら気持ちがいい。

 続けることが肝心だとも思い知った。1日だけ沢山歩いても、身体さんがびっくりして、逆に眠れなかったりした。3日、4日と続けていくうちに、身体さんも馴染んできたようなのだ。
 日常的に腹式呼吸を心掛け、腰に負担のかからない腹筋運動などもして、胸に筋肉をつければ腹も目立たなくなるのでは、との考えから腕立て伏せも施行している。
 意外と、長生きするかもしれない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み