第73話 理想と幻想

文字数 332文字

 理想というのには、「我」がありそうだ。
 幻想は、「我」が幻に持って行かれそう。
 どっちも、「我」があっての「想」だが。

 「想」あっての「我」?
 いやいや、
 我想う、故に我あり、ではなく、
 我あり、故に想う、だろう。

 だって我が無かったら、何も想えない。

 しかし、想うから、我があることに気づき、
 世界があることに気づく。

 自己としては、我があるから、想う。
 それは、ひとりの世界。

 だが、同時に、ひとりでない世界に自己もある。
 その「ひとりで存在していない」世界に想いを馳せれば
 想うことから、自己がある、と言える。

 この両義性。ここに挟まれて、
 きっと、生きている。

 理想は、ひとりの世界。
 幻想は、その「ひとりの世界」をつくるもの。
 と、だから言えるだろう。
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