第46話 梅雨の晴れ間

文字数 776文字

 よく歩いた。ここ奈良でも、営業時間が短縮になっている飲食店が。そして町は賑わって、人が多かった。たぶん大阪からの人が多い。
 ソーシャル・ディスタンスとかいうけれど、「あれは、フィジカル・ディスタンスと言った方がいい。メンタルまで、ディスタンスすることはない」という言葉を、ヤフーニュースの記事で見て、ああ、そうだよなぁ、と思った。人と、身体的に距離を置くのは大切だけど、精神的には、一緒に、ガンバリマショウ、的なところか。

 言葉について、考える。言葉。荘子的には、「言葉で真実は言い表せない」となるが、真実はさておき、信用、信じられるかどうか、というところで、もう、終わってしまったツールのように、時々、思う。娯楽。適当。信じられなくて、当たり前。そんな空気を感じるのは、気のせいかな。
 信じるって、なんだろう、ということでもある。

 むかしの小説家のエッセイなんかを読めば、「作家なんて、そんなにお金になる仕事じゃないから」という言葉に逢着する。むかしから、きっと、そうなんだろう。物語つくって、そのための言葉、つくるのに、四苦八苦して、何のためにか、くるしんで、大変だったんだなと思う。
 エッセイなんかで、言いたいこと言って、それで食って行けたら、それはそれで問題だよな、とも思う。

 しかし、人、なんで本を読むんだろう。どうして文字を追うんだろう。不思議だ。テレビ(ないけど)やYouTubeでは、何か「足りなくなる」感じはする。動画も面白いけれど、どうしてか、「文字」を追いたくなる。なんでだろう。
 人間って、言葉を求めるのは、本能なのかな。誰かと一緒にいれば、会話をする。ひとりでいれば、本の存在が気になる。誰かといても言葉、ひとりでいても、言葉。これほど、用いられるツールも珍しい。
 夢の中でさえ、何か喋っているし、寝言さえ言う。

 ツカレタ。
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