第90話 本能と理性

文字数 489文字

 本能は、自己に重きを置く。理性は、自己以外のものへの比重が大きい。
 主観と客観、個人と社会、と置き換えられるだろう。
 主観、個人、自我というものは、わかりやすく見える。客観、社会は、わかりにくい。
 個は、社会(∴

)なくして、個であることさえできない。
 集は、個である前に、集である。

 個、自我というものと、集、社会というものの、あいだにあるものは、何もない。
 あるのは、ここにいる、という意識だけだ。
 個我と、集団。そのあいだには、おのおのの中にある意識以外に何もない。
 が、そこから、あらゆるものが生まれてくる。
 何もないところから、生まれてくる。
 まっさらな、更地。空き地から、何もかもが生まれてくるように見える。

 手のつけようのないところに、草木、雑草が生えるから、手をつけなくてはならなくなる。
 世迷い人が叫ぶ、
 わたしの本能はどこいった
 わたしの理性はどこにある

 わたしは何につくられた
 創造することができない者は
 この鬱蒼鬱屈した森に飲み込まれるほか、術がない
 それでも、抗おうというのなら
 それでも、抗おうというのなら──
 「革命か、反抗か」とサルが言った。
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