第83話 自己完結

文字数 625文字

 大好きな夏が終わり、もう10月。「ここからが早いんですよね~」とラジオのDJが言う。
「秋と春がなくなりましたよね」とも言う。暑いか寒いかの二季で、微妙な空気が長く居座らなくなった。すごいスピードで変わっていくのは、人間社会だけの話ではない。
 ところで、「胎動」というブログをノベルデイズに引っ越しさせて頂いて、必然読み直すことになり、ああ、これでオレは終わっていたんじゃないか、と思った。
 つまり、最初は「不特定・未知なる読者へ」の訴え掛け、自分はこんな人間なんですよ、を全面に押し出し、ここからモノを言っています、という形。
 次第に多くの人とやりとりが始まり、不特定が目に見えてきた気になって、社会は個々人だよなぁ、と、個々人の窮極の関係と思えた恋愛のテーマへ移る。しかしそれも自分と自分との関係が先にありきだな、となって、己の穴に落ち込んでいく形をとった。

 季節が変わるように、わたしも変わる。が、根本的には変わらない。季節が繰り返すように、わたしは繰り返す。
 ここ(ノベル…)で、わたしは何を目的にすればいいのかということ。大衆紙、週刊誌のようなことを書いても仕方ない。
〈 本質を見ようとしない者は(めくら)である 〉(漱石)に全身をもって同意する。
〈 表象されるものは全て比喩である 〉(ニーチェ)にも深く同意する。
 表立ったものばかりを、ほんとうに疑いなく、それを真と信じることができればいいのだが。
 連載している他編の、形だけの完結を急ぎたい。
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