第31話 ライナスの喜び

文字数 319文字

 スヌーピーの4コマ漫画に登場する、ルーシーとライナスという幼い姉弟がいる。
 ライナスは、「この本、読んで」とルーシーにせがむ。
 ルーシーは面倒くさくて、さっさと終わらせたい。で、ライナスからむしり取るようにその本を奪い、開いて、こう言う。
「昔々、ある所に、ある男がいました。男は生まれて、死にました。はい、終わり!」

 だが、投げ捨てられたその本を手に取り、ライナスはこうつぶやくのだ。
「なんてワクワクする本なんだろう…。実際、そういう男と会ってみたい」

 ぼくが自分にこだわって、せっせとここに投稿するのは、自分がライナスになりたいからのように思う。
 生まれて、死ぬまでの、1個人のこと。何でもない、ただの男の話。ぼくは書く側だけれども…
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