もひとつおまけのトリビア:ノーサイド
文字数 983文字
「
という発想は昔からあったようなんです。
だいたい「平家の怨霊」っていうわりには、有名なのって、知盛くんが義経の船出をちょこっと邪魔した疑惑くらいだ。
それもトモっちの白装束@血染めが見たいというファンの熱い声にこたえての、一日限りの再結成ライブだった。
古浄瑠璃に『義経地獄
「盛者必衰。(栄えすぎた)地獄もついに破滅して極楽になった」という、まことにアホくさい出だしから始まる。
地獄に堕ちている義経がある日弁慶を呼び出す。
彼らがいるのは修羅道というやつだ。武人などが生前に殺生をおかした罪で落とされて、死後もずっと戦いつづけなくてはならない。
義経「弁慶どうよ。この修羅道ゲッタウェイできない?」
弁慶「謀反して閻魔さまやっつけちゃいません?」
義経「いいね」
義経「そうだ平家の重盛さん誘おう」←重盛は清盛の長男
義経「重盛さん謀反とかどうすか」
重盛「じつはぼくらも前からそれどうかなって相談してた」
意気投合してあっさり話が決まり、「じゃ武器が必要だよね」ということになって、義経は宗近とか正宗とかいろいろ呼び出す。無茶ぶり。
刀工たちに「でも鉄がありません」と言われて、「地獄だから釜いっぱいあるんだから、釜のふた盗んでくればいいんじゃね?」と言って石川五右衛門とか呼び出す。無茶ぶりパート2。
で最速で刀つくらせて謀反する。
源平連合軍のパワー半端ない。
なぜかその中に織田信長。
鬼たちも門を閉じて防戦するんだけどだめで、ついに地獄の門が轟音とともに倒れる。
押さえていた鬼たちはみんなお寿司になる。←押し寿司
源平連合軍の大勝利。閻魔大王は降参して、泣く泣く出家する。
義経は討ち取った鬼たちの首を三途の川原に並べてさらし、
遊女たちをいっぱい呼んで酒盛りをしましたとさ。
ウェーイ!
めでたしめでたし。
後日談。
鞍馬天狗さんが地獄の義経んちに遊びに来る。お母さんの常盤御前が出てきて
「義経はいま留守なんですけどどうぞどうぞ」
ごちそうを出して侍女たちにお酌をさせて楽しくおしゃべりする。
常盤さん「うちの子がこんな立派になったのも、みんな鞍馬天狗さまのおかげです」
アホは私(『ダブルダブル』の作者)一人じゃなかったんである。