見つめていたい (1)
文字数 539文字
「死語」という検索語がいっしょに出てきたりする。
まあ、死語かもしれない。われらが帝都の超高層ビル群は、もはやコンクリートではできていない。
ガラスでできている。
あれは美しさや採光のためだと思っていたら、そうではなく、強化ガラスのほうがコンクリートよりはるかに強度にすぐれるからなのだそうだ。
ガラスの摩天楼たちはきらめく。真夏の太陽を受け、照りかえす。
乱反射。増幅。ダイアモンド、永遠の輝き。
灼熱地獄だ。
この地獄に、優雅に洗練されたエリートの男たちは、それでも黒い衣を脱がない。
「暑うおすなあ」
「ええ、ほんまに」
あ、そっか、京ことばじゃなくてよかったんだった。
そんな黒衣の美男が二人、吹きぬけのエレベーターホールにたたずんでいる。
「十三階でしたね。大会議室」片方がぽつりと言う。
「ええ」もう片方がぽつりと答える。
二人ともすでにぐったりしている。暑くて。
この十三という数字にとくに意味はないので気にしないでほしい。作者が昔住んでたマンションの階数だったと思うのだが、なんかよく憶えてないのだ。一階が大型家電店のジョーシンだったことは憶えてるんだけど。
ああ、もちろんこの完璧な