余談:弁慶の七つ道具
文字数 855文字
それが室町時代のいつかに書かれたらしい(なんだそのざっくりした話は)『義経記』になると、太刀、刀、まさかり、鎌、くまで、棍棒(木製)を持って出てくる(らしい。『義経記』いちおう読んだんだけどそこはぜんぜん記憶にない)。でもこれだとまだ六つだ。
江戸時代には七つになって、くまで、鎌、棍棒(鉄製)、木づち、のこぎり、まさかり、さすまた、だそうだ。刀がどっか行っちゃってる。それにさすまたってどうなの。先端がU字型になった、時代劇の捕り物で使うあれだ。弁慶いつから岡っ引きになったのよ。
弁慶と言えば長刀でしょう。長刀一択でしょう。
だいたい天下一の強力なんだから素手でじゅうぶんでしょう。
つねにそんな重い物をごちゃごちゃ背負ってるなんて頭が悪そうすぎる。
できる男・弁慶ファンの作者としては、すきっとストイックな感じのビジュアルで決定なんである。
フロリアン「でも武蔵さんて便利グッズ好きですよね?」
ベンジャミン「まあな」
フロ「そこは矛盾しないの?」
ベン「これのいちばん安いやつ1本で足りるわ」
ベンジャミンがおもむろにペンケースから取り出して見せたのは――
ヴィクトリノックスのマルチツールナイフであった。
5、6センチの赤い柄にいろんな刃がたたんで入ってるやつ。
1.ナイフ
2.はさみ
3.つめやすり
4.鍵リング
5.ピンセット
6.つまようじ
7.マイナスドライバー 2.5mm
フロ(そっち方向に行ったか……)
ベン「(まじめに)でも意外に使えないのよ。とくにつまようじ。
ふつうのつまようじのほうが断然使いやすい」
フロ「やっぱり?」
ベン「あ、逆にピンセットはもんのすごく使いやすい。毛抜き、とげ抜きね。めちゃくちゃよく抜けるの。力がうまく入って」←熱く語る
フロ「そうなんだ」
ベン「まあでもそれも毛抜きとバタフライナイフだけそれぞれ買えばいいって話だな」←冷静
フロ「やっぱり??」