Ep.79 十三階 (12ème étage)
文字数 1,403文字
俺とエリザベータは八階の電池の切れたカメラを交換し、五階と十階の回ることができる通路にもカメラを仕掛けた。
ウォーカーとゲラルハの二人は、うまく距離を保ちながら一階でジャックを引きつけている。まだ本気で攻撃を仕掛けないのは、ジャックが復活する時間を見極めるためだ。
先に実験した結果、ゲラルハのナックルダスターは約二十発、ウォーカーのナイフは約十回、エリザベータの銃は一発使用すると、ほぼ全ての体力を使い果たしてしまう。今仕掛けて、倒した途端に復活されたら、体力が無い状態で再び戦わなくてはいけない。パジェスたちの二の舞だ。もちろん戦わずに終わるならそれが一番いい。
俺とエリザベータは十二階に到着した。テオが隠れている階だ。
「このまま探しに行かないか ? 一秒でも早く終わらせたい」
十三階の回れる通路にはまだカメラを仕掛けていない。だが、それはそんなに必要なことではない。大事なことは、カメラを仕掛けることではなく、テオを探すことなのだから。
「そうね。わかったわ」
俺たちは、十二階で調査を開始した。
全てが黒の壁。
俺が壁にチョークで線を引きながら、どこに隠し扉があるのかを調査する。エリザベータは仕掛けたカメラを監視する役目だ。
壁はスベスベで、大理石のような感触だ。これなら取っ掛かりがあればすぐに気がつく。五分ほど探したが、まだわからない。
と、突然、一階にいたジャックが上を睨み、ゆっくりと階段へ向かった。
「ジズ。ジャックが階段に向かったわ」
「いま何階だ ?」
「二階」
「パンテーとパレンケは ?」
「後ろからついていってる。隙があったら攻撃を仕掛けそうだわ」
「ジャックの復活はどうだ ?」
先ほどウォーカーは、ジャックに攻撃を仕掛けて、コートに大きな裂傷を作った。この裂傷が直ったと同時に攻撃して倒せば、一時間はジャックが動かなくなる。
「コートは…解像度の問題で、そこまでは見えないわ」
「了解」
二人がジャックに攻撃を仕掛けていないということは、おそらくコートはまだ直っていないのだろう。
このまま十二階にいると袋小路に追い詰められて、少なくとも一人はジャックの餌食になる。俺たちは最初に立てた作戦通り、十階か十三階に向かうことにした。
となると、当然十三階だ。少し早めに行って、回れる通路にカメラを仕掛けておこう。
十三階に到着し、地図通りに進み、カメラを仕掛ける。
「あ !」
エリザベータが叫ぶ。
「どうした ?」
「ない」
「なにが ?」
「通路がないの !」
半分パニック状態になっている。俺は地図を見た。確かに回れるはずの通路になっているここは、行き止まりになっている。
なぜ ?
だが、理由を考えるより前に、俺たちにはやらなければならないことが残っていた。急いで逃げられる通路がある十階まで降りることだ。そうでなければ追い詰められてしまう。
「降りよう。ジャックはいま何階だ ?」
エリザベータは地図から目を離し、映像を見て青ざめた。
「…九階」
九階…。
十階には今から降りても間に合わない。そして、ここより上の階はない。つまり、今の時点ですでに袋小路に追い詰められている。
俺は瞬時に戦うことを決意した。
「ル・ポーン(孔雀) ! 戦闘準備をする。それから十三階の地図の書き換えを終わらせる。二分以内に終えて階段の前に集合だ」
言うが早いか、俺たちは素早くバラけて、地図の修正を終わらせた。
ウォーカーとゲラルハの二人は、うまく距離を保ちながら一階でジャックを引きつけている。まだ本気で攻撃を仕掛けないのは、ジャックが復活する時間を見極めるためだ。
先に実験した結果、ゲラルハのナックルダスターは約二十発、ウォーカーのナイフは約十回、エリザベータの銃は一発使用すると、ほぼ全ての体力を使い果たしてしまう。今仕掛けて、倒した途端に復活されたら、体力が無い状態で再び戦わなくてはいけない。パジェスたちの二の舞だ。もちろん戦わずに終わるならそれが一番いい。
俺とエリザベータは十二階に到着した。テオが隠れている階だ。
「このまま探しに行かないか ? 一秒でも早く終わらせたい」
十三階の回れる通路にはまだカメラを仕掛けていない。だが、それはそんなに必要なことではない。大事なことは、カメラを仕掛けることではなく、テオを探すことなのだから。
「そうね。わかったわ」
俺たちは、十二階で調査を開始した。
全てが黒の壁。
俺が壁にチョークで線を引きながら、どこに隠し扉があるのかを調査する。エリザベータは仕掛けたカメラを監視する役目だ。
壁はスベスベで、大理石のような感触だ。これなら取っ掛かりがあればすぐに気がつく。五分ほど探したが、まだわからない。
と、突然、一階にいたジャックが上を睨み、ゆっくりと階段へ向かった。
「ジズ。ジャックが階段に向かったわ」
「いま何階だ ?」
「二階」
「パンテーとパレンケは ?」
「後ろからついていってる。隙があったら攻撃を仕掛けそうだわ」
「ジャックの復活はどうだ ?」
先ほどウォーカーは、ジャックに攻撃を仕掛けて、コートに大きな裂傷を作った。この裂傷が直ったと同時に攻撃して倒せば、一時間はジャックが動かなくなる。
「コートは…解像度の問題で、そこまでは見えないわ」
「了解」
二人がジャックに攻撃を仕掛けていないということは、おそらくコートはまだ直っていないのだろう。
このまま十二階にいると袋小路に追い詰められて、少なくとも一人はジャックの餌食になる。俺たちは最初に立てた作戦通り、十階か十三階に向かうことにした。
となると、当然十三階だ。少し早めに行って、回れる通路にカメラを仕掛けておこう。
十三階に到着し、地図通りに進み、カメラを仕掛ける。
「あ !」
エリザベータが叫ぶ。
「どうした ?」
「ない」
「なにが ?」
「通路がないの !」
半分パニック状態になっている。俺は地図を見た。確かに回れるはずの通路になっているここは、行き止まりになっている。
なぜ ?
だが、理由を考えるより前に、俺たちにはやらなければならないことが残っていた。急いで逃げられる通路がある十階まで降りることだ。そうでなければ追い詰められてしまう。
「降りよう。ジャックはいま何階だ ?」
エリザベータは地図から目を離し、映像を見て青ざめた。
「…九階」
九階…。
十階には今から降りても間に合わない。そして、ここより上の階はない。つまり、今の時点ですでに袋小路に追い詰められている。
俺は瞬時に戦うことを決意した。
「ル・ポーン(孔雀) ! 戦闘準備をする。それから十三階の地図の書き換えを終わらせる。二分以内に終えて階段の前に集合だ」
言うが早いか、俺たちは素早くバラけて、地図の修正を終わらせた。