第41話

文字数 2,977文字


源三郎江戸日記(弟四部)41

お前は人を殺めた事があるのかと聞くと、ありませんよ、人を殺めて盗むなんぞは下の下の盗人のやる事ですよと言うので、殺さず、犯さず、貧乏人からは盗まぬと言うやつだなと、
言うと、最近はそういう盗人は少なくなったんですよと言うので、ところで、なんで女を寝取られたのだと聞くと、あっしの女ではなく腹ちがいの姉を手篭めにしたんですよと言う、
ので、

その姉はと聞くと今日一緒に捕まりましたと言うので、あの居酒屋の女将かと言うと、そうですが、盗人はやっちゃおりませんよ、引きこみを一度もやってはいません、奴が押入っ、
た先に奉公していたのです、顔を見られたと言って犯されて連れ去られたのです、逃げるように言いましたが、仲間だと思われているので、離れれば捕まって獄門になると言って、
逃げないのですと言うので、

そうか、それでわしをつけていたのかと言うと、まいったな、気がついていたんですかと言うので、助けたいかと聞くと、ヘイ、その代わりあっしが、獄門首になりやすと言うので、
その姉は本当に盗みはしておらぬのじあなと言うと、あの盗人宿の居酒屋の女将をしていただけです、平蔵が押入ったときもあそこにいましたと言うので、手配書は回っているのか、
と聞くと、

分かりませんと言うので、才蔵と呼ぶとす~と現れたので、これが本物の霧隠才蔵じあと言うと、それでは伊賀のと言うので、才蔵がお前は伊賀者かと聞くと、ハイ、百地頭の配下、
でしたと言うので、抜け忍かと聞くと、いや、忍びの世ではなくなったので自由にしてくれたのですと言うので、なぜわたしの名前を使っているのだと聞くと、父親の名前ですと言、
うので、

何父の名は一蔵かと聞くと、そうです才蔵さんはわたしの兄ですと言うので、そうか、お前が鶴吉かわしは長年伊賀に帰っていなかったからなと言うと、姉の名前はと聞くとすカスミ、
ですと言うので、九の一かと聞くと、いいえ、生まれは肥前佐賀ですと言うので、才蔵が佐賀に隠密として入り込んでいた次期があります、その時作ったのでしょう、それなら私にも、
腹違いの妹と言う事になりますと言うので、

才蔵この文を持って代官所に行き貰いうけて旅籠につれて来い、調べた結果盗人ではない事が判明した、平蔵の女だったが盗みには加わっていなかったので引き渡すように書いてある、
と言うと、有難う御座いますと言うと、部屋を出て行ったので、それではついてまいれと言うと旅籠に戻ったのです、今や才蔵は川越藩7万石の150石取りの藩士じあ、江戸深川に役宅、
があるぞと言うと、

川越藩と言うと村上家ですね、貴方は隠密の元締めですかと聞くので、わしは川越藩主じあよと言うと、それでは御老中の村上源三郎様ですかと聞くので、そうじあよ詳しい事は才蔵、
に聞けば良い、これからは才蔵の家人として奉公するが良いと言うと、勿体無いお言葉ですと平伏するので、頭を上げよと笑ったのです、才蔵がお菊を連れて来たので、平蔵に惚れて、
いるのかと聞くと、

いいえ無理やり女将をやらされていたのですと言うので、これからは兄弟仲良くせい、そなたは鶴吉と江戸にいき深川の才蔵の役宅で暮すのじあと言うと、ありがとう御座いますと言、
うので、鶴吉は霧隠一蔵と名を改めるが良いと言って、別部屋で三人で話せば良いと女将を呼び部屋を用意させると、三人は失礼しますと部屋を出て行ったのです、才蔵が今までの事、
は話さなくても良い、

これからは兄弟仲良く生きていこうというと、お菊がこんな事てあるのですね、兄様がいるなんて知りませんでした、一蔵は前から知っていましたが、抜け出す勇気がなかったのです、
2人がお殿様の為に奉公できるように、留守は預かりますと頭を下げたのです、翌日は一蔵とお菊に才蔵は手紙と20両を持たせて、博多から玄海屋の船に乗り江戸で待っているように、
言って別れたのです、

源三郎は各田に気をつけて行くように言って一行は肥前佐賀に向かって進んで行ったのです、飛猿が兄弟が2人も増えてよかったなと言うと、一蔵が盗人になっていたなんて殿に申し訳、
なくてというので、過去の事は封印するのじあ、ここにいる者も決して喋ってはならぬ、喋る必要もないじやろうと言ったのです、お菊に聞いた話しによりますと鍋島藩は石高38万石、
ですが、

鍋島家は元の主家である竜造寺家を乗っ取った形になっているので、その一門を家臣にして、自治を認めているそうで、鍋島家が自由になるのは7万石程度で38万石の格式をせねばなら、
ぬので大変だそうです、藩主の言う事は、きかないそうで鍋島公は困っているそうです、何とかしないと内紛が起きて、改易の憂き目に会うのではないかと、もつぱらの噂だそうです、

父上はそれを探りに行かれたのですが、幸い内紛は起こらなかったそうですが、最近は一門の増長は益々激しくなっているそうで、一門は城下には住まず呼び出しても知行地から出ない、
そうですと言うので、秋田藩と同じじあな、何とか掃除するしかないじあう、藩がなくなれば一門も何もあるわけないのに、困ったもんじあなと言ったのです、日のくれる前に佐賀の、
城下に着き、

旅籠にわらじを脱いだのです、さつそく巡察に出掛けて町を歩いていると、前から武士を乗せた馬が走って来て危うく大八車とぶつかりそうになり、大八車は横転すると、無礼者と言う、
と知らぬ顔をして走って来たので、町行く人が慌てて横によけたのです、乱暴に奴だと源三郎が前に立ちはだかり両手を広げると馬は前足を上げてヒヒヒ~ンと言って止り武士は転げ落、
ちたのです、

何をするか無礼者と言うのでばか者往来を馬でかけるとは、怪我人がでたらどうするのだと言うと、家来が追いついてきて、この方は鍋島一門の鍋島一茂様なるぞ、無礼を働くとタダで、
は済まんぞと言って一茂を助け起したのです、一門か何か知らんが馬鹿殿じあな、横転した大八車を弁償しろと言うと、浪人の分際でと5人が刀を抜いたので、ばか者と言うと刀を抜き、
踏み込んで切り下げると、

ぐわ~と言って真ん中の武士が刀を落として右手から血が流れたのです、次に右左を切り下げると2人も刀を落として右手を抱えたので、峰に持ち変え肩をピシ~と打つと3人はひっくり、
帰ったのです、一成の首に刀を突きつけて、さあ弁償するのだと言うと懐からサイフを出したので取り上げて中から1両を取り出して、大八車の男を呼お詫びの金だそうだと投げて渡し、
たのです、

後の2人はあまりの腕に後ずさりしたので、馬は没収する、欲しければ詫び状を書いて取りに来い、わしは諸国巡察視の村上源三郎である、来ない場合は城に乗り込み、藩主にこの仕儀を、
詰問するぞと言うと、ハハハッと言うと刀を仕舞い一茂を囲んで走って逃げたのです、大八車の男に怪我はないかと聞くと、ヘイ、左腕をと言うので見ると一寸程切れています、町衆に、
大八車を起して、

荷物を積み込むように頼むと、一人の浪人が任せておけと言うと、大八車を起こし転げた俵をひょいと担ぎ5俵を簡単に載せて、縛りつけたのです、かたじけない、まずは中へと居酒屋、
に誘い、女中に酒をもってこらせて消毒してふき取り、印籠からキズ薬を塗り、手ぬぐいで縛ったのです、どうだ痛むかと聞くと、大丈夫です有難うごぜいやしたと言うと、店を出て、
行ったのです、
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