第104話

文字数 2,999文字


源三郎江戸日記(弟四部)104

屋敷に戻るとお玉達が出迎えたので刀を渡して部屋に行くと、訳はおエミから聞いたかと言うと、ハイ、戸田一刀斉の娘のエミですねと言うのでエミに玉姫様じあよと言うと、ハイと言う、
ので知り合いかと言うと、お玉が良く知っていますよ、一刀斉どのが連れて来たことがありましたねと言うので、ハイ、江戸に父上と一緒に登った事があります、そのおりに玉姫様に目通、
りしました、

源三郎様の奥方様とは知りませんでしたと言うので、お玉がさぞかし苦労したのであろう、殿エミはこのまま屋敷に置いてくだされと言うと、お玉の方様私は汚れたからだです、このよう、
なお屋敷のご奉公は出来ませぬと言うと、何を言うかそんな事を気にする者はこの屋敷にはおらぬぞと言うので、平助と話しをして、そなたの身は貰い受けた、遠慮せずここにいるが良い、

武家姿は良く似合うぞと言うと、有難う御座います、下働きでも何でも、しますと言うので、後の事はわらわにまかせるのじあ、わらわの部屋に、来るのじあと言って連れて行ったのです、
お春とおみなが話しを聞きました、数奇な運命ですねと言うので、悪人を退治しても関係ない者が傷つくと言う事じあな、殿の命令とはいえ本当に気の毒な事をした、しかし、義父といえ、
自分の兄の手にかからなくて良かったと思うていると言うと、

神様が殿と再会させたのですよ、この屋敷にいれば安心です、みなの者にも差別しないようによう言いて聞かせますというので、頼むぞ、人の定めはわからぬものじあと言うと、なぜ尾張、
と争わねばならぬのですか、殿が一生懸命助けているのに、許せませぬとおみなが言うので、宗春は実の兄を亡き者にして自分が藩主になるつもりじあ、何とか、止めなくてはと言ったの、
です、

叩き潰したので暫くはおとなしくしているじあろう、白石め前回の将軍の後継では、継友殿の邪魔をして今度はその弟をたぶらかすとは、何と言う奴じあと言うと、やはり、伊衛門殿に、
首を打たせれば良かったではないですかと言うので、そうもいかぬよと笑うと、お春が茶漬けの用意をしたのでかきこんで、一息ついたぞと言うと、二人は膳を持ち部屋を出て行ったの、
です、

お玉が寝酒を持って来て、エミの事ですが殿がよければ側室になさりませと言うので、良いのかと聞くと、若くて夜伽できるのはおみなしかいませぬと言うので、わしは構わぬがエミは、
どういうかなと言うと、承知しましたとても喜んでいましたよ、エミは根岸の中屋敷のおあきに預けます、その方が良いでしょうと言うので、分かったというと、明日連れて行きますと、
言って、

今日の夜伽はエミにさせますと言うと部屋を出て行ったのです、寝酒を飲んでフトンに入ると、エミが部屋に入って来て、蝋燭を消してフトンに入って来て、こんな私で宜しいのですか、
と言うので、良いに決まっておる、過去は忘れてわしと一緒に生きるのじあと言って抱き寄せて唇を重ねて、裸にして燃え上がったのです、行為が終わると、こんな日が来るなんて夢の、
ようですと言うので、

そなたは根岸の中屋敷に住むと良いと言うと、ハイ、お玉の方様から聞きました、おあきの方様と仲良くしますと言うので、気さくな者じあよ町家の出じあが、小太刀は名手じあぞと言、
と殿私は戸田の娘ですと言うので、そうじやったな、そなたも小太刀は名手じゃったな、わしもやられた事があると言うと、わざと負けたのでしょうというので、何を言うかと笑うと、
父上が、

あの気使いがなければもっと腕は上がるのじあが、源三郎は剣客には向いておらんのじあよと言うておられました、あ奴は憎めない奴じあから、出世するじあろうと言うておられました、
がその通りになりましたねと手を握るので、わしといると危ない目にあうぞと言うと、私がお守りしますと言うので、それは頼もしいと再び燃え上がったのです、今日はここで寝るのじ、
あよと言うと、

ハイと言って胸に顔を埋めたので、そうじあ、宗春は近々藩主になると言っていたそうじあがと聞くと、ハイ、白石がそうなったら間部様にとりなすと言っていました、なんでも持病、
があるそうで、長くは生きられぬというていましたがと言うので、何の持病じあと聞くと、心の蔵の病で体に白い斑点が出て、時々黄色いタンを吐かれるそうですというので、それは、
ヒソ中毒の現象じあよ、

さては薬としょうして少しづつ砒素を盛っているな、よく、教えてくれたと言うと、何か役に立ちましたかと言うので、ああ、これで大体読めて来た、近々名古屋に行くぞ、エミも付、
いてまいれと言うと、一緒に旅が出来るのですかと言うので、そうじあ、用事が済んだら高鍋にも寄ろう、そなたの兄に側室にした事を知らせよう、過去の事は話さなくて良いと言う、
と、

ハイ、懐かしいですと言ったのです、翌日は出仕して御座所に行き、四国巡察の報告書を上様に提出して、木曽川は大変な工事ですな、容易には終わらぬでしょうというと、間部が、
3年はかかると現地の役人から報告がありました、まあ、薩摩の財力をそぐのも目的の一つですからしかたないでしょうというと、新井白石がこれで琉球との交易で蓄財した物は無、
くなるでしょうと言うので、

そんなに蓄財があるので、御座るかと聞くと、琉球王の暮らしは以前に比べれは良くなっているとの事です、薩摩には隠密は中々入れませぬが、琉球は薩摩が絞り取っているはずです、
余裕があると言う事は、薩摩はもっと余裕があると言う事だと、思いますと言うので、江戸屋敷の藩士はそんなに良い格好はしていませぬがと言うと、それはそう見せかけているので、
すよと言うので、

そうですか、最近は吉原に通いづめている、大名と旗本がいるらしいですが、その者こそ裕福なのではないかな、新井殿は行かれた事がありますかと聞くと、とんでもないと言うので、
わしの手の者が調べた処によりますと、葵の紋の羽織を来た大名と、井の紋の入った旗本が花月楼と言う遊郭に、入り浸りとかききましたが、しかも、昨夜その近くで、30人の藩士と、
6人の浪人といさかいがあり、

30人はことごとく、叩き潰されたという事です、なんでも女郎の、取り合いの喧嘩らしいですぞ、しかも、女郎の話では自分の兄に砒素を飲ませて毒殺して近々自分が当主になる等と、
物騒な事を言っていたにござるがと言うと、新井が額から汗を流しているので、今日は熱いのうと言うと、間部が本当で御座るかと聞くので、大目付に大勢が、怪我してしている屋敷、
を探させればすぐに分かるでしょうと言うと、

茶坊主に大目付の土居を呼んで来いと間部が言うと、土居に御座いますと来たので、間部が今の話しをして、葵の紋は徳川一門じあ、後は井の紋の旗本を調べよというと、承知しまし、
たと言ったのです、そういえば新井殿も井の紋どころですな、まさか、新井殿ほどの学者が吉原等に出入りするはずはありますまいと笑ったのです、新井が砒素なんて一言も言うてい、
ない、

さては引っ掛けるつもりじあと気がついて、遊郭で遊女を相手に砒素を兄に飲ませる等と喋るはずは御座らぬと言うので、みなさんなご存知ないかも知れぬがヒ素中毒は背中に白い、
斑点が出て、黄色いタンを吐くのでござる、その男は兄は心の蔵が弱くて、背中に白い斑点が出て時々黄色いタンを吐くというておったそうです、これは砒素中毒の症状なので御座、
る、

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