第51話

文字数 2,660文字


源三郎江戸日記(弟四部)51

早速船に乗り小倉に行き上陸して、源蔵におぬし達も町を少人数にわかれて巡察してくれと言うと、承知と言うと出掛けて行ったのです、小倉は小笠原家15万石の城下町で徳川親藩である、
忠雄殿だが藩財政も大変であろうと言って、七衛門と歩いていると1件の料理屋の前に人が集まっています、中から女が縄を掛けられて役人に引き立てられていったのです、何があったの、
だと聞くと、

フク中毒が出て1人が死に2人が深手だそうです、板前は逃げたらしく女将がお縄になったのですと言うので、そうかここは下関と同じでフクが取れるのだなと言うと、それで死んだのは、
誰だと聞くと、ハイいずれも小倉藩のお武家様だそうです、家老の佐々木様の家人1人が死んで、佐々木様と家人1人が深手でと事ですと言うので、しかしみるからに大きな料理屋だが、
へたな板前を雇ったもんだなと言うと、

なんでも最近雇われた三次郎と言う江戸から来た板前だそうで、小倉屋の紹介なので雇ったそうです、小倉屋も奉行所に呼ばれているそうですと言ったのです、この辺の見せは何処でも、
フク料理は食わせるのかと聞くと、頼めば大体だしますが中毒はあまりでません、素人が食って中毒になるのはたまにありますよと言ったのです、それではと言うと傍にあった居酒屋に、
入り、

酒とふく料理を頼むと、七衛門がおやめなさいませと言うので、大丈夫だよと言って注文すると、女中が良いのですかと聞くので、ここの板前も最近雇ったのかと聞くと、いいえここに、
奉公して2代目ですと言うので、それなら腕も確かだろうと言うと、あんな事があったばかりなので誰も注文しませんがと言うので、良いのじあよと言うと、それではフク刺しとテッチリ、
でいいですかと言うので、

それで良いと言うと、ハイと返事したのです、酒を出すのでハイを重ねたのです、飛猿と呼ぶと席に来たので、お前はフクの毒はわかるのかと聞くと、勿論です舌に少しの汁をなめれば、
分かります、少しでもピリピリと着ます、飲み込まなければ大丈夫ですと言って、腹を割き肝をとれば普通は大丈夫です、腹を割くときに肝を傷つけて外に出ればまずいですが、綺麗に、
洗えば大丈夫のはずです、

どれが肝だか分からない料理人は無理ですがと言うので、そうだろうな、もし非常に難しいなら沢山中毒が出るはずじあと言うと、タダ、江戸の板前だと言う事じあ、江戸では出回らな、
いので、よくしらなかったのかなと言うと、現地の知っている者から聞いているはずです、逃げたとなると何か腑に落ちないですねと言ったのです、フク刺しをもって来たので飛猿が一、
切れ口に入れ、

大丈夫ですよと言ったので食べると中々美味いなと言うと、七衛門も箸をつけて美味いですと笑ったのです、女中が度胸のある人達ですねと言うので、ここで中毒を出した事があるのか、
と聞くと、とんでもありません、この店は二代目ですが出した事はありませんよ、中毒になるのは素人が勝手に料理して食ってなるのが殆どです、出せば取り潰しになりますよと言った、
のです、

てつちりが来たのでこれも飛猿が汁を飲んで、大丈夫ですと言うと、その逃げた板前の事をすこし調べてみましょうと店を離れたのです、てつちりをつついて美味い、美味いと食べて、
いると、それをみていた客がフク料理を頼み始めて、となりから商人らしき男がやはり小倉はフクですよね、話を聞いてどうしょうかと思いましたが、あっしも頼みました、せっかく、
江戸から来たのに、

本場のふくを食えないなんてのはと思うていましたが、ようござんした、しかし、えらい度胸ですね江戸の方ですかと聞くので、そうじあよと言うと、あっしは三吉と言いやす江戸神田、
で唐物を商っています、長崎に仕入れに来た帰りですと言うので、何を扱っているのでと聞くと、ヘイ、陶磁器、ギヤマン、鼈甲の飾り物です、荷は船で江戸に送りやす、今回は荷が、
少ないです、

長崎の交易を制限した馬鹿な奴がいるそうです、しかし、何でも取引が洋銀になるとかで、従来より次回から増えるそうですので、安心しましたと言うので、江戸でも仕入れできるじあ、
ろうと言うと、良い品物は殆ど大名家に行くんですよ、あっしは小売ですので店先で商っています、一年に一辺は目利きにきやすと言うので、まあ、一献飲めと湯のみを持ってこらせて、
女中が酌をすると、

頂やすと飲んで、神田で盛況堂と言う屋号でやっています、江戸に帰ったら寄ってみてくださいと言うと席を離れたのです、そうか唐物はほとんど武家が買うのかと言うと、ほとんど、
大名家や旗本からの予約なのですよ、抜荷品を入れてもとても足りませんと言うので、余り輸入するわけにはいかんな、やはり、材料を輸入して国産するようにせないかんなと言うと、
そうですが、

舶来品と言うと欲しがるのも事実です、やはり、国産して外国に売り外国の評価が上がれば、国内でも人気がでるでしょうと言うので、なる程、物のよさは自分では気がつかない訳じあ、
なと言うと、どこの国でもそうですよ、いつでも手にはいる、と思えば意外と買わないもんですよ、舶来品は中々手に入らない、と思うので人気があるわけですと七衛門が言ったのです、

そうか、ルソンあたりの道畑で売っている物でも、綺麗な箱に入れておけば高級品に見えて高値で売れるわけかと言うと、目利きの出来る者はそういませんので、そう言う事になります、
そういえば、千の利休も道端で売っていた焼き物を大名が1000両で譲って欲しいと言われて売ったそうじあと言うと、価値とはそういうもんですと七衛門が笑ったのです、こんど、わし、
が焼いた湯のみを、

上様に献上すれば高値になるわけじあなと言うと、今江戸でやっている公家の作った連歌を書いたセンスが飛ぶように売れるのと同じですねと言うので、そうじあな、米沢焼も前藩主が、
焼いたと宣伝すれば売れ行きも違うじあろうというと、こんど、店先に出した物の一部に書いておきましょうと言うので、そうじあな、箱書きに入れておけば、ありがたみが出るじあろ、
うと笑ったのです、

山形が入って来て、悪さをしているごろつきを痛めつけましたが、流れのやくざでした、小倉屋をゆすっていたのです、店先でドスを突きつけて番頭を脅していました、何でも料理屋の、
逃げた板前から聞いたが、小倉屋がからんでいるのだろうと30両出せと脅したそうです、叩きだしてその板前の行方をききましたら、とっくに小倉を出たそうで、杵築藩から船で大阪に、
向かうと言っていたそうで、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み