第87話

文字数 2,873文字


源三郎江戸日記(弟四部)87

してどうじあな、そなたの目からして3万石が4万両の借財は妥当な線だったのかと聞くと、実質は4万石ですから年収は2万両、他の冥加金入れて多くて3万両位でしょうか、借財が4万両、
とすれば、年収より多い事になり、ギリギリの線であったと思います、後1万位増やす必要がありますと言うので、さすが商人じあの、実際は年収の半分位が安全圏じあな、今回2万両に、
借財が減ったとなれば、

貸しても良いではないかと言うと、自力で返されたわけではありませぬ、財政改革をせねば直ぐに元の借財に戻ります、まずは1万石の増収を計られた方が宜しいかと思います、その為の、
用立てなら喜んでやりますと言ったのです、ならば、今回問題になっている国境の二村は吉田藩領とした、由良では船に工夫して前から風が来ても進めるようにして魚場を広げ、浜辺に、
イケスを作り、

沢山取れたときにそこに放して、シケがあっても、そこから出荷できるようにした、又新田開発もやるように2000両を幕府から下しおいた、佛木寺の近辺の村には、新田開発するように、
2000両を下げ渡した、水路を開くのに多くの金寸がかかるが、水車を使えば水はくみ上げられる、傍にある小川から高い野原に水はくみ上げられるので、安く開発する事が出来るのじあ、

又今般1000石以上の禄を貰っている者にはすぺて1000石としたので、毎年3000石は浮く事になる、金寸に直して1500両となるこれは総て殖産の開発にまわす、以上が財政改革の骨子じあ、
が、5000両貸してくれぬか、これは伊達本家に融通する為の金寸じあと言うと、よくそこまでおやりになりました、喜んでご用立ていたします、尚利息は5年間棚上げとして、一銭も入り、
ませぬ、

皆様が身を切られたのです、私も同じようにいたします、殖産の奨励、新田開発にはご助力いたします、用立てるのは1万両です、5000両は宗家に用立て残りの5000両は新田開発、殖産の、
奨励にお使いくだされ、さすれば5年後には実収6万石も夢ではありませぬと言ったのです、よくぞ申した、色々の助力感謝するぞ、この小判は先代家宣様からの頂ものじあ、葵の刻印が、
入っておる、

珍しい小判じあと1枚渡すと、これは又貴重な物ですね、我が家の宝としますと喜んだのです、宗純が助力感謝するぞ、これはわしからの感謝の気持じあと脇差を差し出すと、貰ろうても、
宜しいのですかと言うと、遠慮するなと渡すと、これも我が家の宝としますと言うので、巴屋そなたに苗字帯刀をゆるす、腰にさしても良いぞ、その代わり、城に来て忌憚の無い意見を、
言うてくれと言うので、

わたくし如きが大した事は出来ませぬが承知致しましたと平伏したのです、宗純殿よく申された、そなたも時々巴屋にお忍びで足を運んで、世間の情報を仕入れると良いと言うと、ハイ、
今の御老中のなされ方で目がさめましました、大きな旗を作り先頭で振りますぞと言ったのです、これで、吉田藩の巡察は終わりに御座ると言うと、巴屋と城を出て城下に戻り居酒屋に、
入ったのです、

酒が来たので杯を重ねると、奥方様に御座りますかと聞くので、みなじあ宜しゅうになと言うと、申し送れましたが巴屋吉蔵に御座いますと挨拶して、ご老中が居酒屋で酒をお飲みにな、
るのですかと言うので、殿は気さくな人なのですよとおみなが笑ったのです、色々お話しを聞いて目からうろこが落ちましたと言うので、色々世話になったので儲け話をしてやろうと、
筆と紙を出して、

農機具で稲穂を落とす機械、海の魚を生きたまま山間に運ぶ工夫を紙にかき、大工に作らせてそなたが売れば良いと渡すと、これは凄い工夫ですな大儲け出来ますよと言うので、ついで、
じあと薬草と医術の本を渡して、山間では医師のいない村も多いじあろう、そなたは米を仕入れるのに色々村を回るのじろう、これを写本して庄屋に配ると良い、医師がいなくても治療、
出来る本じあと言うと、

これも凄い事ですね、わかりました、村の衆も喜びますと言って、私に名前をつけて、下さいませんかと言うので、そうじあなここは吉田じあから、吉田吉衛門と、なのるが良いと言うと、
良い名前で御座いますなあ、有難う御座ります、名前に負けぬように頑張ります、お礼に1万両御老中に寄進いたします、治世にお役だて下さいと言うので、藩に1万両出すのじあろう無理、
しなくても良いと言うと、

蔵には6万両からの蓄えがあります、寝かしておいてもしかたありません、後で船にお持ちします、帰って名前をみなに披露します、これで失礼しますが、ここはは私がと言い、1両をお、
いて店を出て行ったのです、おみなが儲かりましたねと酌をするので、そうだ、みんなに褒美を渡したのに、おみなには忘れておったと10両渡して、これで土産でも買うと良いと言うと、
ハイ、沢山買うて帰りますと喜んだのです、

翌日は大勢の者が見送りに来たので小船に乗り込み千石船に乗り移り、手を振って別れを惜しんのです、程なく宇和島に着き礼砲を11発打つと、桟橋から11発の銃声が聞こえたので、ほう、
答礼したぞと言うと、吉田藩が知らせたのですかねとおみなが言うと、調べに吉田藩に行っていた者がいるのじあろう、見たところ甲冑は着ていないようじなと言って小船に乗り上陸する、
と作之丞が迎えに出ており、

巡察ご苦労様に御座いますと言うと、傍にいた武士が宇和島藩国家老、篠田作座衛門にございます、今般我が藩の者がご迷惑をかけたそうで、まことに申し訳なく思うております、総ては、
国家老である、それがしの失態に御座ります、わが身はどうなってもよろしゅう御座います、宇和島藩にお咎め無きようにお願いいたします、まずは城にお上がりくだされと案内するので、
御座所に行くと、

下座に藩主宗贇が座ったので、上座に座り、今回の狼藉は許しがたいが、諸般の事情もある事ゆえ、特別に目こぼししてやるが、宗家への金寸の、用立ては出来るのかと聞くと、ハイ、
1万5千両は江戸屋が用立てしてくれましたので、江戸の宗家上屋敷に届けましたと言うので、それで借財はいか程になったのじあと聞くと、6万5千両になりましたが、徳政令での半減は、
せず、

利息を半額にして貰いましたので、今回の1万5千両の利息年750両が増えますので、しめて3250両が利息となりますと言うので、宗家は何と言っているのじあと聞くと、大変喜んでおり、
ますと言ったのです、聞いたと思うが二か村は吉田藩領として、金銀山は宇和島藩領とする、開発は倉吉に任せた、年に5万両の金、銀の産出が見込める、宇和島藩の取り分は2万5千両、
じあ、

これは総て幕府が買い上げて一月末に払うものとすると言うと、総て承知いたしますと宗贇が言ったのです、吉田藩は本家に5000両を納めるというている、宗家には吉田藩も用立てして、
くれたと言うのじあぞ、そうしないと吉田藩が肩身の狭い思いをするでなと言うと、ハイ、承知致しましたと言ったので、吉田藩の宗純は藩主格にするぞ、そなたも推挙願いを出すのじ、
あ、

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