第62話

文字数 2,532文字


源三郎江戸日記(弟四部)62

おあきが行儀がわるいですよ、その内牛になりますると言ったのです、お照はどうしているのじあと聞くと、昼からは小太刀の稽古の時間ですと言うので、たまには遊ばせろと言うと、
いつも遊んでいますよと言って、源之助殿は元気に御座りますか、と聞くので、ソロバンに夢中になっておるわ、若狭屋に似たのかのうと言うと、それは殿ににたのですよと言うので、
わしはソロバンは厭じゃったのだが、

父上に教えられたのじあよ、父上はソロバンを裏返しにして頭の中のソロバンをはじかれていたのじあ、それが正確なのじあよ、勘定方もごまかしは聞かぬじあろう、なんと言っても、
書付をペラ、ペラめくって頭のソロバンではじくのじあけど、一回も間違わぬのだから愕いたなと言うと、勘定奉行様はソロバンははじけたのですかと聞くので、いや、高鍋藩も100石、
以上で、

ソロバンがはじけたのは父上だけじあったなと言うと、川越藩の国家老の遠山殿ははじけるのですかと聞くので、好いた女子に教わったそうで、今でははじけるじあろうというと、まあ、
そばめがいるのですかと言うので、高鍋から川越に出て来て料理屋を開いておると言うと、そうですか、女子の力は凄いですねと言うので、息抜きの場所も必要じあろうというと、殿も、
何処かにいるのですかと聞くので、

ここが息抜きの場所じあよと言うと、嬉しいですと笑ったのです、すこし寝るぞ夕方には起してくれと言うと、承知しましたと言うと枕を持って来て体に着物をかけて部屋を出て行った、
ので、うとうとしてそのまま寝入ってしまったのです、おあきが起すのでもう夕方かと言うと、ハイ、もう日がくれますよと言うので、支度をして深川に向かったのです、屋敷には戻ら、
ず料理屋に行くと、

女将がおいでなされませ、銭屋が待っていますよと言うので、何の用じあと言って部屋に入ると、お久振りです、今回新井白石様に後ろ盾を頼まれまして、お引き受けいたしましたがと、
言うので、そうか、まあ金がないと何も出来ぬからなあと言うと、宜しいのですかと言うので、そなたが誰の後ろ盾になろうと自由じあよと言うと、小判を増産するので米の値段が下が、
ると言ておられましたがと言うので、

損しないうちに早く売れと、言う事じあろうというと、ハイ、よろしいのですかと聞くので、商売じあろう損して商いをする者等いないであろうというと、ハイ、預かり米ですので下落、
すると大名が実入りが少なくなりますので、早急に売りに出しますと言ったのです、預かり米は売りに出して、買い付け米は蔵にしまっておくのじあろう、みんなが売りに出すので一時、
は下落する、

米の値段が下がると庶民の口に入るので売れるが、薩摩などの米のとれない藩はこのさいと買い貯めるじあろう、その内米が不足してくるので今度は価格はじりじり上がりその内最高値、
になった時に売りにだせば大儲け出来るわけじあなと笑うと、これは読みの深いことで恐れ入りますと言うので、違法ではないのでしのこのは言わんが、ここまで新井は呼んでいるのか、
なと言うと、

いいえ、多分価格が下がりそれにつれて、物価も下がるので庶民が喜ぶと思うておられますと言うので、浅はかな考えじあなと言うと、この情報料として5000両を渡しましたと言うので、
そなたが損しなければ良いではないかと言うと、その手当ても考えておられるのでしょう、是非お聞かせくださいと言うので、なる程用意周到じあなと言うと、商人は油断してはダメな、
のですと言うので、

新井の尻ぬけをぬぐうのは厭じあが、みんなに迷惑がかかるとすれば何とかせねばならぬじあろう、多分途中で投げだして鋳造をひそかにやめるぞ、しかし、一旦上がり始めた物価を、
安定させるのは無理じあ、上がるところまでほっておけば、その内下がり始めるぞと言うと、それではみんなが暮しに困りますと言うので、いくら価格がさがっても庶民は米びつ分じあ、
から、

まあ10日分くらいしか買わぬよ、後は小売の蔵にあるわけじあよ、一気に売り出しても小売が沢山買うはずがない、米の値段が下がっても買い手がないわけじあ、買うのは大名くらいじ、
あろう、ほとんどの問屋は売れ残るわけじあが、価格は下がり続けるのじあよ、これ以上損は出来ないと問屋はうり控えをして価格が上がるのを待ち、すこしづつ供給することになる、
そのうち価格が上がり始めるので、

今の値段に来たときに、わしが介入して価格統制をしてそれ以上の値上げを禁止すれば良い、問屋も小売も大して損はしない、それに飢饉ではないので米が足りない事はないわけじあ、
と言うと、なる程と言って、それではとっておいても損はしないと言う事ですねと言うので、まあ、途中で慌てて売った奴が損すると言うわけじあなと言うと、鋳造をやめると金蔵の、
金寸は減るばかりになりますがと言うので、

地金が沢山あるのでそれを売りにだせば小判が集まるじあろう、小判の鋳造も年に1万両位は増やしていくのじあよ、そうすれば物価には影響せず、金蔵の金寸は増えると言うわけじあ、
と言うと、地金の売り先はと聞くので、外国じあよ小判で流出するから影響があるわけじあ、地金なら国内の小判が減るわけではないので影響ない、もちろん無制限ではなく制限しての、
販売じあ、

幸い、佐渡、串木野、呼野の金山は後100年は産出できる、交易は洋銀でやるようになるので、銀の流失も抑えられる、シナは外国に品物を売って、沢山の洋銀を持っている、シナが欲し、
いのは、銅銭を作る銅が欲しいのじあ、それを洋銀で買うので我が国も洋銀があっまるので、それでシナや南蛮から買えば良いのじあ、我が国の銅は金銀よりも数倍も産出しているので、
問題はないと言って、

ともかく今の流通貨幣の数を極端に増やしたり、減らしたりしてはいかん、世の中の発展に合わせて、計画的に増やしていけば問題ない訳じあよ、米は価格の基本になっているのである、
程度統制しなければならぬ、又飢饉の時の為に芋の栽培を奨励するのじあよ、そうすれば、餓死者を出さなくて済む、薩摩は77万石だが米は37万石くらいしか取れない、薩摩芋のお陰で、
飢饉時にも餓死者は出た事はないそうじあと言ったのです、

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