第32話

文字数 2,878文字


源三郎江戸日記(弟四部)32

大田屋にわしの知り合いが1000俵タダでくれたので、この米は近隣の百姓の飢饉のお助け米にして、売る米は又持ってくるぞ、それまではこの米を売れば良いと言うと、そうですか承知、
しました、いずれにしろ1000俵分は百姓にタダで渡しますと言ったのです、七衛門が肥後の鑑札と、出店を任せる平助をつれて来ましたというと、平助ですここで、儲けますと言うので、
宜しく頼むぞと言うと、

大田屋に紹介したのです、博多で千石船が売りに出ていましたので、買って改造して石垣に回航するように言いつけました、米500俵もつんでおきました、名主にタダで渡すように言うて、
おきました、二隻で回航して、一隻で帰らせますと言うので、ご苦労じゃったな、悪人は総て退治したぞと言うと、聞きましたと言うので、今日は馬を調達して日田まで行くぞ、七衛門、
と山形達は同行して、

船頭と船子はここで休養させろというと、何しにですかと聞くので、上手くいけば、金鉱脈が発見できるかもしれぬと話すと、又それは豪儀な事ですね、帰りは佐賀までは同じ距離です、
佐賀から博多に出て小倉に陸路を行ったほうが良いです、船は博多に戻しておきましょうというので、明日でよいぞ、日田まで馬でも、1日半はかかるじろうと言うと、ハイ、馬を調達、
してきますと言ったのです、

山形達に、事情を話すと承知と言うので、飛猿と才蔵も同行せよと言ったのです、大田屋が日田は、西国の郡代がいますが、色々と噂がありますと言うので、丁度巡察に良いなと言うと、
お預かりした5000両で殖産を奨励します、任せてくださいと言ったのです、ところで大田屋そなたは山師に知り合いはないかと聞くと、いますがと言うので、その者は熊本にいるのかと、
聞くと、

妻女が長患いで先月なくなりまして、帰ってきていましたが、49日の法要も終わったので、頭の処へ戻ると言っていましたがと言うので、頭はだれだと聞くと、穴山小助と言うお人で、
いま薩摩の串木野金山採掘を手がけていなさるそうですと言うので、小助の配下かそれは都合よい呼んで来てくれんかと言うと、番頭に呼びに行かせたのです、暫くして銀二といいます、
と挨拶するので、

わしは諸国巡察視の村上源三郎じあ、先日串木野金山の小助と会ったばかりじあと言うと、そうですか、わっしに何かと聞くので、これから日田に行くがそなたも同行してくれぬかこの、
辺の地理には、詳しいのであろうというと、日田に巡察にお行きになさるのですかと聞くので、巡察がてら金探しと言う事じあ、そなたはあの辺は探索した事があるのかと聞くと、ヘイ、
去年行きましたが、

熊本領内では発見できませんでした、日田は天領です郡代のお許しがでなかったので天領内は探索していませんと言うので、許可のでない理由はなんだと聞くと、クマが出没しているの、
で山はきこり以外立ち入り禁止にしていると言う事ですが、立ち入って伐採した切り株を見られると、横流ししているのが発覚するのでまずいと思うているんですよと言うので、大田屋、
の言うていた、

噂とはその事かして誰とつるんでいるのだと聞くと、はっきり分かりませんが多分日田屋だとおもいます天領地から熊本領内に流れている川があるのですが、そこで沢山の材木がいかだ、
を組んで運んでいるのを見ました、集積場は天領地の陣屋の傍にあります、そこから陸路を博多に運ぶはずです、わざわざ熊本領内に、運ぶはずはありませんと言うので、そうかそれも、
巡察せねばならんなと言って、

そなたには25両手間賃をはらおう、金が見つからなくても返すには及ばんと言うと、そんなに貰えるのですかと言うので、25両を渡すと、1時まって下さい、用意してきますというので、
馬はと聞くと、手に入れて道具を積んで支度してきますと傍を離れたのです、用意が出来たと銀二が来たので、それでは出立するぞと全員馬に乗り、見送りに来ていた、はまゆうと女将、
と大田屋に元気でなと言うと、

道中気をつけてくださいと言って手をふるので城下を出立してまずは阿蘇に向かったのです、銀二が阿蘇で一泊すれば後は半日で日田の陣屋に着きます、阿蘇の外輪山を登るのは骨が折、
れますが、ゆつくり行きましょう、噴火口もみれますよと言うので、底を覗けるのかと聞くと、ハイ大噴火は何千年もしていません、小噴火は時々あります、今は煙は出ていますがと言、
うので、しかしあれだけの外輪山があると言う事は、

大昔は大噴火したのじあろうというと、草千里という広大な野原があります、沢山の馬と牛が放牧されており、外輪山の中には沢山の村があり、宿場が一つあります、温泉宿があります、
のでそこに逗留しましょうと言ったのです、熊本領内には金山はないのかと聞くと、ええ見つかってはいません串木野にあれば熊本にあっても良いはずですがと言うので、地中深く眠っ、
ているのじあろう、

国境に中津江村と言うのがあるじあろう、そこには金があるとの伝説があるそうじあがと言うと、ハイ、それで探しに行ったのです、なんでも大昔に砂金がとれたそうです、くまなく探、
しましたが、国境を流れている川からも何も出てきませんでした、平家の落ち武者の村と言う事でそんな伝説が生まれたのでしょう、何人か山師が調べたそうですが山に入り行方不明に、
なった者もいるそうです、

確かにクマもいますからねと言ったのです、そうかあれば川から砂金の一粒くらいでるはずじあな、地層は岩盤かと聞くと、岩盤に石灰岩も沢山あります、火山地帯で温泉も沢山わいて、
いますからと言うので、それでは地下には鍾乳洞もあるのじあろう、伝説は地下の川ではないのかと言うと、なる程何処かに鍾乳洞があり川が流れておりそこに砂金があるのかも知れま、
せんねと言ったので、

平家の落ち武者が金を運んで来て隠したのかもしれぬなと言うと、村の者は何も知らないと言うていましたがと言うので、よそ者には喋らないのだよ、その村の者は何で生活しているの、
だと聞くと、天領地への林業による出稼ぎと畑に棚田を作っています、畑で取れたものは天領地の陣屋町に売りに行っています、村は200人位いると思いますと言ったのです、熊本藩の、
代官所はと聞くと、

阿蘇の代官が管轄しているそうです、この代官も悪い奴で馬のセリは阿蘇屋が仕切っているのですが、いい馬はセリにださず横流ししているのを、百姓が訴えても取り上げないとうです、
大枚の賄賂を貰っているのでしょう、セリにだせば一頭20両はするいい馬を10両で買い叩いているそうですよ、セリに出されるのは2両から10両までの馬だそうです、阿蘇屋は買い叩い、
た馬を、

セリに来た商人に高値で売りつけているのですよ、代官が取り上げないので阿蘇屋から仕入れるしかない訳ですと言ったのです、地場には他に商人はいないのかと聞くと、千里屋と言う、
商人がいるのですが、百姓が直接売りに行くと、阿蘇屋が博労を使い邪魔をするのですよと言うので、藩に訴えでないのかと言うと、そはんな事したら半殺しの目にあいますよと言った、
のです、

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