第83話

文字数 2,915文字


源三郎江戸日記(弟四部)83

その二つの村からの年貢で、返済する積もりなんじあなと言ったのです、どうして今頃とおみなが聞くので、関が原から100年達伊達宗家も、正宗公が蓄えた金寸も底をついたのじあろう、
何処の大名もこの100年人も増えてその石高ではやって行けなくなったのじあよ、簡単なのは商人に借財する事なので、それを繰り返して来て財政はいよいよ行き詰ったわけなんじあよと、
言ったのです、

そうか平穏に世になると人も増えるので、それにもとずいて工夫しなければ成り立たなくなるのですねと言うので、正宗公は領土を広げたときに将来に備えてせっせと蓄財されたのだろう、
沢山金を残すと、次の世代は何もしなくなりタダ消費する、と言うわけだと言うと、高鍋藩もそうだったのですかと聞くので、いや、いつも貧乏な藩で、先代からの蓄えは無かったのだが、

藩士も百姓も増えて益々やっていけなくなった訳じあ、それで殿がわしに何とかするように、言われたので物産会所を作り、微禄の藩士をそこで働かせて給金を出して救済したわけじあ、
そのお陰で今は3万石が実収6万石となり立ち直ったと言うわけじあな、しかし、又凡庸な殿が後を次ぐと、あっと言うまに散在して貧乏になるのじあよ、家老を含めて重臣がささえなけ、
ればならぬが、

それがネズミでは藩は崩壊すると言うわけじあなと言うと、毎年何もしなくて百姓から取れると思うているのですねと言うので、何世代も、続いているわけじあから当然だと思うだろう、
新田開発や物産の奨励も金がなければ出来ぬからなあ、せっぱつまった時はサイフは空っぽなので何も出来ないわけじあよと言ったのです、女中に何か美味い肴はないか聞くと、じゃこ、
天がありますと言うので、

それを頼むと言って、何かほかの名産はないのかと聞くと、わたしの村では櫨の木が沢山あり漆器を作っています、他に山奥では紙すきもやっています、水がよいので良い紙がすけるの、
のだそうです、由良あたりは鯛、アワビが沢山とれますよと言うので、ほら、きけば沢山あるじあろう、なぜ藩はその辺を奨励しないのだと言うと、お武家様がやるわけありませんよ、
庄屋や名主が藩に願い出ても、

藩に金がないそうで奨励金はでないのですよ、だから、みんなは暮らしに足しになるわずかをやっていなさるだ、わたしも兄弟が多くて、百姓だけでは食えなくなったので、ここに奉公、
にきているだ、中には女郎屋に売られる者も多いんですよと言ったのです、才蔵が傍に来て城下には悪人はいないようです、国境の揉め事は、佛木寺の周辺の村と海側の由良の村だそう、
です、

去年までの年貢は吉田藩に納めているそうです、今年から宇和島藩に納めるように言うて来たそうで、吉田藩は拒否して二つの村に代官所を作り、手勢を常駐させた事で宇和島藩が兵を、
送り、立ち去るように近くに兵200が駐屯しているそうです、小競り合いで数人が怪我をしたとの事です、宇和島藩は今月末までに立ち退かない場合は代官所を力づくで、占拠すると言、
っているそうです、

飛猿は佛木寺町に潜伏して様子を探っています、わたしもこれから行きますと言うので、金剛山の銀鉱脈も調べて見てくれと言うと、承知と言うと店を出て行ったのです、それでは町奉、
行所に行こうと行き奉行に面談して、国家老を呼んできなされと言うと、呼びにいかせて、暫くすると入って来たので、話は聞きもうした、この二つの村でいか程の石高なのじあと聞く、
と、およそ5000石に御座ると言うので、なる程本家に渡すと吉田藩は実質2万5千石となるわけじあな、

地図はあるかと言うと出したので今の国境はと聞くと、線引きしたので、この金剛山はと聞くと、村単位が国境になっていますので、どちら側ともいえませんと言うので、それが揉め事、
のはじまりじあと言うと、川が流れていますので、川のこちら側が吉田藩領となれば金剛山は向こう側ですので宇和島藩領となりますと言うので、それで良いのかと言うと、ハイ5000石、
を渡す事などできませんと言うので、

その線で本家に承諾させようと言うとお願いしますと言うので、直ちに武装を解き藩兵は引き上げさせよ、あすは宇和島藩兵を撤退させようと言ったのです、ところでこの金剛山はその、
昔、ここら一体を領地にしていた西園寺家が銀山を堀り出していた記録があるがと言うと、当藩でも調べましが坑道は塞がっています、代々済んでいるものに聞きましたが僅かな産出で、
閉山したそうです、

鉱脈は岩盤で僅かしか掘れなかったそうで、採算に合わなかったそうですと言うので、それは何百年も前の事で、鉱山採掘の技術が未熟だった時のことだ、今の技術をもってすれば多く、
の銀が採掘できる屋も知れぬ、そのとき文句を言っても取り上げぬがと言うと、ハイ、開発するのには何千両とかかるでしょう、そんな金寸は当藩にはありませぬ、好きに本家が開発さ、
れるのは異存ありませぬと言ったのです、

承知したそれではこれにて失礼すると言うと、奉行所を出て旅籠にもどったのです、山形達も戻って来て、国境の揉め事以外は、平穏に御座いますと言うので、それはめでたいと言うと、
これでは金寸は没収できませぬなあと言うので、仕方ない持ってきた2万両を使うとしょうと言って、明日は由良から佛木寺に周り、殖産を奨励してこようと言ったのです、山形が何を、
奨励されるのでと聞くので、

由良は海産物じあから、じあこ天、乾しアワビ、鯛料理じあ、イケスを作らせてそこで養殖して吉田、宇和島、で商いを盛んにさせれば良い、船の改造を教えてやろうと言って、佛木寺、
近辺の村では、漆器、紙すきを奨励させよう、又金剛山の銀鉱脈は火薬で採掘し、灰吹き法で精練すれば昔の5倍の産出量にはなるじあろう、さすれば沢山の実収になり宇和島も楽になる、
じあろうと言ったのです、

1万両もあれば十分じあよと言って、これからは入った物の3割りは、新たな投資をする仕組みを作っておかねばならぬ、それを条件に手助けする事にしょう、もし聞かない場合はその近辺、
は天領にすれば良いわと言ったのです、翌日は仁蔵に1万両、米50俵、千石船の帆を荷馬車に積むように言って、馬を調達して、まずは由良に向ったのです、漁師にここら辺の一番大きな、
網元の処へ案内させたのです、

わしは諸国巡察視の村上源三郎じあと言って、代官を呼んで来いと言うと、昨日全員引き上げなさいましたと言うので、宇和島藩兵はと聞くと、あの寺に常駐していますというので、案内、
しろと言って寺に行き、頭はだれだと聞くと、宇和島藩馬周り小頭古田に御座いますと言うので、直ちに宇和島藩に帰るのじあ、ここは吉田藩領とする、不服あらば戦支度でまっておれ、
わしが討伐しに行く、

城に大砲を打ち込み藩主の首は貰うと伝えよと言うと、わかり申した、簡単にこの領地は渡しませぬと言うと、宇和島藩兵30人は引き上げて行ったのです、網元の家に帰り、いままでの、
漁に頼っていてはいかぬ、船大工を呼びにやり、仁蔵船の改造を指南してやれと言って、網元にあの場所にイケスをつくり魚を入れておくのじあ、船の改造で少し遠くにもいけるじあろ、
う、

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