第61話

文字数 2,691文字


源三郎江戸日記(弟四部)61

なお正徳の改革はそのまま続ける事としますと言うので、承知つかまったと言ったのです、後日、老中、若年寄り等重臣が集まり顔あわせをしたのです、井伊殿、安部殿、井上殿に宜しく、
お頼みしますと言って御座所を下がり、御用部屋に行くと、井上が入って来て、間部殿は井伊殿、安部殿と政を進めるつもりですぞ、何故人選に口ばしをいれなかったので御座るかと聞く、
ので、

良い政策ならいいでは御座らぬかと言うと、新井白石ごときに頼っては良い政策など出来るものですか、机上の空論に御座る、何を言いだすやらと言うので、多分全国の金銀山の産出した、
金銀を幕府が半分買う事になりましたので、御金蔵の金寸は減ております、小判の増産をはかろうとするでしょう、急激に増やせば一時は物価の下落を招きますが、ジリジリと物価が上が、
ります、

今流通している貨幣の数を徐々に増やすのは良いですが、人の心理によって物価は上がり、下がりするのです、御金蔵に金寸がないと心配なのですよと言うと、それが分かっていれば阻止、
せねばなりませぬと言うので、他の老中を説得なされませと言うと、なぜ村上殿は後ろに引かれるのですかと聞くので、前に出ればそれがしが専横していると言われますよ、政は皆さんが、
やってください、

私はあくまでも相談役ですよと笑ったのです、新井白石が間部に村上殿は何か言うていましたかと聞くので、証拠がないものは罰する事はできぬと言うていたと答えると、そうで御座るか、
隠密は処分しました証拠はつかめませんと言うので、いいかげんに奴に係りあうのはよせと言うと、絶対に間部殿の邪魔をします、このままでは奴が幕府を思いのままにしますぞと言うと、

心配いらぬ、井伊、安部はわしの味方をする、合議制で決めるのでなんでも決められるわと言うと、裏切られないようにする事ですなと言うので、天満屋が後ろ盾じあ金寸をつかませれば、
言う事を聞くぞ、藩の台所は火の車らしいからのう、そなたは銭屋を後ろ盾にしたのじあろうと聞くと、そうでござると言うので、見返りに何を出したのじあと言うと、こんど小判の増産、
をするので、

米の値段が下落する、今の内に売り抜けと言うておきました、米の値段が下がれば、他の物価も下がり、民は米がたらふく食えて喜びます、早く決裁してくだされと言うので、たしかに、
幕府の金蔵も増える事になるので、今度の評定にかけて決めるぞ、金増産で金は沢山蔵にあるからな、寝かしておいても仕方ない、これも奴のお陰じあなと笑い、それでいか程銭屋から、
せしめたのじあと言うと、

5000両にござる、天満屋に教えて沢山貰いなされと新井が言うので、そうじあな、1万両は出させて、3人の老中に2千両づつ分けてやろう、大喜びするぞと言って、まさか逆に物価が上、
がる事はあるまいなと言うと、慶長小判と同じで金の含有量は増えるのです、物価は下がるに決まっています、この前は改鋳しょうとしたので流通量が減るとして失敗したのです、今回、
小判が増えるのです、

とりあえず年内に30万両を鋳造すれば、元禄小判との両替が進むでしょうと言ったのです、なんとか奴を幕閣から追い出す事はできぬのですかねと言うので、奴を老中から罷免してはな、
らぬとの遺言状をもっているので手は出せぬというと、それを奪う事はで来ぬのですかと言うので、深川の屋敷に押入るとでも言うのかと言うと、それがしは絶対奴をこの世から消して、
やりますぞと言って御用部屋を出て行ったのです、

間部がばかめ共倒れにしてやると笑ったのです、しばらくたって間部は三人の老中を1人づつ呼んで、後ろ盾の天満屋が8千両寄進したので、2千両づつ差し上げます、何の要求もしてい、
ませぬので賂では御座らぬ、お互い台所は厳しいと思いますので、遠慮なく受取りなされと言うと二人は遠慮なく頂きますと言ったのですが、井上は貰ろうても政は内容によっては反対、
いたすが宜しいかと言うので、

構いませぬと言うので、ならば有難く頂戴いたしますと言ったのです、井上が早速源三郎に話すと、さては、次の評定に小判増産を言いだすつもりじあなと言うと、それがしは絶対反対、
しますと言うので、井上殿は付録で、他の2人も貰ったのですよ、3人が賛成すればこの件は決まりですよと言うと、なる程、、それがしを除くと賂になるのであえて渡したので御座るな、
返してきますというので、

貰ろうておきなされ、貰ろうても貰わなくても同じに御座ると言うと、しかし心情が許せませぬと言うので、返せば徹底的に潰されますぞ、老中罷免も出来るのです、ここは我慢しなされ、
と言うと、何か手立てを考えてくだされと言うと、部屋を出て行ったのです、お手並み拝見と行こうと言って、城を下がり家臣は屋敷に帰るように言うと、山形がお供をと言うので、

飛猿と才蔵がついておる、そなた達は屋敷に戻るが良いと言うと、お気をつけくだされと言って空籠と一緒に帰っていったので、源三郎は川船に乗り根岸に向かったのです、根岸の寮は、
改築して下屋敷にしていたのです、おあきが迎えに出て、お戻りなさいませと言うので、暫くしたら深川に戻るぞと言うと、何か御用でもと聞くので、おまえの顔を見に来たのじあよと、
言うと、

まあ、嬉しいと言うので、昼餉を頼むいわしもなと言うと、ハイと言うと部屋を出て行ったのです、昼餉をもって来たので見ると、いわし焼にアジの叩きです、これは美味そうだと箸を、
つけて食べると、天下の老中になっても光物ですか、出入りの魚屋がいつも愕いていますよと言うので、こんな美味い物をなぜ武家は食わぬのじあろう、そうかだから馬鹿な政策しか考、
えられぬのじあなと笑ったのです、

何かあったのですかと聞くので、もう直ぐ米の値段等の物価が下がるのじあよと言うと、暮し易くなり良い事ではないですかと聞くので、大名、旗本は米を金に代えて生活しておる、米、
の値段が暴落すれば、藩の収入は激減して財政は窮するじあろうというと、あ~、そうですね武士は貧乏になる訳ですねと言うので、それで又借財が増えるという事じあ、その内に商人、
が売り惜しみをし始めると、

こんどは米の値段が上がり始め、他の物価も上がるわけじあ、損した分取り戻すまでは我慢して市場には米は出さんわけじあよ、困った事じあなと言うと、殿様なんとかして下さりませ、
と言うので、困った時の源三郎頼みじあなと笑うと、手は考えておられるのでしょうと言うので、又尻拭いと言うわけじあなと言ったのです、暫く知らん顔していようと、飯を食い終わ、
って横になって一服たばこを吸うと、

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