第40話

文字数 3,007文字


源三郎江戸日記(弟四部)40

先程の居酒屋に戻ると、火消しが中に入り燃えていないので、周りを探すと青い杉の葉の下に紙を置きその上に杉の葉が被せてありましたが、火は消えていたのです、付け火かしかし、
こんなので燃えるはずがないとぶつくさ言って、みんな大丈夫だ煙は納まった、火はついていないぞと言うと、配下に片付けさせて、女将に付け火だが火は消えている安心しなと言う、
と帰っていったのです、

店の煙は治まりました、さあ飲みなおししてください、お代は頂きませんよと言うと、客がぞろぞろと戻ったのです、二階にも何人かが、登っていったのですが、先程の男はいません、
女中に酒を頼むと、持って来て、びっくりしましたよと酌をするので、世の中には悪戯をする奴がいるもんだと言うと、二階から男が降りてきて、店を出て行ったのです、金が全然、
ないので愕いたじあろうと笑うと、

飛猿が傍に来て、博打場を閉めて、裏からこの店に入りました、浪人3人にごろつき6人です、と言うので、愕いて頭に知らせにいったぞと、訳を話すと、それは面白いと笑ったのです、
才蔵が戻ってきて、頭は船で堀を登り荒れ寺に入りました、配下は4人です、1人が入って来て、金を全部奪われたと言うと、頭が怒って、口縄の平蔵の盗人宿から金を盗むとは誰だと、
言うと、

傍にいた小頭と思われる奴がいぶして金を盗む手口は、霧隠の鶴吉の仕業ですよと言うと、くそ、鶴吉かと言うと、あいつは女の事で頭を憎んでいますすからねと言うと、あそこはま、
ずい役人が調べにくるかも知れん、今夜中に博打場と店はたたんで、ここに来るように言うのだと繋ぎを出しました、一稼ぎしてあそこで休んでいただけかも知れませんと言うので、
ひき続き見張ってくれと言うと、

2人は承知と言うと店を出て行ったのです、代官所に行き調べてみようと言うと、店を出て、代官所に行き諸国巡察視の村上源三郎じあが、代官はいるかと聞くと、ハイ、西田伸介に、
御座いますと言うので、口縄の平蔵のお手配書きをみせろと言うと、こちらにと座敷に通すので座ると、同心が茶を出したので、何者じあと聞くと、山陽道から西国を荒らしまわって、
いる急ぎ働きの盗人です、

先月下関の蝋燭問屋に押し込み、家人8人を殺して、深手を負った女中が顔を見ていたそうで、命は助かったとの事です、1200両を盗んで姿を消したそうです、それで何人で押入った、
のじあと聞くと、浪人3人に盗人8人だそうです、人相書きを見て口縄の平蔵の仕業と分かったそうですというので、奴らはこの小郡に盗人宿があると言うと、まことですかと言うので、
捕り物の支度をせいと言うと、

代官が全員を集めて準備しろと言ったのです、七衛門山形達に支度してここに集まるように言ってくれと言うと、承知と出て行ったのです、本陣には幕府御用金が積んである、これを、
奪われてはならんと言うと、ハハハッ必ず召し取りますと言ったのです、山形達が集まってきて準備できていますと言うので、飛猿の知らせを待てと言って待っていると、才蔵が店と、
博打場を閉めて、

全員が寺に集まりました、逃げる支度をしていますと言うので、代官行くぞと言うと、取り方を連れて荒れ寺に行き表と裏を固めて、それ打ち込めというと中に入り、口縄の平蔵逃れ、
るすべはないぞ、神妙に縛につけというと、15人が出て来て刀を抜き切り抜けろと頭が言うと、ばかめ山形痛めつけてやれと言うと、乱戦になったのです、山形達にかなうはずはなく、

次々と転がされたのです、浪人三人が山形に切りかかりましたが、三人とも肩の骨を叩きおられて転がったのです、口縄の平蔵とやら観念しろと言うと、しゃにむに刀を振り回したの、
で上段から一気に振り下ろすと、ぐわ~と言って刀を落としてと、右手から血が流れるとうずくまったのです、お前は獄門にかけてやる、殺した者の痛みを知れと、顔を拳でぶん殴っ、
たのです、

山形死なれてはおもしろくない、止血してやれと言うと肩口を手ぬぐいでしばったので、首の皮一枚残してやると言い、死ねと言って刀を振り下ろすと風を切る音がして首でピタリと、
刀が止まると、泡を吹いて気絶したのです、カツを入れて起して、死ぬ思いをしたであろう、簡単には殺さぬと笑うと、あんたは閻魔大王かと言うので、それより恐ろしいのさ、今日、
からは悪夢で寝れないぞと言ったのです、

みんなを引きたてろというと、代官所に引き立てられたのです、代官手柄であったぞ、あしたからは攻め抜いて痛めつけてやれ、口は塞いで置き自白なんかさせるなと言うと、承知、
しました、死ぬより辛い目にあってもらいますと言うので、まかせたぞ、ところで下関の蝋燭問屋には身寄りはないのかと聞くと、奥方は子供を連れて実家に戻っていたので助かっ、
たそうですと言うので、

奴が盗んだ1200両の内、1000両は確保してある、それは妻女に返してやれ、他に見舞金を1000両下げ渡す、生き残った女中と殺された者の遺族に分配するように使いを出して申せ、
と言って、同心について来いと言うと、風呂敷包みに入った1000両から800両を渡し、両替商に行き店を開けさせて、手形から1400両を出させ、手形を書き換えて代官所に運ばせて、

代官に2200両を渡して、2000両を下関に届けよ、200両はその方達の褒美じあ受取るが良いと言うと、承知いたしました、必ず届けますと言ったのです、それでは後は頼むと言うと、
代官所を出て、居酒屋に入り祝杯を上げたのです、今日の手当てじあと1人20両渡すと、この前も頂きましたがと言うと、悪人から巻き上げた金じあ、善人が使えば生きるのじあよ、
と言うと、

それではありがたくと受取ったので、もう悪人はいないじあろう、それぞれ遊んで来いと送り出したのです、七衛門もじあ、わしはさつき遊んだのじあよと言うと、そうでしたかと、
言うので、何もしないと気の毒じあと思たのじあよと笑ったのです、それでは銭湯にでもいくかと銭湯に行き、サツパリして上がり酒を飲んでいると、1人の男がさっき大捕り物が、
あったそうですがと言うので、

極悪人がつかまったそうじあと言うと、誰ですかねと聞くので、口縄の平蔵と言う奴らしいが、そいつの盗人宿を煙でいぶして1000両の上前を跳ねたやつは捕まっていないなんでも、
霧隠の鶴吉と言う奴らしいというと、盗人から盗むとは偉い奴ですねと言うので、なんでも平蔵に女を寝取られた仕返しと言うていたが、あんな男に寝取られるようじあ、よっぽど、
の間抜けなんじあろうと言うと、

それはあんまりじあないすですかと言うので、ほう、お前はその鶴吉を知っているのかと聞くと、いえ知りませんがと言うので、知らないはずはないじあろうというと、旦那カラム、
のはよしてくださいと立ち上がろうとするので、おっと、動くな霧隠の鶴吉と言うと、よして下さいというので、お前のその指は杉の葉の臭いがするぞ、いつもいぶしていれば臭い、
は消えぬものじあ、

素直に白状すれば解放してやるが、逃げれば真っ二つだ、逃げてみろと刀をそこに置くと、蛇に睨まれたカエルみたいに鶴吉は動けなくなったのです、まいりました、その通りです、
どうぞ好きにしてくだせえと言うので、証拠がないと捕まえられんかと言って、一杯ご馳走するなら見逃しても良いがと言うと、ヘイ、好きなだけ飲んでくださいと言うので、景気、
が良いな、

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