第1話

文字数 2,940文字


源三郎江戸日記(弟四部)1

家宣が将軍になり年号が正徳と改められたのです、役宅には今年の役料として1万石分の俸禄金4000両が届けられたのです、お玉がどうすればと言うので何かの時用に蓄えて置けばよいと、
言うと、それでは屋敷の蔵に保管しますと言ったのです、お玉も懐妊して男の子を生み治憲から一字貰い憲正となずけ、続けてお春、お秋が懐妊して女子の子を産んだのです、

家宣が将軍になり源三郎は四国から東海道まで巡察して、後は九州を残すのみとなったのです、家宣からの呼び出しがあり御座所に行くと、みんなを下がらせて、源三郎実を言うと医師、
のみたてで、胸に病巣がある事がわかった、世の治世は長く続かぬ、しかし、世の嫡子はわずか3才じあとても将軍職は勤まらぬ、そこで、後見役が必要じあが、後見役を間部がやる事、
になる、

奴は欲の深い奴じあ、これを押さえる者が必要じあ、それをそなたに頼みたい、今のままでは押さえるのは難しいじあろう、柳沢より川越7万石は召し上げ甲府8万石を加増して15万石と、
した、そなたを川越7万石にて大名に取り立ててる老中に就任して間部と新井の専横を防いでほしいのじあと言うので、なぜ私にと聞くと、そなたは欲がない世の太平が望みであろう、
年少の将軍なれば世の乱れとなるのは必定じあ、そなたが幕閣にいれば押さえとなるであろう、

上杉治憲には了承してもらっておる、と言うので、そうですか、それなら致し方ありませぬ承知仕りますと言うと、そうか、これでホットしたぞ、間部も5万石に加増して高崎に移封する、
そなたの家臣は高鍋、上杉家、旗本より選ぶと良い、そなたは老中じあが、間部は老中格とすると言ったのです、ただ正座は出来るようになってくれ、あれはなれればなんと言う事はな、
い、裃も老中ならつけるしかないじあろうと笑うので、

努力いたしますと言うと、諸国巡察視は兼任じあ、けっしてこの役目と老中のお役ごめんはしてはならぬと遺言しておこうと言ったのです、間部を呼び朱印状をしたためさせ、皆を御座所、
に集めて、源三郎の川越藩7万石の大名取り立ててと老中就任、間部の5万石での高崎移封と老中格への就任をいいつけたのです、後は老中で話するが良いと家宣は御座所を下がったのです、

老中達が祝いを言うので、諸国巡察が主な役目なれば毎日の出仕は致しませぬが、何かあらばお呼びくだされと話すと、間部が承知しております、なにとぞお手わらかにと言うので、皆様、
は治世に長けております、それがしが口出す事はあまりないでしょうと言うと、上様は世継の事は何か申されましたかと聞くので、世継は家綱様に決まっておるのではと言うと、まだ3才、
に御座りますと言うので、

皆が守り立ててれば宜しいのではと言うと、そうで御座るなと間部が言ったのです、御座所を下がり上杉の上屋敷に戻り、治憲にこの事を言うと、上様から聞いておる、堅苦しい大名等、
厭であろうが、しかたないじあろう、間部と新井の専横を止められるのは源三郎しかおるまい、わしからも頼むぞと言うので、政種様もご存知ですかと聞くと、わしから話しておいた、
父上は非常に喜んでおられたぞ、

そなたの父も自慢の息子だと言うていたぞ、さつそく報告に行くが良い、そなたが幕閣に入れば外様大名は安堵するじあろう、上杉家から家臣として連れて行ってもよいぞと言ったので、
す、お絹の方が出て来て、おめでとう御座りますと言うので、治憲が源三郎は何も目出度いとは思うていないよ、めんどくさいと言う顔をしているであろうと笑うので、大名に取り立て、
られて、

厭な顔をするのは源三郎殿だけで御座いますよと笑ったのです、役宅に帰りお玉に話すと、ついに大名ですか、それもいきなり老中とはおめでとう御座りますと言いたいですが、おきの毒、
に御座いますなと笑うので、諸国巡察視はそのままじあから、気楽に出来るのじあよ、しかし、お玉は江戸から離れる事はできぬぞと言うと、仕方ありませぬ、お春かお秋を連れて行きな、
されと言ったのです、

それでは政種様に報告してくる、帰りには根岸により泊まってくるぞと言うと、承知致しました、お秋とお母上によしなにと言ったのです、高鍋藩の上屋敷に行き政種に面会すると、とう、
とうここまで来たな、外様の家臣から老中が出るとは前代未聞じあな、これで幕閣の風通しもよくなるじあろう、そなたの父と源一朗を呼んでやろうと言って小姓にたのんだのです、

白石殿はその後と聞くと、家老職を罷免して無役とした、源一郎に江戸家老になってもらっている、何とか藩内も落ち着いたようじあと言うので、そうですか、それは何よりですと言うと、
父上と兄上が入って来たので、父上出過ぎたまねをして申し訳ありませぬと言うと、世の為じあ仕方ないであろう、しかし、よくここまで上り詰めた、足を引ぱる者が増えるであろうが、
そなたなら大丈夫じあろうと笑ったのです、

兄上も江戸家老になられたよし、おめでとう御座いますと言うと、源三郎こそ大名に取り立てられて、老中に就任したそうじあな、立派なもんじあ、我が藩の事も宜しく頼むぞと言うので、
無用な大名取り潰しは幕閣はやりませぬ、安心してくだされと言うと、次の代では間部と白井の腹は分からぬからな、用心しなくてはと言ったのです、落ち着いたら高鍋にも行って来ます、
近頃お爺様は寝込みがちと聞いていますと言うと、

今年は90におなりじあ、もう直ぐ迎えがくるであろう、早めに顔を出してやると良いと言うので、承知致しましたと言うと、高鍋藩の上屋敷を出て深川に行き若狭屋に話をすると、そうで、
すかついに大名ですかと喜んで、さつそく祝いをやりましょうと言うと、料理屋に行きみなを集めて膳を囲んだのです、今までと変わらぬのでよしなにと言うと、新之助が老中が1人で、
町をうろつくなど聞いた事がないと言うので、

諸国巡察視の役目があるので仕方ないじあろう、知らん顔していてくれと言ったのです、暫くすると女将が柳沢様がお越しですと言うので、部屋に顔を出すと、いよいよ老中じあなと言う、
ので、参りましたと言うと、そなたが幕閣に入ってくれれば安心じあ、間部と新井は何をするかわからんからのう、わしも隠居するぞと言うので、多分甲府からどこかへの移封を画策する、
でしょうと言うと、

それは構わんのじあよ、なるべく遠くに行くほうが、狙われなくて良いであろう、吉里には決し軽挙な行動は取らぬように言いっけてあると言って、土屋殿、秋元殿も顔を見せるというて、
おったまずは一献と杯を重ねたのです、土屋と秋元が顔を出して再び杯を重ねると、2人が隠居願いを出したらお許しにはならず、再度老中になるように言われたので宜しく頼むぞと言う、
ので、おまかせ下さりませ、決して間部と新井に政の専横はさせませぬといったのです、

これはみなからの祝い金じあと言って、それぞれ50両づつ渡して、わしは渡すのはこれが最後じあなと柳沢が言うので、これからは間部、新井から貰う事にしましょうと笑うと、そうじあ、
な知恵を貸すたびに取り立てればよいなと三人が笑ったのです、何かあらば遠慮なく言うてくれ、この2人はいかなる時も、そなたの味方をするぞと、土屋と秋元が言ったのです、

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