第86話

文字数 2,893文字


源三郎江戸日記(弟四部)86

作之丞城下に戻り、この事を宇和島公に知らせよ、開発資金は幕府が用立てたので心配するな、明日宇和島に行くので、戦支度で迎えても良いぞ、大体両藩とも勝って過ぎる、少しは何、
とかする藩士はおらぬのか、ぼんくらばかりかとわしが怒っておったと伝えよ、これから吉田に戻り藩主にお灸を据えてくるというと、申し訳ごさりませぬ、逆らろうた者には腹を切ら、
せるように殿にいいます、

それがしもその後腹を切りますと言うので、ばかな事はおやめなされ、腹を切らねばならぬのは藩主じあ、わしが行くまで、誰も腹は切ってはいかんこれは命令じあと言うと、承知いた、
しましたと言うと屋敷を出て宇和島に戻ったのです、庄屋に米30俵も下げ渡す、みんなで分けるが良いと言うと、村の者は大喜びしますと深々と頭を下げたのです、それでは城下に戻る、
ぞと言うと、

城下に戻り、仁蔵にご苦労じやった1000両は船に戻しておいてくれ、見張りを残して上陸して銭湯に行き女子でも買うが良い、その余った1000両から、1人に10両づつ渡すのじあ、仁蔵、
も受取るのじあぞ、山形達と伊衛門殿もと渡して、思い切り遊んでも良いぞと言ったのです、みんなはそれぞれ出掛けて行ったので、城でも行くかと言って陣屋に行き、宗純殿はいるか、
と言うと、

御座所に案内したので上座に立ち、治世不行き届きにつき改易申つくると言いたいが、いい加減にいさかいはやめなされ、本家は本家じあすこしは手助けしてはどうだと言うと、申し訳、
ござりませぬ、当藩も余裕がありませぬと言うので、国主格にして貰うのに大枚つぎ込めば藩財政は傾くにきまっておるわ、宇和島の本家はきっく叱っておく、二つの村は吉田藩領とす、
る、

金剛山に金銀鉱脈を発見したが、これは宇和島藩のものじあと言うと、ハイ、承知しました、二か村に新田開発、物産奨励の金寸を下さったそうで有難う御座りますと言うので、席を替わ、
り、これよりは少しは蓄財して民の為に使いなされ、又藩も殖産に励むのですぞと言って、家老をはじめ重臣達は、本家への恨みはすてるのじあ、吉田藩を豊かにして金寸でも貸してやれ、
ば頭を下げざるをえないじあろう、

それ位の器を持った者を、登用しなされと言うと、家老の青木頼母に御座います、すべてはそれがしが、いたらぬ事に、御座いますと言うので、1000石以上はすべて1000石とすると言うと、
承知いたしましたと言うので、それで何石浮くのじあと言うと、3000石で、御座いますと言うので、そはの金寸1500両で殖産に励むのじあ、5年で7500両つぎ込めば、藩の実収は倍になる、
であろうと言うと、

承知しましたと、宗純がいうので、よくお聞きなされた、江戸に戻ったら準国主格から、国主格に変更しますぞ、今度の参勤交代で、江戸に出府したら国主で御座るが、本家は本家じあぞ、
たてなされと言うと、承知しましたと言うので、聞きたい事があるが、分家された時の表高は3万石じあが、実収はいか程だったので御座るか聞くと、とまどった顔をしているので隠す事、
はなかろう、

元々宇和島藩は表高10万石じあが、それは秀宗殿が入封された時であり、それから100年たっておる、恐らく実収は最低でも、12万石にはなっているはずじあ、ならば先代は表高は3万石じ、
あが実収は4万石を渡したので、残ったのは8万石はあるはずじあ、あの二つの村での実収が1万石であろうというと、恐れ入りましたと言うので、今回伊達宗家から借財を返せと言って来、
たそうじあが、

そうではなく、財政逼迫しておる、宇和島へ入封されたとき宗家では3万両を貸付たので、今回はその半分1万5千両を借財したいと言うて来たのじあろう、それで宇和島藩が1万両用立てす、
るので吉田藩も5千両を用立てしてくれないかと本家から言うてきたが、それを断ったので、あの2つの村の来年の年貢を実力で徴収するといいだしたので御座ろうと言うと、なぜそれをと、
言うので、

だれが考えてもわかる事じあわその5千両が用立て出来なかったので御座るかと聞くと、家老が徳政令で当藩の借財も4万両から2万両に減りもうしたが、その後は商人はことごとく貸し渋、
りをやり手当てつかなかったので御座りますと言うので、貸し渋りを避けるため、そのときに半額にせずに、借財はそのままにして利息を半額にするように交渉しなかったので御座るか、

さすれば払う利息は半分になり商人も気使いに感謝して、貸し渋り等はしなかったであろう、借財せねば藩を維持する事等出来ないのが現状だと誰もわからなかったので御座るかと聞くと、
申し訳ありませぬと言うので、藩士200人からいのじあろう、人材がいないとわ言わせぬ、そんな話を上申したものがいたが、目先の欲にくらんで重臣達が却下したのであろうと聞くと、
黙っています、

重臣は主席家老に家老2人じあなと聞くと、そうに御座りますと言うので、勘定奉行はと聞くと、勘定奉行の青木八朗に御座いますと言うので、だれが上申したのじあと聞くと、御用達の、
巴屋から申し出があり、それがしが上申いたしましたが、裁可は得られなかったので御座いますと言うので、宗純殿はご存知だったのかと聞くと、承知していましたが半分の方が徳だと言、
う事だったので却下してしまいましたと言うので、

まあ過ぎた事はいたしかたないが、あきれて物を言う気もおこらぬ、こんな状態では、いくら実収を増やしても、意味はござらぬ、何年か後には、又藩は立ち行かなくなりますなと言うと、
どうすれば宜しいでござりますかと聞くので、八郎は家老の息子かと聞くと、ハイと言うので、巴屋はあらたな借財を何と言うて断ったのじあと聞くと、わたしの口からは申しあげられま、
せぬ、ご勘弁をと言うので、

ならば本人に聞いてみょう、ここに連れてまいれと言うと、承知しましたと言うと八郎は部屋を出て行ったのです、青木が殿には責任はありませぬ、総て我々家老が判断して裁可を願った、
ので御座います、三人の家老を厳罰にしてくださりませと平伏したのです、わしは、そうなった原因を知りたいのじあ、間違いは誰にもあります、原因を取り除かねば、又同じ過ちを繰り、
返すのです、

巴屋が来たので、今回の5000両の借財の申し入れを断った、理由を聞かせてはくれぬかと言うと、断った訳ではありませぬ、徳政令の時に私の用立てした、2万両が半額になるのは幕府の、
お沙汰ですので承知いたしましたが、私以外の借財は利息半分にして借財をそのままにされた方が、今後の借財も上手くいくので、そうされた方が良いと申し上げたのは事実です、この、
ような事になった後の借財でしたので、

返済計画を示してくだされと言ったのですが、借財が半分に減ったので返済は可能だと言う事だったのです、しかしこのような場合は新田開発で増収が見込めるとか物産奨励の利が上がる、
とか、何かをしめしていただく必用があるのです、貸し渋りと言われればそう受取られるかも知れませぬが、何もなかったので保留にしてあるだけで御座いますと言うので、なる程もっと、
もな事じあな、

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