第42話

文字数 2,646文字


源三郎江戸日記(弟四部)42

その浪人が山本燐之助と申す、馬の前に立ちふさがり止められるとは恐れ入ったと言うので、村上源三郎に御座ると言うと、さつき、聞き申した佐賀を巡察にこられたのかと聞くので、
西国を回っておりもうす、ここも何かと問題がありそうですな、まずはと言うと七衛門が酌をしてハイを重ねたのです、怪力の持ち主ですな、遠慮なく飲んでくだされと言うと、申し、
わけないが、

飯を食うてもよろしいかと言うので、女中に燐之助殿に、飯を出してくれと言うと、ハイと言うとどんぶり飯、味噌汁、いわし焼、高菜漬けを出すと勢いよく食べたのです、どんぶり、
3杯の飯を平らげると、酒をゴクゴクと飲み、一息つきもうした、2日も飯を食うていなかったので御座ると言うので、鍋島藩を退散なされたのかと聞くと、元は馬周り組100石の藩士、
でござったが、

一門のといざこざを起こし退散したので御座ると言うので、妻子はと聞くと、離縁いたしまして実家にて暮しております、殿よりほとぼりが冷めたら帰参させるので城下を離れないよ、
うに言われているのです、用心棒家業をやっておりますと言うので、先程の一門の家来との揉め事にござるかと聞くと、ハイ、次男の茂道殿に果し合いで怪我をさせたので御座ると言、
うので、

なぜ果し合いをと聞くと、料理屋でかちあい、殿の悪口を言ったので喧嘩になり、果し合いをする事になったのですが、手加減したのですが右手の骨が折れたので御座ると言うので、
相手は何人だったので御座るかと聞くと3人で御座る、いずれも怪我させたのです、峰を使いましたので、死人はでませんでしたが、一茂殿がわしが、喧嘩をふっかけたとねじ込まれ、
たので御座る、

殿は一門とのいざこざが公になれば幕府からお咎めを受けるので、わしを謹慎にするので、我慢してくれと言われたのですが、自ら禄を返上したので御座る、しかし浪人がこんなに腹、
が減るものとは思いもしませんだ、なんせ剣と腕力しか能がありませぬからのうと笑ったのです、ご両親はと聞くとすでに他界しておりますと言ったのです、まさか、鍋島藩を取り潰、
しにこられたのではないでしょうな、

それなら腕にかけて阻止申すと言うので、そんなつもりはありませぬが、一門を何とかしないと、いずれは改易される事になるでしょう、わしは幕府の老中なればわしが事を起こすの、
は問題ないので御座ると言うと、なんと老中がわざわざ巡察されているので御座るかと聞くので、上様直属の役目なれば、藩を一存で取り潰す事も出来ますと朱印状を見せると、恐れ、
いりました、

なにとぞ鍋島藩をよしなにと言ったのです、まずは一門3家を取り潰して城代を置き、一門は1000石として城下に住んで貰い、家臣は総て禄高を同じで本家の家臣にすれば良いで御座る、
と言うと、そんな事を承知するはずは御座らぬ、城に立てこもりますぞと言うので、叩き潰すまでで御座る、まずは大砲を作りましょう言って、この城下に花火職人はおりますかな、
と聞くと、

案内しましょうと言うので後をついて行くと、政吉と申しますと言うので、図面を書いてこれと同じ物を作れるかと聞くと、何と花火の筒を大砲の筒にするので御座るかと言うので、
そうじあと言うと、そのような物作ればお咎めがありますと言うので、わしの命令は上様の言う事なのじあ、鍋島公とて逆らえぬと言うと、ハハハッと頭を下げるので、それでは、
作るのじあ、

大八車も含めて総て黒く塗りつぶせ、六尺玉もだぞ、50発もあれば良いじあろう、どの位で出来ると言うと、発射筒は鋳型に流しこめば一日で出来ます、今日かかれば明日には出来、
ます、夏用の六尺玉は300発はありますので、黒く塗るだけで御座いますと言うので、それでていくらかかるのじあと言うと、50両あればと言うので後で届ける、火薬も一樽いるぞ、
100両払ってやろうと言って家を出たのです、

燐之助殿は用心棒に雇おうと5両を渡して、これで一門の様子を探つてくれと言うと、これはありがたい引き受け申すと言うと傍を離れたのです、さて脅かしに行くかと言うと、みんな、
を引き連れて城に行き、藩主に会わせるように言うと、家老が出て来て案内するので、御座所に行くと鍋島吉茂に御座いますと上座を空けるので、ここで結構じあ上座に座りなされと、
言うと、

恐れ入りますと言うので、まずは一門の一茂の行状についてで御座る、ここに呼びなされと言うと、近習が呼びにいかせたのです、御座所に入って来て座ると、先程は申し訳御座りま、
せぬと頭を下げるので、いまさら頭を下げても遅いわ、諸国巡察視は上様の直属の役目なるぞ、この朱印状になんと書いてあるのだと見せると、みんなが平伏したのです、鍋島一茂、
幕府の巡察視に刃を向けるとは、

不届きしごくにつき、お家は断絶領地は没収とする、直ちに城を明け渡して、寺に入り謹慎いたせと言うと、吉茂がそれはあまりにもと言うので、邪魔立てすると鍋島本家も無事では、
すまぬぞと言うと、ハハハッと言ったのです、一茂がおのれ幕府といえど不承知で御座る欲しくば弓矢で取られよと立ち上がり、フスマが開き5人が出て来て一茂を取り囲み出ようと、
するので、

山形叩き潰してやれと言うと、ハツと返事して5人が襲い掛かり、あっと言う間に転がったのです、一茂の首に刀を突きつけ、おもしろい、そうそうに帰り、城に立てこもるのじあと、
言って、顔面を拳で殴りつけ、足で蹴飛ばして、早く立ち去れというと、おのれ~と一茂は、青筋を立てて御座所を出て行ったのです、山形もう良いというと、後ろに控えたのです、

吉茂以下重臣が愕いています、このくらい煽れば本気になるでしょうと言うと、わざとで御座るかと聞くので、これで開城させれば吉茂殿が本気だと分かり、他の一門も従うでしょう、
これを逃すと未来永劫に言う事はききませぬぞ、わしがかかわっているので、騒動が起きても大丈夫にござる、震えあがらせねばなりませぬ、騒ぎを起こせば改易になるので本気に、
かかって来るとは思っていないので御座ると言うと、

どうすればと聞くので、軍勢を仕立てて押し寄せて開城させるので御座る、今から非常召集させて城下に分かるようになされ、明日朝一にて押し出しますぞと言うと、承知しました、
太鼓を打ち鳴らし、戦支度で城に集まらせよと言ったのです、戦は初めてで御座ると言うので、それがしが戦の仕方をお教え申す、今日はゆつくり出陣の酒でものみなされ、それく、
らいの余裕が寛容に御座ると言って、

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