第95話

文字数 2,880文字


源三郎江戸日記(弟四部)95

ゆっくり登っていったのですが、半分で少し休もうと言うと、おみなが階段は苦手ですかと笑うので、どうも馬や船に乗っているのでいかんな、しかし、おみなは元気じあのうと言うと、
江戸では籠や船にはあまり乗りませぬ、歩いているので鍛えているのですよと笑うので、伊衛門殿に汗一つかいていないですなと言うと、全国を歩きましたので足腰は大丈夫にござると、
言うと上って行ったのです、

さて行くかと立ち上がり再び登って行ったのです、やっと着いたので、お参りを済ませて下を見ると、丸亀の城下を始め遠くまで見晴らせてとても良い景色です、暫く休んで階段を降り、
ると汗が吹き出て来たので、何処かで休もう、ここは讃岐うどんが名物じあとうどん屋に入りると、女中が井戸水で冷やした手ぬぐいを出すので、顔と体を拭き、気持良いなと言うと、
何にしますと言うので、

天麩羅うどんを頼むと、冷やしうどんもありますだと言うので、わしは冷えたうどんは好きではないと言うと、おみなが又汗がでますよと笑うので、ならば、ためしてみるかと言うと、
冷やし天麩羅うどんをとおみなが頼んだのです、冷えた酒を注いでみなで杯を重ねたのです、中々冷えているなと言うと、井戸水で冷やしているのですよと言うので、井戸水は豊富な、
のかと聞くと、

ハイ、干ばつでも枯れる事はありませぬと言うので、去年の干ばつはひどかったらしいが、丸亀はため池のお陰で被害はすくなかったと聞いたがと言うと、全体ではそうでしょうが中、
には半分の処もありましたよ、特にここの近くの村はため池が小さく特にひどかったそうです、殿様が幕府の偉い方だそうで、江戸詰めなので費用が沢山かかるので、お助け米も少し、
しかもらえず難渋していなさるそうです、

江戸の殿に直訴しょうと集まっていたら、庄屋達5人が捕らえられて今牢に入っているそうですと言うので、そうか全部が助かったわけではないのじあなと聞くと、郡方の小頭牧田様が、
ご家老に頼んでいなさるが、藩米は底をついているそうでどうにも出来ないそうですというので、そうか、米問屋にも米はないのかと聞くと、いいえ亀屋の蔵には沢山ありますだ、売り、
惜しみをしているので、

町衆も困っているだよ、もう少し値があがるのを待っているんですよ、小売の米がなくなれば上げるつもりです、米問屋は一軒なのかと聞くと、4件ありますがつるんでいるんですよと、
言うので、さぬきはうどんが名物だから餓死者は出ていないじあろうというと、ハイ、おかげさまで、でも毎日うどんだけは食えませんよと笑うので、そうか、うどんで助かっている、
のじあなと言ったのです、

ごろつき等はおらんのかと聞くと、どこにもいますよ、四国には寺が沢山ありますのでヤシの元締めは多いですが、この城下にも5人いなさります、熊吉と言う元締めは博打場、籠屋、
女郎屋をやっていますが、裏で金貸しもやっています、あこぎな奴ですよと言うので、町でショバ代も取っているのかと聞くと、ここは浜吉親分の縄張りなので、何か揉め事の時だけ、
少し出しますが、

他は取りません、熊吉の縄張りの町衆は屋台でも取るそうですと言うので、町方はと聞くと、ここは金比羅宮の管轄なので別当が町方に言わない限り、手はだせないのですと言うので、
その別当と熊蔵はつるんでいるのかと聞くと、沢山の賂を貰っているとの噂ですと言ったのです、おみながここも掃除が必要ですねと言うので、山形達は博打場、飛猿と才蔵は別当、
熊蔵、亀屋を探ってくれ、

わし達は奉行所に行こうというと、おみなと連れ立って奉行所に行くと、町奉行鳴海平蔵にございますというので、ここの牢に近隣の庄屋が入っているそうじあな、何の罪じあと言う、
と、直訴はご法度ですと言うので、処置はと聞くと入牢半年となっていますがと言うので、その村は干ばつで半分しか刈り入れが出来ず、困窮しているそうでは無いか、何故お助け米、
を出さないのじあと聞くと、

藩も余裕がないのですと言うので、亀屋の蔵には沢山あるそうではないかと言うと、取り上げる訳には行きませんがと言うので、おおかた問屋達とつるんで米を買い叩き、値を連れ上、
げようとしているのじあろうというと、証拠はありませんがと言うので、郡奉行を呼んで来いと言うと、ハイと配下に呼びに行かせたのです、暫くすると郡奉行米山大輔に御座います、
藩米は底をついていますと言うので、

亀屋達問屋から放出させれば良いではないかと言うと、取り上げるわけにはと言うので、藩の商いで儲けているのじあろう、このような時に協力させるのは当たり前じあ、賂でも貰っ、
ているので、手がだせないのかと言うと、少しは貰っていますがと言うので、いくらじあと聞くと、ハイ、問屋から月に200両ですと言うので、その金はどうしているのじあと聞くと、
大半は江戸の殿の幕閣への資金に出していますと言うので、

町奉行も別当から貰っているじあろうと聞くと、ハイ月に100両程と言うので、それも江戸に送っているのかと聞くと、ハイ、そうですと言うので、そんな事を京極殿は知っているの、
かと聞くと、いいえ、工面の方法は知らないと思いますと言うので、領民を泣かせた金で良い政が出来るわけがないわ、庄屋達を白州に出すのじあと言うと、みんなを連れて来たの、
で、

大分弱っているではないか、めしも満足に食わしていないのじあろう、ところで何故そなたの村だけ半分も減収したのじあと聞くと、ため池が小さく、藩にもう一つのため池を作る、
費用をお願いしているのですが、財政難で費用はだせないそうですと言うので、なにを直訴しょうとしたのじあと聞くと、米の買い上げは私の村は亀屋と決められています、値段を、
二割程上げて欲しいとお願いしているのですが、

聞き入れてもらえないのです、今の処芋、麦、稗粟で餓えをしのいでいます、このままでは今年の作付けもままなりませんと言うので、新田開発の場所はあるのかと聞くと、水が確保、
出来ないので無理ですと言うので、もし水が確保できるとすれば、何町分可能じあと聞くと、およそ50町分は増えますと言うので、ため池も増やせば、随分楽になるなと言うと、ハイ、
それなら、

間引きも女郎屋にも娘を売らなくて済みますと言うので、わかった、その費用はわしが出してやろう、又水の確保をしてやるぞ、そなた達は解放する、そんな村は沢山あるのかと聞く、
と、恐らく20カ村くらいあると思いますと言うので、そこもやってやろう、お前の村の担当の郡方はと聞くと、牧田様ですと言うので、国家老と牧田を呼んでまいれと言うとハハハッ、
と言って呼びに行ったのです、

飛猿が戻って来て、亀屋達問屋の蔵には数千俵の米があります、又亀屋が3万両、他の問屋もそれぞれ2万両程の蓄えがあります、賂は、町奉行に100両、郡奉行に200両を渡しています、
それに亀屋は蔵米横流しを年1万両程やっており、国家老に5000両を渡していますと言うので、その金も江戸に送っているのかと、郡奉行に聞くと、ハイと言うので、年間1万両近く、
になるぞ、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み