第70話

文字数 2,772文字


源三郎江戸日記(弟四部)70

源三郎が危惧したとおりに、極端な貸し渋りがおきて、喜んでいた大名、旗本は日々の糧にも、困る者が出て来て、浪人を雇い札差、両替商を脅してなんとか金を借りょうとした為江戸の、
治安も悪くなる一方で、町方も手をこまねいていたのです、新井は借財が半分に減って喜んだのですが、後ろ盾にしていた銭屋が手を引いた為、財政は逼迫して郎党への給金もままならず、
小者も含めてお家を退散するものが続出したのです、

屋敷に引きこもり出所はしなかったのです、困った間部は荻生徂徠に参政をたのんだのですが、荻生徂徠は過去の恨みを忘れておらず拒否したのです、間部はしかたない村上に頼むしかな、
いかと言って、対策の評定を開き意見を求めたので、両替商を中心に金貸しの会所を作り、若狭屋を頭取として幕府から30万両を貸し与えて、これを資金にして大名、旗本に融資するよう、
にすれば良い、

必ず一年間の内に30万両は貸し付ける事とするのです、一番困っているのは旗本でしょう、借金も小口が多いので30万両あれば大丈夫ですと言う、間部が金蔵には30万両しかないそれを、
全部貸し出すわけにはいかぬでしょうと言うので、勘定奉行に幕府の地金、地銀、地銅はいか程あるのじあと聞くと、金100万両、銀200万両、銅400万両、小判30万両に御座いますと言、
うので、

地金10万両、銀20万両、銅50万両を商人に、買いとらせるのです、金5万両、銅40万両は輸出用とし、金5万両、銀20万両、銅10万両は、国内の細工用とします、なお交易の輸入代金は金、
洋銀とします、シナは大量の銅を欲しがっています、金は戻ってくるはずです、金の流失は1年間1万両とまりで100年で100万両ですから産出量のわずかな量です、こうすれば沢山の洋銀、
が手にはいり輸入を盛んにすれば洋銀は、

南蛮に戻りますので交易も上手く行くわけです、さすれば80万両の小判が金蔵に入り、金90万両、銀90万両、銅350万両は残り、会所に貸し付ける30万両は年2分の利息を払うものとしま、
す、返済は100年分割で良くするのです、さすれば年3000両の元金、利息6000両、締めて9000両が増える事になります、毎年5万両の小判は増産します、こうすれば価格の変動には関係、
なくなります、

小判のままで流失したり、極端な小判の増産、改鋳にて量を減らす等により、流通の貨幣が極端に少なくなるか、多くなることにより物価に影響するのです、又今回は貨幣そのものの数は、
変わりません、貸し付けている金寸は蔵に眠っているのではなく、すでに使い果たして世の中に流通しているため、金貸しの小判が減ったわけではありませんが、入ってくる利息が少なく、
なり儲けが減るだけですが、

金貸しの復讐と言うわけです、金蔵から金寸を没収して、貸し出すわけにはまいりませぬ、貸し渋りが出来るのは1年未満です、幕府の貸し出した、金寸で間に合えば、金貸しは困るので、
半年で値を上げて、再び貸すようになるでしょうと締めくると、皆がなる程よくわかりました、一点だけ見てては、ダメだと言うことですね、幕府の財産は30万両ではなく、730万両と言、
う事なのかと驚いたのです、

世の中に流通している小判だけで約2500万両あります、銀貨、銅貨をあわせると2億両くらいでしょう、今回金、銀、銅などの鉱山開発をすすめたのは、幕府の財源を多くする事と大名、
の疲弊を防ぐ為です、佐渡、串木野、呼野は優良鉱山ですが、我が国には沢山の鉱山があります、少しの産出でもあわせれば莫大になります、藩に管理を任せて折半しても、金は総て、
買い上げて、

幕府の管理下におき、流通を管理する為なのです、100年で100万両の流失くらい覚悟せねばなりません、国内の産業を育成するにも金はかかるのです、正徳の改革自体は悪くないのです、
が、大ざっぱでは上手くはいきませぬ、若手の人材を登用して色々施策を上申させるべきなのです、そこでですが、身内の事で申し訳ないですが、旗本400石の村上源四郎を長崎奉行に、
登用して、

金の流失を監視すること、国産品の輸出を、増やすようにさせたいので御座るがと言うと、間部が異存ござらぬと言うと、みなも賛成したのです、新井殿は首が回らぬのでしょう、幕府、
より1万両を無利息にて、貸してあげなされ、100年分割にすれば1年100両に御座る、財政も立てなおり病気も治る事でしょうと言うと、間部がわかりもうした、そのようにいたしますと、
言ったのです、

さつそく若狭屋に会所を作らせ30万両を貸し与えて、大名、旗本の救済をたのんでので、恨んでいる金貸しは相手にせず、貸し出し金利は5分として幕府には2分の利息を払う事と取り決、
めに、賛同する金貸しに下げ渡したのです、貸し出しは町人も入れる事にした為、大名、旗本、町人に金がいきわたり、金が回る事になり江戸の町は好景気に転じたのです、源三郎は、
源四郎に因果を含めて、

長崎奉行として送り出したのです、尚抜荷の摘発は長崎奉行所管内に限ること、色々考えて輸出の増大をはかるように申し付けると、兄上を越すように頑張りますというので、体だけは、
気をつけろ、金寸がいるなら玄海屋の長崎で店の番頭に相談しろ、即座に借り受けて実行せよ、報告は事後で良いと言ったのです、源四郎は赴任していき、牧野家の鶴姫と真田幸長は、
婚姻を上げて、

藩主は引退し、幸長は牧野忠義と名をあらためて、幕府若年寄りに就任し、外事を担当する事になり、源四郎と連携をとり、交易の拡大の施策を次々と行って行ったのです、新井白石は、
幕府参政として出所するようになりましたが、すでに正徳の改革は軌道に乗り、自分の存在感を知らしめる為に、新しい上申書を幕府に提出したのです、その中身は、信濃、尾張、美濃、
にまたがる木曽川の治水工事の本格化です、

毎年信濃2万石、尾張4万石、美濃4万石が被害にあい、10万石が流失し、領民の疲弊は目にあまる、なんとしても、流失を半分にせねばならぬ、いままでは薩摩が調査していたが、これ、
からは、本格工事に入るべきであるが、幕府に財源がない為、信濃は伊達10万両、尾張は薩摩20万両、美濃は加賀20万両、総額50万両でお手伝い普請をやらせるという骨子であり、信濃、
は木曽藩、尾張は尾張藩、美濃は大垣藩が普請奉行をだして、

采配して流失している領民を助ける為給金を出して工事をさせると言う事である、間部が評定を開くと言うので出仕すると、新井が上申書の中身を説明したのです、だれも現地をみた事、
がないので黙っています、間部が村上殿何かと聞くので、新井殿は現地に行かれたのかと聞くと、木曽藩、尾張藩、大垣藩の家老に話しを聞きましたところ、是非やってほしいと言って、
いますと言うので、

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