第19話

文字数 2,847文字


源三郎江戸日記(弟四部)19

次は稲作じあこの島は山が低いので川は少ししか水は流れていないじあろう、夏は台風が来るので水は貯めて使うのであろうと言うと、そうです、それぞれの家には雨をためるカメが置、
いてありますと言うので、七衛門火薬を一樽馬につんでくれと言って、一番大きな川の上流に行こうといって馬に乗り二里いくと小さな小川がながれています、あの山の両方を崩して、
池を作るぞ、

そうすれは台風がくれば直ぐに一杯になるが、埋まった岩の隙間から水は流れるので問題はない、沢山雨が降るとたまり、溜まった水が流れると言う訳じあよ、完全に塞ぐわけではない、
ので問題はないと言って、山形に竹の筒に火薬を入れさせて、硬い岩の処へ二本づつ仕掛けて、導火線を延ばし火を付けて爆破すると、大きな音がして土煙が上がったのです、煙が治ま、
ると、

両脇の岩が崩れて谷が埋まり大きな池が出来たのです、これ位埋まっておれば決壊することはないじあろうと言うと、下の方の岩の隙間からは水は流れています、雨がふれば流れるより、
溜まるほうが多くなり、流れる水量は増えるはずじあと言って、下流に行きこの野原は水田に出来るなと言って、ここに水車を作り水をくみ上げて、潅漑用の小さい水路を沢山作るのじ、
あよ、

台風で稲が倒れないように暴風林を回りに作るのだ、九州も台風はくるが簡単には倒れないものだと言うと、日向から来た百姓がいます、風に強い苗を分けてもらうようにしますと言う、
ので、このような方法をとれば、沢山の水田も可能になる、火薬の使用は薩摩に言うておく、琉球王庁でしっかり管理すれば問題ないと言って、この火薬樽は寄進するぞと言ったのです、

後砂糖車、イモを砂糖の変わりにする方法、漁師の船を工夫して漁獲高を上げる方法を教えて、ガラス細工は南蛮船から原料を買い、作り方を習えば簡単じあよ、一回シナにいきガラス、
工房を見てくると良い、ひょっとしたら台湾でも造っているかも知れんと言うと、ハイ、琉球はシナとは自由に行き来していますのでガラスの作り方、養豚、空手も調べてきますと言っ、
たのです、

今日はこのくらいにしておこうと言って那覇に帰り、旅籠にわらじを脱いだのです、湯に入りさっぱりして一服していると女将が入って来て、今は冬なのですがここは年中暖かいので、
寒くはないのですよ、但し冬は雨が少ないので慢性の水不足になりますと言うので、ここの湯の水はどうしているのだと聞くと、裏に池が掘ってあり夏に水を貯めているのです、3月、
になれば雨も多くなります、

12月から2月までが一番雨は降らないのですと言ったので、沢山の池を作ればそれも防げるのかと聞くと、王朝にはそんな金はありませんよと言ったのです、そういえば北の方に川は、
多くあるので、ここは深刻なのだなと言うと、沖縄の川は急勾配が、多く滝が多いのです、雨が降ればどっと水が流れます、長さが短いので直ぐに、水量は下がるのですと言うので、

それなら岩崩して沢山の池を作れば良いわけじあな、そして北の川の水を集めて南に持ってくるように用水路を整備すれば良いが、長さが20里は引かなくてはならない、地道にやれば、
5年で出来るじあろう、およそ10万両はかかるな、毎年2万両かけて4里を整備すると言う事じあな、なんとか年間2万両儲ける事はできぬものかなと言うと、殿が言われた改革で年1万、
両は捻出できるでしょうが、

それ以上は難しいですねと言うので、ならば井戸を掘るか、湧き水の水源を探して引きこむしかあるまい、そうすればもっと安くてすむだろうと言うと、常正殿に聞いたほうが良いです、
ねと七衛門が言ったのです、女将が宮廷からの差し入れだそうですと言うので、何をと聞くと、殆ど中華料理です、今膳に盛り付けしていますと言うと、常正が部屋に入って来て王様が、
是非食べてもらえと言われたので持参しましたと言うので、

それはすまんと言うと、膳が並びみると中華料理みたいです、女将が酒をついでこれは泡盛ではありません、焼酎の度数が25度のものですと言うので、みなでハイを重ねると、吟醸酒、
みたいな味です、これはうまい酒じあなと言うと、砂糖きびから作った酒ですと言うので、酒も造れるのかと感心したのです、ところで、常正殿南部は水不足が深刻と言う事じあが、
近くに湧き水はでないのかと聞くと、

ここから二里行った所に豊富な湧き水がありますが、海に流れていますので、ここに持ってくるには二里の用水路が必要です、この辺は石灰岩なので防水の用水路を作らないと水は地下、
に浸み込んでしまいます、池は防水加工がしてありますと言うので、二里なら安くて済むなと言うと、引きこんで池に貯めるとして、2千両もあれば出来ると思いますと言うので、その、
二千両をわしが寄進しょう、

それで引きこんで共同の水汲み場にすれば良いと言うと、なぜそこまでと言うので、これから、外国の情報を幕府に流して貰う見返りと言うわけだよと言うと、承知しました毎月幕府に、
シナ、ルソン、ジヤワ等の状況を南蛮船から聞いて幕府にお知らせしますと言うので、それは助かる、明日2千両は渡すので早急に用水路を作ってくれと言うと、承知しましたと返事し、
たのです、

これで少しは民の救済になるであろうと言うと、女将が町の人は大助かりですよ、ヤマトンチュウ、琉球の人は和人の事をそういうのですが、良い人もいるのですねと言うので、薩摩は、
貧しい国じあから、搾取に走るのじあよ、薩摩には随分改革を伝授したし、砂糖の収穫も倍になるようにしたので、これからは、余り過酷な事は言わぬじあろう、琉球王が江戸に毎年登、
るのであまり搾取すると上様の耳に入るからのうと言うと、

常正がなる程薩摩の押さえにもなるのですねと言うので、そうなのじあよ、今までは幕府も噂ばかりで、本当の事は知らなかったのじあ、それで、上様がわしに見てくるように言われた、
のじあよと言ったのです、ところで琉球の砂糖に交易品は薩摩藩に渡しているのかと聞くと、河野覚兵衛と言う山川の商人が一手に買い上げて大阪で商いをしておるそうですと言うので、
独占か、

それでは相手の言い値で渡しているのか、薩摩には何を払っているのじあと言うと、商人が払った中から冥加金として二割を払っていますと言うので、なる程その商人は薩摩にいくら払、
っているのじあと聞くと、多分一割りだと思いますと言うので、本当かどうか調べる必要があるな、琉球にも出店があるのじあろうというとハイ、この直ぐ近くに大きな屋敷と蔵が沢山、
ありますと言うので、

飛猿と言うとハイ調べてみますと言ったのです、それではしこたま蔵に金があるな、薩摩藩の専売と聞いたので、藩が買い上げ、商人に下ろしているのかと思うたが、その男が一手に買、
上げているとしたら、随分安値で買って薩摩藩にはそれより高く買った事にして利さやを稼いでいるのじあろう、それを管理しているのが代官じあな、ネズミ共が知らぬ顔をしていると、
見える、

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